守護者戦
お久しぶりですね。いやほんとに…
いろいろあってまた書くことにしたのでよろしくお願いします!
完結までそこまで止まらず投稿します。たぶん、きっと、めいびー。
「じゃあ頑張ってね!私は身を守りながら見てるから!」
ベルの助けは得られないようなので諦めてゴーレムを叩くことにした。
問題は敵が無生物であることだった。生物なら楽なのにな…と思いながら血をハンマーのかたちに組み替えた。
「それじゃあちゃっちゃと片付けてしまおうかな…『身体強化』」
身体強化をかけてハンマーを振るう。ベルがちょうどいい運動になるといっていたのも納得するぐらいの勢いで敵が吹っ飛んでいった。…前世にあった無双系のゲームを思い出すな。
「ほいっ」
ーードゴッ
「それっ」
ーーバキッ
「ほりゃっ」
ーードカーンッ
適当に武器を振り回していたらあらかた片付いたので、残った敵を潰していく。これはストレス解消にはなるけど訓練にはならないな、と考えながら最後の一体を吹き飛ばすと部屋の奥に扉が現れた。
「お疲れー!やっぱり楽勝だったね!」
魔法でつくった椅子に座っていたベルが駆け寄ってくる。
「この調子ならクーもすぐ卒業資格ゲットできちゃうんじゃない?」
「それはよかったけど次また急にこんなことしたら怒るからね?」
満面の笑みを浮かべるベルに一応釘を刺しておく。今回は敵が弱かったからよかったが、何回もこんなことを繰り返してたら身が持たない気がするからな。
「ごめんよー…でも結構いい訓練にはなったんじゃない?」
「そう?ただ武器振り回してばかりで腕が上がった感じはしないけど。それにいつも使う武器じゃないし」
「そっちじゃなくて魔法のこと」
そういってベルは俺の体を指差した。
「身体強化を無意識で保てるようになってるでしょ?戦闘が終わったのにまだ強化したまんまだしね」
そう言われてダンジョンに入る前は意識してないと保てなかった身体強化が体に馴染んでいることに気付いた。強化をいったん切って掛けなおしてみると、無詠唱でできることも確認できたし、より強く強化をかけられそうな感覚もある。
「確かに…言われてみるとそうかも」
「でしょ!普通そんなペースで身についたりしないけどなんかクーならいけそうな気がしたんだよね!実戦で身に着けるタイプ?っていうか!」
「ちゃんと考えてくれてたんならいいよ…って結局勘じゃなかった!?」
「あ、ばれた!ふふっ、逃げちゃえー!」
笑いながら今までたどってきた道を逆走していくベルを追いかけて俺も走り出す。
「身体強化使って逃げるとか大人げない!」
「同い年でしょー!あはは!」
◇
「はぁ…はぁ…私の勝ち!」
「早いよ…はぁ…ケホッ」
お互いに息を切らしてダンジョンの入り口で倒れこむ。しばらく休むと落ち着いてきたので立ち上がる。ベルも同じタイミングで立ち上がっていた。
「それじゃ、お腹も空いたし食堂に行こうか!今日はどんなメニューがあるか楽しみだね!」
「確かに。もうお腹ペコペコ」
先導するベルについて食堂へ向かう。ちなみに食堂も七不思議の一つらしい。出てくる料理が他で見たことがないこと、注文してから提供されるまでが速すぎる上に調理場が見えないことから七不思議認定されたとか。
食堂へ向かい食べたいものを注文する。ここのメニューは日によって注文できる料理が変わるため、俺は昨日はなかったチーズインハンバーグを選び、ベルはお気に入りだというオムライスを選んだ。
「ここの料理って不思議だよね。他の町じゃ見たことない料理ばっかりだもん」
「ソウダネ…」
「なんで急に片言?…まあいいか。私ここの料理が食べたくてずっとここで暮らしてるんだよね」
「それは…大丈夫なの?」
「だいじょぶだいじょぶ。うちの人からもあと三ヵ月はここにいていいって言われてるし」
「へぇー、お父さん?」
そう尋ねると一瞬ベルの動きが止まった。
「いや、お父さんではないかな。なんていうか…同僚?」
「ベル働いてるの?」
「はは、まあそんな感じ?…まあこの話はいいよ!もっと別の話しよ!」
半ば無理やりに話が区切られる。もしかしたらベルには家族がいないのかもしれない。もしそうだとしたらあまり触れないほうがいいんだろうなと考えながらハンバーグを口に含んだ。
その後、当たり障りない会話をして部屋に戻るとベルがポケットから緑色に光る宝石を取り出した。
「あー、呼び出しかー」
ベルはそう呟いて装備を身に着ける。なんでも、執行委員の呼び出しらしい。通常の呼び出しだと緑、緊急だと赤に光るのだとか。そこまで遅くならないと思う!とだけ言い残してベルは走っていった。
「どうしようか」
思いがけずに一人の時間が手に入ってしまった。ただ、自由には動けそうにもない。ベルがいつ戻ってくるのかがわからないということもあるが、今日ベルから聞いた話が関係している。
その話とは、犯罪行為はワーデンにより録画されているらしいということだ。犯罪行為を検知するとワーデンは現場の録画と執行委員への通報を即座に行うようになっているらしく、規則にある執行委員会に届けられなかった事件が自己責任というのは単に、ワーデンに犯罪として認識されない程度の事件は自己責任としてもなんの問題もないというだけだったのだ。無法地帯を想定していたのに外なんかよりもよっぽど高いセキュリティであることに対し、俺はハオスに対して「話が違うじゃねぇか…」と殺意を募らせながら眠りに落ちていくのであった。
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【今回の殺害人数】
0人
【total】
356人
ちなみにストックはない。