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ダンジョンクリア

二話連続更新の二話目です。

 少しずつ、少しずつ前に進んでいく。ゴーレムは同時に相手どれないため隙を見つけて吹き飛ばす。囲まれることがあっても潰されることはないように。


 肉が抉れた。これで爪が鋭くなる。

 腕が捩じれた。その分前に進めている。


 痛みが麻痺して走馬灯のようなものが頭を駆け巡る。

 初めて殺した相手、初めての町、イザベラさん。学院、ベル、図書館。


 ーー特殊系魔法は世界に広がった染み、あるいは呪いである。


 これは…今日読んだあの本の内容か。足に突き刺さった槍を砕き、血液を動かして欠片を排出する。後は勝手に治るはず。


 ーー特殊系魔法には自他の境界が存在しない。きっかけさえあれば他人のものにまで干渉できるのだ。


 回復のせいで魔力がだいぶ少なくなってきた。だけど身体はまだ動く。


 ーー邪神の権能は支配と操作、それに略奪であり、特殊系魔法はその権能の一端である。


 ゴーレムがまた増えた。でも残りは一メートル。すでに相手はふらつきを抑えきれていない。

 …しかしそれはこちらもそうか。


 ーー無条件での対象の支配。それが可能であるとしたらそれは人の身には過ぎた…

 ーー前置きはここまで。叫ぶといい。君のスキルを。敵はあんなに血塗れだよ?


 なにかを掴んだような感覚。頭に響く声に促されるように叫んだ。


「『血液操作』!!」

「なっ!がっ!」


 目や口、耳から流れる血でヴェロニカは顔のいたるところを染めていて、その流れている血がすべて内側に突き刺さる。

 突き刺さった血の棘によりさらに血が流れる。それらは全て俺のモノだ。

 流れた血を操作し、突き刺し、さらに血を流させる。

 気付けばゴーレムは止まっていた。雨のように降り注いだ氷の槍も現れない。

 ヴェロニカを見ると全身を血の棘に貫かれながら、まだ生きていた。


「ぁ…ぅ…」

「私の勝ちだね。ベル」


 もうまともにしゃべることさえできていない。それもそうだ。目も、口も、耳も、すべて棘でふさがれている。まだ生きていることが奇跡みたいなものだ。青かった髪は血の色に覆い隠され見る影もなく、明らかな戦闘不能…いや、瀕死だった。


「それじゃあ、ありがとう。一緒に過ごした三日間はとても楽しかったよ」


 右手に血を集めなおし、胸に突き刺す。そのまま、小振りな心臓をギュッと潰した。

 ビクンと一瞬体が跳ね上がってそれで終わり。主を失った血液はいとも簡単に服従していく。

 右手を引き抜くと同時にグラを呼び出した。懐かしささえ感じる高揚感にレベルアップを実感する。


 ーー神託騎士ヴェロニカ、狩猟完了。


 ◇


「これが卒業資格のオーブか…」


 グラがベルの死体を食べた直後、ゴーレムが動き出したため逃げるように探索を開始してから体感三十分程度。とうとう俺はオーブを発見した。


「これで…あとは脱出か。どうすればいいんだろ」


 オーブを手に取った瞬間、ゴーレムが崩れて地面に吸収されていく。あれだけ面倒だったゴーレムが痕跡さえ残さず消えた後、気付くと目の前に扉が現れ、中から誰かが出てきた。


「ワーデン?」

「はい。クリューエル様。ダンジョンクリアおめでとうございます」


 出てきたのは学生寮を管理しているワーデンだった。


「なんでこんなところに…」

「主からこのダンジョンをクリアした人物を出口まで案内することを任されておりますので。それに、あなた様をお連れするようにと主から命令されております」


 主…?一体誰なんだ。とりあえず敵意は感じられないのでついていくことにする。どっちにしろここから出るには付いていくしかなさそうだし。


「それではこちらの昇降機へどうぞ」


 促されるままエレベーターに乗る。扉が動くとすぐに動き始めた。


「今から案内しますのは我らが創造主"発明の悪魔"。その複製体様がお座すところです。今は彼が我らの主となっております」

「"発明の悪魔"…確かどこかで…」


 そうだ。冒険者ギルドで聞いたんだった。でも確かその悪魔はもう死んでいるはず。それに複製体…?


「こちらです」


 チーンと音がして扉が開く。迷いなく歩くワーデンの置いていかれないよう付いて行った。

 歩きながら周りを見渡すと実験室のような設備とワーデンと同じ姿をした人たちが何かを組み立てている。


「あれは?」

「あれらは私の姉妹機たちです。我々ドールズシリーズはここ、『魔学都市要塞ミラク』の管理、保全のために作られました」

「魔学都市要塞?」

「それがここの正式な呼び名でございます。…この扉の先におられます。私は入らないように言われておりますので私のことは気にせずお入りください」


 案内されたのは大きな扉の前。促されるまま扉の前に立つと、自動的にドアが開いていく。中は真っ暗だった。完全に開ききってから部屋の中に入ると扉が閉まる。完全に扉が閉まると急に明るくなった。


「ようこそ。今代の悪魔。私は"発明の悪魔"の複製体。記憶と精神を写し取ったコピー。君に忠告を与えるものだよ」


 その部屋の真ん中、ホログラムのようなもので映し出された男はそう言って笑った。


 =====================================


【今回の殺害人数】

 1人


【total】

 357人

後から矛盾出たら修正するかも…

次は番外編です。

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