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カイゼルの話。

シシリアがしばらく考えていたがあるものを渡して再度その魔法を使うように伝えた。それは魔力に敏感なアレイヤの花。 触れるものによって色を変える不思議な花じゃ。


「うーんと、じゃあいくよ?」

「ええ。」


そう言うとアルスはまたもや瞬時に姿を消した。すると今度はシシリアの隣に移動していた。


「わかった、おそらくだけど。」


全く状況が見えてこないワシとは裏腹にシシリアはどうやらこの魔法の正体に気付いたらしい。


「カイゼル、花を見て。」

「花?」


アルスの手にある花を見ると見事な青色に染まった花が咲き誇っている。 これがどうしたのだろうか。


「この花は一色に染まるには数分の時間がかかる。それが一瞬で染まったということは私達が認識できていない瞬間にも花の時間が流れていた証拠。」


シシリアが自慢げに豊かな胸を張る。 たしかにそれならば説明がつくが・・・本当にこの子はなんなのだ?


「とんでもない力だけど、いろいろ枷がありそうだのう。」


シシリアは気付いておらんが相当に魔力を消費しておるようじゃ。すくなくとも連発はそうできないシロモノらしいの。起きたばかりだというのにアルスは目を擦り始めた。


「無理させてすまなんだのう、アルス。 今日はもう寝なさい。」

「ん、いいの・・・おやすみ。」


短くそう答えるとアルスはシシリアに寄りかかったまま寝息を立て始める。 やはりまだまだ子供じゃ。

しかし難しいのう、このような特殊でしかも強力な力をもった子供をどうすれば幸せに一人前にしてやれるのか。



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