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会合の一コマ!

嫌な予感はしていた。アルスはまだまだ子供だから仕方ないが俺だってそれなりに修羅場を潜ってきたんだ。残念ながら育ちがよくなくってな。

正面からなら刃物持った相手くらいワケないくらいだ。前世じゃしくじって死んじまったが警官が落ち着いてりゃ死なずに済んでたからノーカンだ。


そんなわけで俺がなにが言いたいかというと森に入ってアルスが獣を探し始めたときから不審だった。

最初はアルスがバカ正直に正面から獲物を狙ってたから獣がアルスに気付いて逃げたものとばかり思っていた。


けれど真実はそうじゃない。 森に獣を寄せ付けないなにかがいる。 しかもこの近くにだ。

アルスは全く気付いていないが俺にはわかる。殺気というか敵意に近い何かが俺達を探っている。

品定めをするような感覚に陥る。 ジロジロ見られてる。対するアルスは全く気がつかずに獣が居ないことに不審がってるだけだ。 無用心すぎる。


『誰か居る、見られてる。』


警告を送ったが手遅れだったかもしれない。ここからでは叫んでもカイゼルさんたちは間に合わないだろう。それからはあっという間にアルスが捕まってしまう。体のコントロールを移譲することすら忘れてやがるな。


「綺麗な瞳・・・。」


アルスがラミアの顔を見た瞬間急激に意識が混濁していくのがわかった。チャームかなにかにかけやがったな。


「さて、ロッチナのチャームは抜群だからねえ。キビキビ答えてもらうよ~。」


後ろから声が聞こえる。背中にやわらかい感触が伝わってくるから間違いなく女性だな。


「答えろ、お前は何故此処にいる?」

「・・・僕は・・・狩りに・・・。」

「へえ、狩りね。 でもここ入っちゃ駄目な場所なんだよ?」


背中の声は若干の怒気をはらんでいる。口調こそ砕けているが目の前のラミアよりコイツのほうが厄介だな。


「お世話になった人・・・お礼・・・。」

「断片的だなあ・・・。」

「うむ、すこし術が強すぎたか? 術の強度を誤ったようだ。」


「え、じゃあこれ以上ハナシ聞けないんじゃないの?じゃあ殺しちゃう?」


そろそろ限界だ。アルスの精神が大分参ってきてる。俺は強引にアルスの意識を引き剥がすと同時に時間停止の魔法を発動させた。


「ったく、好き勝手言いやがって。」


体を入れ替えて羽交い絞めから脱出する。時間が止まっている世界では筋力なんて有って無いが如しなので簡単に抜け出せるのが幸いだ。


「コイツ・・・獣人か?」


ピンと伸びた犬耳が見える。体つきは頑丈そうで顔以外の服から覗く肌に無数の傷跡が残っている。

肌は小麦色で髪色は赤っぽい。顔立ちは獣のような灰色の目に切れ目を入れたような瞳、整った顔立ちは好戦的な笑みを浮かべている。


ロッチナと呼ばれたラミアの知的な感じとは対照的に活発そうな印象を受ける。


「そういや初めて会ったときのシシリアさんと似たような事いってたな。」


そうなると不必要に傷つけるのはマズイか。俺は適当に距離を開けて二人に話しかけることにする。


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