表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
香る、橙  作者: 真砂木
1/12

1話


「えーた、お前飯は?」

 涼介は洗面台にいる弟をのぞき込んで呼びかける。


 鏡越しに一瞬だけ目が合うと、髪を整えていた弟は振り返るなり「バイトあるからいい」と、涼介の前を通り過ぎていく。


 こちらに見向きもせずに出て行く弟。

「あ…っそ」

 ずっとこんな調子でやってけんのか…どういうつもりだ、ばか。

涼介は物悲しさをすこしだけ感じながら心の内でつぶやく。


 先週から高校を卒業した弟が部屋にやって来た。

 同居する事に、親は安心した様子だったが、涼介は違った。

 今まで弟と接する時、どうしていたか、あまり記憶にない。

 いや、思い出したくない、とでも言ったほうがしっくりくる。

 まだ思春期で、弟に辛くあたっていた昔。


 それからは、弟とあまり会話という会話もせず互いに上手く噛み合う気配もないままやって来た。


 今更一緒にだなんて、少々無理がある。

 そんなことを思っても、あれよあれよと言う間に荷物は運び込まれる。やがて本人もやって来る頃には諦めて受け入れる姿勢でいた。


 しかし、今のような、あまり関わらず生活をしたいという、露骨な態度はいささかくるものがある。


 まあ、自業自得なんだろうけど…

もう少し喋ったり、コミュニケーションをとろうという気持ちが窺えればなんとかやれそうな気もするのに。


 今更そんな事を言っても…どうもならない事は目に見えている。

 涼介は長い溜息をついて、自分も大学に行く準備をし始めた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ