2026年7月13日:サンリオでお得。(サンリオの魔法と、小さな電子の壁)
今年も、我が家にあの鮮やかな郵便物が届いた。ポストの口から覗くのは、一目でそれと分かるサンリオ一色の賑やかな封筒である。日々の食卓を支えるお米や調味料、あるいは冷凍食品といった実利至上主義の優待品が溢れる我が家において、この封筒だけは完全に異彩を放っている。そう、これこそが我が家の優待生活における、唯一無二の「非食品系」の愉しみなのである。
封を切ると、中から現れるのは毎年恒例の株主優待セットだ。サンリオオンラインショップで使える1000円分のクーポンに、サンリオピューロランドの入場券、そしてファン垂涎の限定非売品アクリルスタンド。今年はパステルブルーを基調とした、翼の生えたキャラクターたちが集う可愛らしいデザインである。
さっそく「保護フィルムをはがしてください」という注意書きに従い、透明なパーツを一つずつ慎重に台座へと差し込んでいく。キティやマイメロディ、ポムポムプリンたちが立体的に立ち上がると、卓上に小さなテーマパークが現れたかのような華やかさが満ちる。その様子を横でじっと見つめていた妻の口元が、みるみるうちに緩んでいく。組み立てられたアクスタを前に、ニヤニヤと嬉しそうに微笑む妻の顔を見るのは、この優待がもたらしてくれるささやかな、しかし確かな我が家の風物詩だ。
ひとしきり眺めて満足した妻は、中身が空になったあのサンリオ一色の郵便封筒を、そっと大切そうに抱え上げた。そして、部屋の奥にある彼女の「秘密の小箱」へと仕舞い込んでいく。あの可愛らしい封筒は、彼女にとって単なる梱包材ではなく、コレクションの一部なのだろう。
しかし、楽しいばかりではないのが世の常である。今年からのサンリオの優待は、ちょっとした変化を伴っていた。これまで毎年、知り合いのお子さんへプレゼントして喜ばれていたピューロランドの入場券やクーポンが、今年から「電子受取」へと移行したのだ。スマートフォンの画面を操作し、専用のシステムを経由して受け取るその手続きが、どうにもややこしくて手間に感じられてしまう。
いつものように馴染みのラウンジのいつもの席で、淹れたてのコーヒーを片手に優雅にスマホを操作するのなら、少しは心の余裕も違ったのかもしれない。だが今日に限っては、そんな贅沢な空間に私はいない。自宅のいつものリビングで、少々格闘気味に画面と向き合っているのである。デジタル化の波は容赦なく日常の片隅にまで押し寄せ、利便性の裏側にあるちょっとした泥臭い手作業を要求してくる。あちこちのページを遷移しながら、「前の方がシンプルで良かったなぁ」などと、ついアナログの気楽さを懐かしんでしまう自分がいた。
それでも、ようやくの思いで電子クーポンの受取を完了し、卓上の美しいアクリルスタンドへと視線を戻す。2026年の文字が刻まれたその透明な輝きと、それを見て今なお嬉しそうな妻の横顔がある。電子の手間という小さな壁を乗り越えた先にあるこの笑顔こそが、我が家のささやかな優待生活をこれからも彩り続けてくれるのだろう。そんなことを思いながら、私は少し冷めてしまったお茶を啜った。




