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プロローグ

ああ、死んでしまうとはなさけない!

俺の名前は五木 葵。器用貧乏を地でいくしがない学生さ。 そんな俺はある朝暴漢に刺されて死んでしまった。


ただやられたわけじゃないんだぜ? きっちりとボコってやったんだが警察のお兄さんに犯人と一緒に押さえ込まれた時に傷ついてた血管に大きな裂け目が出来て大量出血。

俺はそのお兄さんの警察人生と一緒に終了しちゃったワケ。そんなこんなでいろいろと考えていたところ俺はいつの間にか役所の一角のような場所にいた。


「どうもこんにちわ、五木さんでしたね。」


カッターシャツに腕に事務員がつけてるようなカバーをつけてメガネを光らせた役所の事務員さんがいた。


「あ、はい、どうもです。」

「此度はご愁傷様でした、人生半ばでの死は無念だったでしょう。」

「あ、いえ、まあ目標もなかったですし。」


ご愁傷様と言われてもなんかネタになりそうな死に方だったし出血もひどくて痛みを感じる間もなかったしな。


「さて、それでは早速ですが生まれ変わりの手続きを始めましょうか。」


そういうと事務員さんは書類を一枚取り出すと俺の手に機械を当ててバーコードのようになにかを読み取っていた。


「ええっと、生まれ変わりに当たりまして貴方の善行と悪行を差し引いて余ったポイントを貴方の来世での才能や待遇に反映させることができますよ。」


そういうと事務員さんは電卓を叩いてポイント換算をしてくれる。ステータス割り振りのようなものなのか?


「ええっと、最後に貴方殺人鬼をノックアウトしてますね・・・それで大幅な善行ポイントがあります。」


悪行も小さなことだけですね、と事務員さんは笑顔で言ってくれる。そうして算出していくとどうやら俺の持ち点は274点。最後の殺人犯をボコッた善行で死ぬはずの人が数人助かり100点プラス。やったね!おかーちゃん!善行積んでよかった!


さてウキウキしながら書類を見ていくと・・・。


能力値の付与は最低が10、最高が100か。つーか端数がでちゃってるけど4とかどこで使うんだ。しかし親切な対応だ、能力の説明には振り仮名がふってある。


270点が使い道だが・・・どうしたもんかな。そんな風に考えると使い道なんて幅が広がらないもんで・・・。気がついたら50点の能力強化を膂力と体力に、そんでもって容姿のところに100点振って、待遇にも50点。24点余ってしまった。どうしよう・・・魔力とかわけのわからんもんに振りたくないしかといってもうバッドステータス系しか残ってない。


そう思いつつ文句言わず待っていてくれる事務員さんに謝りながら24点の使い道をさがす。


書類を端から端までなめるように見つめているとふと書類の汚れに目がいった。なんだこれ?書類は真新しい紙なのにここだけ汚れてる?じっと見つめてみるとこれ、文字っぽいな。


「すみません、ちょっと虫眼鏡とか借りることってできますか?」


「かまいませんよ、どうぞ。」


老人が使うような分厚い虫眼鏡を渡される。かなり重いぞ2キロくらいあるんじゃないのか?!バランス悪くて手首が震えるんですけどこれ。ぷるぷるしながら虫眼鏡で小さな文字を見てみると。


『きゃっ、みつかっちゃった!』と書いてあった。すげえイラつく文面だな・・・ナメてんのかこいつ。

そう思っていると小さな文字がインクが滲む様に広がっていき新しいポイントの割り振り先が現われる。


「おめでとうございます。」


俺が驚いて固まっていると事務員さんが笑顔で言う。


「この文言は隠しスキルの選択肢になっています、不思議な力を格安ポイントで使用できますよ。」

「えっ?」

「これ、善行をそれなりに積んでなおかつ短命だった人にだけ見える文字に細工してあるんです。」


ですから人生のボーナスタイムとでもおもってくださいと事務員さんは言ってくれた。まじか!超すげー!空を飛べるのにかかるポイントがたったの10点!オラわくわくすっぞ!この際待遇を大幅に削って64点残すことにしよう。えっと・・・ん? なんだこのスキル詰め合わせパックって。なになに・・・隠しスキル一覧から6つランダムセレクト、30ポイントなり。


おお!ランダムってのがちょっと引っかかるけど御得じゃん!しかもこれだと34点余るし!それじゃあ残りは・・・あっ!これは!


時間停止30点。


うおおおおおおおおおお!!!時間停止きたこれ!チェックと、それと・・・やっぱし端数が出たな。初めてのことだしちゃんと聞いとこう。


「あの、端数ってどうすれば?」

「ああ、それですとスキルに重ねがけできます。」

「重ねるとどうなります?」

「簡単に言いますとスキルがパワーアップしますね。」


へー、ちゃんと使い道が用意されてるんだな。じゃあ時間停止に四点つかっとくか。


「たった四点ですけど効果あるんですか?」


「ええ、微々たるものですがちゃんとありますよ。」


なるほど、俺は一応記入漏れがないか確認してから事務員さんに書類を手渡した。


「ありがとうございます・・・ええ、間違いはありませんね。」


ときどき点数をオーバーする人がいますからね、と笑って言う事務員さん。人間を相手にする職業はどこに行っても大変なんだな。


「さて、これで事前の手続きは完了です。 貴方はこれから新しい世界に転生していただくわけですが私の部署では把握はしておりません。用意した扉を潜っていただくと自動的に世界に割り振られるはずですので安心してご利用ください。」

「はい、ありがとうございます。」


そう言うと事務員さんは指をパチン!と鳴らす。すると事務机と彼の服装や雰囲気に似合わないようなファンタジックな扉が音を立てて現われる。


「趣のある扉ですね。」


「よく言われます。」


俺はもう一度事務員さんにお礼を言って立ち上がると扉の前に立つ。すげえ、石造りのすごい重厚な扉だ。昔旅行番組とかで神殿がどーたら言ってた扉にそっくりだ。さすがに緊張する・・・扉を押すとゴリゴリと石が擦れる音がする。


「おお・・・。」


扉の先にあるのは白い光。 その先には何があるのだろうか。少なくとも今度の人生には俺が選んだギフトがある。そして出来ることなら誰かを踏みつけることなく幸せになりたいと思った。


プロローグだけ長くなっています。

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