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晩御飯

眼が覚めたのはもう日が暮れかかった夕方。自然に眼が覚めたというよりおなかが減ったからという感じだった。よほどぐっすり眠っていたのかシシリアさんも居ないようだ。


「とりあえず起きなきゃ・・・。」


頭の中ではおっさん言葉の俺もどういうわけか口調や仕草をコントロールできていない。 覚醒が中途半端なのだろうか。鉄火場では体のコントロールが俺に大幅に移るので問題ないが感情が昂ると途端にコントロールが甘くなってしまう。自分の体になったはずなのに自分の体ではないような感覚に戸惑うことも一度や二度ではない。しかし今はアルスも落ち着いてきたのか俺に体のコントロールを委ねているようだ。転生というより憑依してるみたいだが気にしたら負けだろうか・・・。


「アルス、起きたのか。」


一階に降りてみるとシシリアさんがこちらに気付いたのか笑顔で話しかけてくれる。一見ぶっきらぼうな態度にも見えるが彼女は包容力のある大人の女性という感じでアルスにとっても俺にとっても嬉しい。


「腹が減っただろう、村長がもうじき帰ってくる。」


そういいながら窓の外を見やると村長が獣を抱えて帰ってくるのが見えた。イノシシかなにかを仕留めたようだ。


「ただいま、おー、起きたのか。」


玄関から入ってくると眩しい笑顔を向けてくれる。すごい暑苦しい人なんじゃないだろうか。


「あの、僕はどうしたら?」


おなかは減っているが黙って食べるのも失礼だ。なにか手伝えることはないかと頼んでみるが・・・。


「お前さんはまだ小さいんだからそんなことをきにせんでいいぞ。」

「でも・・・。」

「此処のキッチンは村長仕様だから身長が170センチ無いと大人でも使えないし。」


ワシは大きいからのう!と村長は豪快に笑う。子供だからという理由もあるのだろうがまさか物理的に無理なくらい高いのか。


「ちなみに私も背伸びしないと使えない。」


女性としては割りと高身長なシシリアさんでも無理らしい。そりゃちびっ子のアルスではむりだろう。身長の差はシシリアさんで1・5倍、俺にいたってはほぼ倍である。


「カミさんも二メートルあったからのう。」


なんという高身長家族だろうか。 前世では身長が160台の俺にはうらやましい限りである。今に至っては栄養失調気味のちびっ子なので身長は120くらいしかないのだ。したがって手伝おうにもシシリアさんくらいでかくないとそもそも調理台が使えないのでしかたないのである。


「おなかすいたー。」

「もうじきだ。」


おなかの虫が催促するのを我慢しつつシシリアさんに寄りかかっていると、村長さんが先ほどのイノシシを丸焼きにして持ってきた。すごいワイルドな食事だな。


「内臓を抜いて中にも詰め物をしたワシ特製丸焼きじゃ!」


どうやって焼いたのか気になるところだが本人曰く骨と一部以外は全て食えるように調理してあるとのこと。腹の虫もぐーと催促するのでシシリアさんが取り分けてくれた肉に早速かじりついた。


「おいちー!」


美味い!美味過ぎる!! これマジでイノシシなのか!空腹を差っぴいても全然美味い!


「じゃろう、これだけはカミさんにも負けんかったからのう!」


村長さんは得意げに鼻を鳴らすとイノシシの足を引きちぎってかぶりついた。 調理だけじゃなく食べ方もワイルドだ。


「カイゼル、アルスの教育に良くない。 ナイフを使え。」


「何を言うか、これはこういう食い方が美味いんじゃ!」


会話をはさみながらなのに足一本がものの数分で骨だけになった。すげー、正直食いきれるかと思ってたがこれは余裕だな。村長さんが食べきってくれるだろうし。あぐあぐ食べていくと丸焼きの内側から香草とそして日本人にはなくてはならないソウルフードがこんにちわした。


そう、米だ!


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