7話
「うーん、久々」
「なんか言ったー?」
「なんも!」
ガチャガチャと音量がマックスのBGMは中々うるさい。
「見て、涼介。あれ可愛い」
「やんの?」
「やるー欲しい」
でかめのトラのぬいぐるみに食いついた高梨子。さっそくプレイし始めた。狙ってるが、なかなかとれない。
見てアドバイスしていた涼介に、代わりにやって、と言ってきた。
やってみたら意外や意外、一発でとれた。それに涼介が「まじ…?」と一番驚いていた。その隣で肩を組んで高梨子が叫ぶ。
「うそっ涼介天才!」
高梨子が子どもの様にはしゃいでて微笑ましくなった。
「ばいばい涼介」
「じゃーな」
大きなぬいぐるみを抱えた高梨子に手を振る。
帰り道、先ほど見た映画の内容が突然ぶり返してきた。高梨子といる間はよかった。明るい内に今日は帰る、と決めていたのに、時間はあっという間に過ぎる。今、すでに太陽が傾いて沈み始めている。
歩いているだけなのに、そこにある電柱の影とか、壁の隙間とか至る所が目については気の所為だ、といいきかせる。
こういう所だ、ホラーの苦手なとこは。余韻が凄すぎる。
家に帰って一人だったらどうしよう、と柄にもなく涼介は焦った。家に着く頃には空は夕陽の名残であかく、道は薄暗くぽつりと街灯がついていた。
部屋の前まで帰ってきたとき、階段をのぼる速さはいつもの倍以上だった。
頼む…いてくれ、えーた。
ドアを開くと、まず靴が目に入った。
それだけで今日俺はツイてる、と涼介は安堵した。「ただいま」と息切れしながら言うと、「おかえり」という小さな声が向こう側でした。それに、心底胸を撫で下ろすと、弟の気配を感じながら風呂場に直行した。
カラスの行水並みに全身を洗い終え、風呂からあがった。
何時もは洗面台で適当にするドライヤーも、今日は居間でする。
ざっと乾かした後、歯を磨きながらチラリと上の方をみる。
明かりは消えている、静かだが寝ているのだろうか。
早く帰ってきたと思ったら、すぐに就寝して、また夜中に電気がついてる事がある。
そういう所は涼介も似たり寄ったりだ。
歯を磨き終え、明日の授業の予習をしておく事にした。前回暗記するよう言われた箇所とノートを見返していく。それが終わった後は読書だ。
涼介の寝る場所は本が所々積まれている。少しずつ増えていき、置き場所に頓着しない涼介は床にそのまま積むスタイルだ。
いい感じに眠くなってきた。
このまま眠りにつけそうだ、と思っていた涼介。いざ目を閉じると、よみがえる恐怖シーン。
…寝れねえ……どうしよ。何で電気消したんだろ。
スマホをいじり、高梨子に"ねれねー"と送る。
しかし、既読に中々ならない。
伊藤と与恵はイジってネタにしてくるのであえて送らない。




