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影の航空機━ノベライズ━  作者: 紫 和春


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第56話 騎士の戦い

 グリニッジ標準時8月24日午前8時。

 イギリス西部のプリマスに、国籍不明勢力の爆撃が行われていた。

 これに対し、イギリス空軍が迎撃のために出撃する。


『国籍不明勢力なんて、太平洋の話じゃなかったのか?』

『分からない。とにかく、今は敵の爆撃機を墜とすのが先だ』

『今日のシフトが終われば休暇だったってのに、ツイてないぜ』

『安心しろ。こんな状態になれば、休暇返上で基地に帰ってこいって言われるからな』


 イギリス空軍のF-35が上昇し、レーダーで判明した敵の位置まで飛行する。すぐに目標は見つかった。


『敵の航空隊はケルト海近くから出現している。プリマスに空爆しているということは、おそらくファルマス辺りの上空にいるのだろう。これ以上、民間人への被害を出させるな』


 所属基地の司令部から、そのように伝えられる戦闘機部隊。


『そういや、アメリカは国籍不明勢力隷下の人工島を撃沈させたっけな。我が空軍でも報復攻撃はするのか?』


 前線の戦闘機部隊の隊長が聞く。


『国防省からは速報で、タイフーンによる空爆の可能性を示唆している。しかし、アメリカは大量の爆撃機による空爆で破壊していた。我が国にはそれ相応の爆撃機は保有していない。そのため、報復攻撃はあくまで無力化程度にとどまっている。また、在英アメリカ空軍に空爆の協力要請も行っているらしい』

『俺たちだけじゃ、火力が足りないのか』

『仕方ないとはいえ、こうした急な有事に、一国で立ち向かえないのは歯がゆいところだ』

『それは司令部の我々も痛感している。しかし、我々は協力と同盟の元、こうして国家を維持してきた。今再び、その力を発揮する時だ』


 そんな話をしていると、目の前に巨大な航空機が複数見えてくる。


『デカい機体をいくつか確認した。周りには比較的小さい航空機がそれなりにいる』

『司令部より戦闘機飛行隊へ。攻撃を許可する。IFFにない機体は全て撃ち落とせ』

『了解。隊長機から各機、ウェポンズフリー。残弾がなくなるまで撃ち尽くせ』


 敵飛行団との距離20kmで、F-35戦闘機群は中距離空対空ミサイルAMRAAMを一斉に発射する。

 まともな対抗手段を持ち合わせていない影は、大型機を中心に次々とAMRAAMの餌食となっていく。

 その一方で、戦闘機部隊のことに気が付いた敵の護衛戦闘機群が、一斉に戦闘機部隊へと向かってくる。


『敵の小型機、こちらに向かってきます』

『距離はまだある。過度に恐れるな。継続してミサイルを撃ち込み続けるんだ』


 そういってありったけのミサイルを撃ち続ける。やがて向かってくる小型機もほとんどを撃ち落とし、残っているのは4機のみであった。


『ミサイル残弾ゼロ。残りは機銃のみです』

『よし。ここからは、各飛行班に分かれて迎撃する。くれぐれも友軍誤射だけはするなよ?』

『分かってますって』

『では散開!』


 そうして飛行班ごとに分かれる。4機とはいえ、敵の旋回性能、機銃の量は脅威となりえる。だからこそ、1機に対して数班で襲い掛かるのが効果的なのだ。

 さらに速度差も重要である。敵の速度はかなり遅く、簡単に追い抜いてしまうし、追い抜いた後の旋回も大変だ。なので、数班が常に攻撃し続けられるようにする波状攻撃が有効なのだ。

 こうして丁寧な戦闘を行った事で、プリマスを襲っていた敵飛行隊は全滅した。


『敵の全滅を確認した。ご苦労』

『民間に被害が出てしまったことが、今回唯一の反省点だ』

『それは基地に帰ってきてからしてくれ。それと、国防省から通達が来た。巡航ミサイルを搭載したタイフーンが離陸したそうだ。まもなく敵の人工島に巡航ミサイル12発をぶち込むらしい』

『それだけあれば、滑走路は使い物にならなくなるだろうな』

『そしてアメリカ国防総省からも連絡だ。在英アメリカ空軍が爆撃機の使用を許可した。巡航ミサイルを撃ち終えたタイフーンが戻り次第、人工島に対して空爆を行ってくれるそうだ』

『それは朗報だ。ぜひともエスコートさせてほしいものだ』


 そんなことを言いながら、F-35戦闘機部隊は基地へ帰還する。

 その数時間後。アメリカ空軍の爆撃機によって、イギリスとスペインを攻撃目標としていた人工島は、大量の爆弾によって空爆され、夕方ごろには自沈していたのだった。

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