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香る、橙  作者: 真砂木
12/12

12話


  "喧嘩した"

  "えーたには何も知らない振りでそれとなくフォローしてやって"


 メッセージを送り項垂れる。


 笑一太とのやり取りのあと、大学へ行き、講義が始まる前の教室で席についた涼介は頭を抱えていた。


――何言ってんだ俺…

 嫌いだ―、なんて小学生かよ。

 ああ、でも――。

 口から出した言葉は戻せない。


 あーあ、偉そうな事言って自分はどうなんだよ…


 冷静になれなかったのは、自分だ。


 ここを出ていけなんて、言っていない。そう誤解させる事を言った。


 弟から自分はどう見られているのか涼介は気になった。

 ―ウザくて嫌いなんだろ…?――

 そんな事思ってない、そういう風に見られていたのは、――

 

 俺はえーたと仲良くいたい、だから…話す。それで、その後えーたがどう思おうと、それはえーたの考えで、後は、もう委ねる。

 でも、どう伝えよう

 「おっす」

 与恵がやってきて、涼介の隣に座る。遅れて伊藤もやって来た。

 あ…、ここにいいアドバイザーが…


 「二人は喧嘩とかしたら仲直り、どうやってすんの…?」

 「あ?」

 唐突に質問してきた涼介を見て伊藤が「けんか…?」と眉を寄せたあと、面白がるように笑みを浮かべて言った。

 「なんだ、誰かと殴り合ったのか」

 「違う…お前等の喧嘩ってそんなハードなの?」

 「え、どうだっけ?」

 「俺に振るな…、まあ、そこまでいったことはなかった、よな…?」

 「覚えてねーな」

 「お前が誰かとやり合うのを止めたことは何度もあるけどな…」

 与恵がジトッと伊藤を見て言った。

 そんな二人の会話を聞きながら涼介は訊きなおす。

 「…、じゃあ軽いケンカはどうしてんの?」

 「さあ」

 「さあ?」

 「だって、…なあ?」

 「いつの間にか直ってんだよ。俺等は大体いつもそう」

 「いつの間にか……、全然参考にならない」

 「誰とケンカしたんだよ」

 「…、弟」

 「ああ、それで」


 「今まではどーやってたんだよ?まさか、これが初めてじゃないだろ…?」

 「えーーと、小さい頃なら…確か二人みたいだったと思うけど…」

 そこで教室のざわめきが静かになり、講義が始まろうとしている事に気づいた。

 「早いうちに仲直りしろよ」

 与恵に言われ、涼介は小さく返事をした。

 「おう」

 

 

 

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