表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

会合の一コマ2

時間停止を解除して少し距離をとると俺は二人に落ち着いて話しかけることにする。


「聞こえてるかい? こっちだこっち。」

「なにっ?!」


俺の呼びかけに最初に気付いたのはラミアのロッチナ。特殊な感覚でもあるのかすぐさまこちらに振り向いた。


「どうやって腕から・・・いやさロッチナのチャームから逃げた?」

「逃げてない、ばっちり掛かったよ。」

「じゃあこうやって会話してることの説明がつかないんだけどぉ!」


言うが早いか獣人の女性が地面を蹴って此方に飛び掛ってくる。眼にも留まらぬ早業だ。 しかし此方だってカイゼルさんに鍛えられてるんだ。 簡単には負けない。


「ビルニム、その子供は普通じゃない! 深追いするな!」


ロッチナが距離を測りながら器用に距離を詰めてくる。俺は防壁を張って獣人の一撃を受け止めると素早く時間停止を行使しつつまた距離を開ける。


「ぐぅ、近づいたと思ったら距離がまた開いてる・・・まるで蜃気楼みたいだね。」

「ハナシを聞いてくれると助かるんだけどなあ。」

「ええい、問答無用!」


獣人の女性の攻撃はやや単調だがスピードが尋常じゃない。時間停止は連続使用には向かないから出来るだけ身体能力だけで回避を試みる。


右手、左手、右手、左手・・・焦ってるのかえらく単調になってくる。かすってるらしくって頬や腕がズキズキする。


「ガルル・・・当たらないじゃん! やっぱり殺しちゃう?」

「カイゼルさんに比べたら単調だから仕方ないね。」

「なに? 今何と言った?」


ギャーギャー騒いでいる獣人の女性を押さえ込んでロッチナさんがこっちに話しかけてくる。


「カイゼルさんだよ、村長さんの。」

「カイゼル殿と知り合いなのか?」

「えっ?そうなの?」


大蛇の体に巻きつかれながら獣人の女性が呻くように言った。大分と強い力で抑え込まれているのだろう。ぎりぎりという音が聞こえてきそうだ。


「・・・というわけで面倒見てもらってるんだ。」

「へー、それで狩りに来てたんだね。」


それから数分。 ロッチナさんが話しを聞いてくれる素振りを見せたので意を決して話を始め、ようやく

聞いてもらえた。


「一人で此処に来たのは大変だったろう。」

「まあ・・・一人には慣れてたから。」

「無理しないでいいよ、私達だって似たようなもんだし。」


身の上話などをしていると二人ともぐっと距離が縮まった気がする。 俺は村のことを知らなかったし二人もあまり話してくれなかったので知る方法もなかったがどうやらこの村は戦火を逃れて集まった難民で

できた村らしい。カイゼルさんが頭目になったことで一応のまとまりをもちドワーフが鉄を鍛えて道具を作り、皆がそれを使って畑や家を作った。


やがて方々の国で影響力を持つに至ったカイゼルさんがこの村の自治を得た事でこの村には人間種以外の

亜人種が寄添って暮らす村になった。

集団で暮らせる人種はカイゼルさんが住む家の周辺に。

同じ群れのみで暮らす種はその村の周辺に連絡手段を残して独自の住処を作った。


カイゼルさんが言っていた会合とはそんなバラバラの場所に住む種族の異なる村民たちがそれぞれの代表者を送って村の発展の為に意見を交わすための集まりなのだという。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ