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天と魔が降る明星に  作者: 地下渓谷
2/10

1 神様の提案

人生最悪の日だ。


等と思う間も無く遮断された僕の意識が次に目覚めた時、そこにあったのは”光”だった。

白い大理石?みたいな物であしらわれた城……というか神殿?の内部?に居た。

疑問符が多いのは、高校二年生と言う短い人生において、大理石も神殿も、その内部も知識でしか知らないからだ。

すげえ。豪華だ。なんて事を先に考えてしまった。

目が眩みそうな輝きの中で呆然としていた。

ふと、視線の正面に一際存在感を放つ椅子が有った事に気付く。

玉座というやつだろうか。


「この度はとてもすまない事をしてしまったね」


いきなり何処からともなく声がした。

反射的に辺りを見渡すが、人の影は無い。


「ああ、失礼。君の目の前に居るよ」

「え……うわ!!」

玉座の方へ向き直ると、さっきまでは確かに影も形も無かったのに、人が腰かけていた。


いや……”人か?”


本能的に全身の肌が粟立つのを感じた。

何かは判らない、判らないが、目の前に居るこの男は……。

「うむ、想像通り、私は人では無い。君達の言うところの神という物だ」

「かみ……さま……?」

「うむ。下の者達からは”大神(グラン・デウス)”と呼ばれているよ」


思考が追っつかない。

いきなり変な所で目が覚めて、いきなり変なおっさんが現れて、いきなり私は神だなんて言われても。

あれ、というか僕、いま何も喋って無かった筈なんだけど。


「うむ、君が何を考えているかは筒抜けだ。ただ、おっさんよりはおじさんの方が嬉しいかもしれないな」

「ひえっ……ご、ごめんなさい……」

「ああいや、いきなりこのような所に連れてこられては無理も無い事だ。気にしないでくれたまえ」

「こちらこそすいません……あの、此処は一体……?僕は夢の中にでもいるのでしょうか?」


心中を指摘された事にテンパり過ぎて完全に委縮してしまった僕だったが、次の神様の発言に目をかっ開く事になる。


「いや、此処は現実だ。君はつい先程、落雷に撃たれて絶命した」


「は?」

はあああああああああああああああああ!!!!?????


「え、ちょ、えっ」

「狼狽えるのも無理は無い。だが絶命は事実だ。受け止めてくれ」

「えぇぇ……そんなあっさり……」


あんまり淡々と告げられるものだから逆に気が抜けてしまう。

せめてあと五倍くらいは心中お察ししてくれ。


「手短だが状況はそんなところだ。さて、本題に入らせて頂く」

「本題・・・?」

なんだ、死んだ事以上にメインにするようなテーマがこの世に有るというのか。あの世だけど。


「まず君の絶命の理由となった落雷だが……先に謝っておく。すまない。これは私の管理する者達が原因だ」

「管理する者達……とは……」

「天使と悪魔、だ」

天使と悪魔。本当にいるんだ。神が目の前に座っているんだからまぁいるんだろうけど。

「うむ、いる。彼等……彼女等は天界と魔界に棲み分けているのだがな。行き来が自由故に今回の様な事が起きてしまった」


今回の様な事……レアケースなのだろうか。

普通に雷に打たれて死ぬよりはレアだろうな。


「私も神となって長いが、大戦が終結してからは殆ど無かったな。というか、君達の世界は遠くてね。こんな事故はまず起こらない……と思ってたんだがなあ。私が考えてたよりも強くなってたんだろうな~~~あのバカ娘共が……はぁ……」

大戦?世界が遠い??バカ娘???何だか繋がりの無いワードが出てきたぞ。どうしよう。


「……ん、すまない。独り言だ。気にしないでくれたまえ」

神様が咳払いをしつつ気を持ち直す。


「事故の概要だが、天使と悪魔の中でも特に強い力を持つ者の喧嘩の巻き添えを偶然君がくらってしまったのだ」

「ざっくり過ぎる!ちゃんと説明してください!」

流石に声を荒げてしまった。いや全く何もわかんねーって。


「んん、すまない。とはいえ、本当にその通りなのだ。天使ミーシャイェール、悪魔ベルゼリーゼ、この二名の決闘による力の拮抗から発生したエネルギーが、時空を超えて君の世界へ飛んでしまい……」

「僕にたまたま直撃した、と」

「うむ」


はーーーーーーーーーなんじゃそりゃ!


「本当にすまない。この二名にはそれなりの処罰を既に与えている。そして君には、例え遠き世界の住人とはいえど、全ての世界を統べる者として責任は果たすつもりだ」

責任を果たす、とは。何でも願いが叶えられるとかそんなんだろうか。神様だし。

いやでも既に死んでるのに願いも何も……あ。


「え、生き返るとかは駄目なんですか」

「……それは出来ないのだ。天と魔の干渉による生命の誕生と消滅は絶対でな。例え時を戻そうと、同じ時間軸に並んだ瞬間に君は絶命する」

「えぇ……こわ……」

「どうしても元の世界に帰りたいのであれば、記憶を受け継いでの転生なら出来るがね。環境もお望みの場を見繕い、運命も誕生から終生まで保障する。それくらいのサポ―トはしよう」


おぉ、話だけ聞くと至れり尽くせりだ。

前の人生に充実感が有った訳でも無いが、不満が有った訳でも無い。

だが、神様に道案内をしてもらって最善の選択をし続けられる人生は魅力的だ。

普通の人間なら誰だってそうだろう。生まれ変わって以前みたく何となく過ごしてるだけでも最善となる。

しかし一抹に思う事がある。僅かに、微かに。


本当にそれでいいのか?と。




「……もし、君が聞く事を許してくれるのであれば、私からも提案できる選択肢が一つ有るが……どうかな?」




ここで神様の提案を、あくまでも話だけならと聞くべきでは無かったのかもしれない。

だが、僕は人生経験の未熟さ故か、まるでゲームの選択肢を選ぶような感覚で。

神様の提案が、もしかすると”面白いかもしれない”と思ってしまったのだ。


それが人生最悪の日から始まる

最悪の人生の始まりになるとも知らずに。


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