【起】【承】【転】【結】をぶっ壊しちゃったで章 ~最終回~
昭和63年、夏——。
杉山雄二は、中学最後の夏休みを迎えていた。受験戦争真っ只中の中三だが、雄二は勉強そのものが大嫌いで、両親の心配などとんと気にする風でもなく、毎日ゴロゴロと過ごしている。
同時に反抗期、思春期の真っ最中のため、親も迂闊には叱れなくなり、何か言おうものなら椅子やら置き物やらを投げ付けるという家庭内暴力が始まるのだ。
最近は、二階の自室でタバコも吹かしているわけだが、臭いが階下にまで届いていても、家族はもはや何も言わなくなってしまった。
雄二は、身長180センチ・体重80キロと、中三ながら父親を凌ぐ体躯となり、家族にとっては恐怖の対象でもあった。
「ああ、やっぱりなあ。おい雄二、遂に連載終了だってよ」
雄二の友人、島田明は読んでいた週刊少年「チャンプ」を部屋の隅にぶん投げた。「チャンプ」は連載漫画雑誌のことで、雄二は毎週欠かさず購読している。
「終わったって、何が?」
「士武良の拳」
「え、マジで? 士武良の拳終わっちゃったの! 何だよ、超ショックじゃん」
ラジカセから流れていた光GENJIの「パラダイス銀河」が終わったところで、テープも全て巻いたらしく、ガチャッと再生の止まる音がした。
雄二はブツブツ言いながら、開閉ボタンを押して、新しいテープを入れ直す。
ジーッという音の後に、中森明菜のヒット曲「TATTO」が流れ出した。
「え、何? 雄二、この漫画気に入ってたんだっけ?」
「当然だぜ。絵も良いけど、ギャグのセンスがあると思った。敵の兵法に対抗して、主人公が屁をすかさずぶっ放すとこなんか笑えた。『屁法、兵法に勝り』とかっつって!」
明は、複雑な表情で笑い顔を作り、雄二が今夢中になっているTVゲームの前まで来る。
「まあ、惜しい漫画だったけど、そっちはどうなんだよ。2よりおもしれえの?」
雄二が夢中になっているのは、今朝発売されたばかりのファミコン新作ソフト「いただきクエストⅢ ―そして、旅立ちへ―」だ。
このゲームシリーズは、10代の少年たちを中心に瞬く間にバカ売れとなり、今や『いたクエ』といえば、巷のおばあちゃんでさえ意味がわかる空前絶後の人気作品なのである。
今回の新作が三作目となり、発売日当日は電器店に長蛇の列ができ、売り切れ御免現象が各地で発生した程だ。
雄二も、世の少年たちのご多分に洩れず、夜中の終電で秋葉原へと出かけ、深夜1時過ぎからずっと電器店前に並び、午前10時頃にこの「いたクエⅢ」をようやく手にしたのである。
「いやあ、昨日徹夜したからさっきまで眠かったんだけどよ、眠気が一気に醒めた! マジでおもしれえ! 2よりも格段におもしれえよ!」
「おめえ、俺が遊びに来る前からずっとやってたのかよ。よく目が痛くならねえな!」
ちなみに明は、『いたクエ』の虜にはなっていなかった。
「家帰って2時間くらい寝て、それからだから6時間くらいやってるよ」
そろそろ夜の7時になろうとしているところだ。雄二の両親は共働きのため、夜8時近くまで帰って来ない。
「お前って、本当に『いたクエ』が好きなんだな。んで、どこまでいったよ?」
「レベル15。なんか途中で、勇者が強制的に死んじゃってさ。思わず『死ぬなよ、タルノ、頼むよ、勇者っ!』って叫んじゃったよ!」
明が、そこで吹き出した。
「なんだよ、タルノって。ヘンテコな名前だな」
「うるせえな、悪いかよ」
明は、ニヤニヤしながらゲーム画面を食い入るように見て来た。
神父が教会で勇者に神のお告げを伝えているところだが、文字画面をよく読むと、仲間一人一人の次までのレベルに関する表示が出ている。
このシリーズではよくある設定で、残りの経験値をいくつまで伸ばすと次のレベルアップに行き着くか、ということを教会の神父と話すことでわかるようになっている。
「何だぁ? ゴルナ、オリャホ、キュナって。自分で仲間の名前を付けたのか?」
「別に意味はねえよ。今回のゲームから自分で名前が付けられるっていうから、単なる閃きさ。ほらあれだ、アレ!」
雄二が指したのは、さっき明が放り投げた雑誌、「チャンプ」の裏表紙の広告だった。
広告には、頭の禿げた爺さんが腰を曲げ、苦悶の表情を浮かべている。それが背景人物で、前面にはプラスチック製のスティックタイプの塗り薬がデカデカと表示されていた。
ギザギザの吹き出しには、大仰なキャッチコピーがある。
『あなたの健康法、それで足るの、足らないの⁉ コルナ~、肩! 来タナ~、腰! キュ~な肩こり、腰痛にはこれでスッキリ、肩・腰によく効く【オリャホン】、新発売!』
と、ある。
テレビのCMでもやってる「折谷本舗製薬」の新商品だ。
「何だこれ、おめえ。こんな広告の一言から4人の名前考えたのかよ⁉ 何考えてんだよ、ばっかじゃねぇの、ぎゃっはっはっは!」
明の笑い声と共に中森明菜の曲が終わり、続けて同じく女性アーティストの工藤静香の歌声が聞こえて来た。
「うるせえなぁ、誰がバカだよ! めんどくせえから、目に入ったもんで適当にくっ付けたんだよ!」
「つうか、おまえ今セーブしてんだろ。だったらもうやめろよ! どっか飯でも食いに行こうぜ。近くに『すかいらーく』があんじゃん」
明は腹をさすりながら友人を飯へと誘い出すが、当の雄二はゲームをやめる気配などなさそうだ。
またゲームの主人公たちがどこかへ歩き出すのを、明は忌々しそうにブラウン管テレビの外から睨んでいる。
「もうちょっとだけ待ってくれよ。今から行くとこがあるんだ! 腹減ってんなら、うちの冷蔵庫から好きなもん食っていいから!」
「あんだよ、せっかくバッティングセンター行こうって誘って来たのによ。『いたクエ』なんかに夢中になっちゃってよぉ。ったく!」
明はぶつぶつ言いながら、部屋の外へと出て行った。冷蔵庫を漁りに行ったのだろう。雄二は構わずに『いたクエ』の冒険を進めている。
井戸の抜け道から北の森、北の森から吹き風の丘、そして丘の先には目的地の「カジノ城」がフィールド上にはっきりと現れた。
敵遭遇が面倒くさいため、雄二は勇者たちにずっとアボイル(聖域魔法)を掛け続けている。
3時間以上かけてようやく敵が落とした『深緑の涙』を手にし、ポーカーディーラーが居る3階の間へと辿り着く。
「教会の神父からの情報だと、とにかくポーカーに勝たなきゃいけないんだよな。だけど負けたら何にもならねえんだろ。しかたねえから、セーブポイントからまたやり直さなきゃ大損するよな。なんかめんどくせえ」
ブツブツ独り言を言いながらも、ポーカーに挑む気は満々である。
実際、最終セーブポイントがヴェリコルッセの教会だから、ゲーム上とはいえカジノ城までの歩き出はある。ポーカーに負けて貴重な『深緑の涙』を奪われたとなっては、ゲームをリセットして、もう一度セーブ地点からやり直しをした方が損はしないのだ。
「ゴールデンメタル装備」の品々が一挙に手に入るチャンスが目の前にあるものの、ゲーム開発スタッフも、楽してプレイヤーの手に入らないようにはしてある。
展示されている「ゴールデンメタル装備」の前まで歩を進めるが、当然手に入るわけでもない。続けて、その後ろにいる男に向かって話すボタンを押してみる。
ラジカセからは、サザンオールスターズの「いとしのエリー」が流れ始めた。
と、同時にポーカーもスタートした。
『笑ってもっとBABY、むじゃきにON MY MIND♪』
歌に酔いしれているところ、札が再度配られる。
相手はゲームキャラクターなだけに、当然無言だ。まさにポーカーフェイス。
『泣かせ文句のその後じゃ、エリー、MY LOVE SO SWEET♪』
トゥーペアの勝負となった。相手の札は見えない。だが、歌に酔いしれているため、そこまでの危機感はなかった。
まあ、さっきの所でセーブもしているし——。
『エリー、MY LOVE、エー…リィィィ~~♪♪』
勝った! 相手はワンペアで、俺はトゥーペア、この勝負は——!
「残念でした」
と、ディーラーの台詞画面が突然表示された。
え、「残念」、つまり、負け?
雄二は、固まってしまった。
ゲーム画面は「残念でした」の文字表示が出たまま、8ビットの静止画が続いている。
ラジカセのテープもここで巻き終わり、カチャッとその役目を終えた。
「何だよ今度の『いたクエ』は、ポーカーもできんのか⁉」
雪見大福を付属のプラスチックフォークで食べている明が、再び画面を覗き込んで来た。いつの間に帰って来たのか。
「ふむふむ、なるほどな。お前がトゥーペアになってるのはわかるけどよ」
明は、雄二よりはポーカーに詳しかった。
「な、な! 変だろ。ワンペアの相手が何で俺に勝つんだよ!」
「よく見ろよ。この『J』ってのは、ジャックじゃなくて、ジョーカーじゃねえのか。マークもミツバやスペードと違うみてえだしよ」
ジョーカーはどんなカードにも化けることができる! それで相手も、持ち札からトゥーペアになれたってのか。
「まあ、そういうことだよな!」
明は、デカい口を開けて、大福を放り込んだ。
「いやいや、待てよ。ちょっと、待て! 同じ訳同士の対決は、ジョーカーを利用した役の場合は、俺みたいに利用しなかった純粋な役には勝らないってルールが公式だったよな」
部屋には一瞬の沈黙——。
明がモグモグしながら少し考えている様子で、やがてゴックンと冷たい大福アイスを飲み込んだ。
「うん、う~ん、そうだよなあ——。それじゃあ、あれか。ゲームの方の設定がおかしいのか……な?」
狭いゲーム部屋には、再び静寂が訪れた。
だが、明は見逃さなかった。雄二の血走った目。震える両手。そして闇の底から出でし歯軋りの音!
次の瞬間——。
「んだよチクショオオオォォ! インチキじゃねえかあああ‼ これ以上やってらんねーよおおおおおぉぉぉ‼︎」
雄二が、突如怒り狂った。
リセットボタンを押して、電源を切るわけでもなく、いきなり『いたクエⅢ』のソフトをファミコン本体から引っこ抜いてしまった。
画面は当然フリーズし、また景色もブレて、引っ掻き傷のような縦線の乱れが画面いっぱいに生じた。
今までカジノの優雅な音楽が(8ビット的に)流れていたわけだが、それもカセットを引っこ抜いたおかげで、「ブーーーッビーーーッ」という不快な電子音へと切り替わってしまった。
「くそったれがぁあぁぁ!」
抜いたカセットを壁に向かってぶん投げようとしたその時、明がストップした。
「待て、雄二! ちょっと待てよ! ありゃ、スリーカードだったんだよ!」
「ああ⁉」
思考の開始となった。どうにかカセットも投げられずに済んだ。
「相手の手札をちょっと見たけど、同じランクの2が2枚あったじゃねえか。そこにジョーカーが入れば、自動的にもう一枚の2が出来上がるじゃねえかよ。つまりは、トゥーペアよりも強いスリーカードが成り立ってたんだよ!」
明のナイス解説が入り、雄二もさっきの相手の手札を冷静に思い返すことができた。
スリーカードって役も、そういえばあったんだっけ——?
同レベル対決じゃなくなるわけだし、トゥーペアは更に弱い役だから、負けるのは当然だったわけなのか——?。
さすがは、名ソフト。せこい真似してまでプレイヤーを負かしたりなどするわけがないんだ。
「まあ、コンピューターがトゥーペアと認識したのか、スリーカードと認識したのかは、ここにいる俺たちじゃわかんねえけどな。でも、スリーカードにどうせなれるんだから、お前の負けは負けだよ。——なあ、せっかく手に入れたソフトなんだろ。こんなことくらいで壊すなよ。もっと大事に扱えよ。壊れてないか、チェックしてみたらどうだ⁉」
明の優しい言葉が何だか不気味だった。何かの予感か?
雄二は、割としょんぼりしながら「ああ」とうなずき、一度ファミコンの電源を落としてから、再度いたクエⅢのカセットを差し込んでみた。
そして、おもむろに電源を入れる。
その時だった。
突如、暗闇の画面から「デロデロデロデロデロッ♪」という何とも不快な電子音が流れた。
「冒険の書1が消えました」
ただ、それだけ。
それだけの文字の画面が現れた。
消えたのだ。
これまでのセーブデータが。6時間強分のデータが完全に抹消されてしまったのだ。
3時間かけてヴェリコルッセの街までたどり着き、3時間かけて忍耐の限界を感じながら『深緑の涙』を捜したあの努力が、水泡に、水泡に——‼
己の短気でバカな行いのせいで、デリケートな精密機械に異常が発生し、これまでの努力が、完全完璧に水泡に帰してしまったのだ。
「あ、ああ、これまでの、俺の、ぼ、冒険が……」
「あっちゃ~。見事になくなっちゃったのか?」
寝る間も惜しんで、レベル15まで進んで来たわけだが、一気にやる気が失せた。
2まではパスワード機能があった。それが3からはなくなり、代わりにセーブシステムになるという情報は早くから得ていた。
だが、パスワードはメモさえ失くさなければいいものの、セーブ機能は内蔵システムの一部であるだけに、何かの不具合ですぐ消去してしまうのだ。例えば今みたいにカセットに強い衝撃を与えるなどで、だ。
もう後の祭り。茫然自失の雄二に明が親友然として、ドラマチックに肩に手を置いた。
「なあ、雄二。お前、あれだよな。俺たちは、まだまだ若いんだよな。何だよ、今朝買ったばかりのソフトじゃねえかよ。ソフトが壊れたわけでも、人生が終わったわけでもねえじゃねえか。タバコ吸って突っ張ってるおめえも十分ダサいけど、そうやって意気消沈してるおめえはもっとダセえって。人生は、これからじゃねえか?」
ちょっとくさい言い方だが、明が友人を慰めてくれていることは十分伝わって来た。
「だからよぉ、雄二! またやり直せばいいんだよ。高かったんだろ、『いたクエⅢ』。今度は、焦らず冷静に全クリ目指せよ」
ありがとよ、あきちゃん。おかげで頭が冷えたぜ。
雄二は、心の中で明に感謝の言葉をそっと送った。
そしてオープニングコマンド画面から、『ぼうけんをはじめる』を選択し、コントローラーのAボタンを押した。
「ちょっ、すかいらーく行かねえの? 俺腹ペコなんだけど!」
友人の話を無視し、雄二は勇者の名前入力画面に入る。
また「タルノ」で行くか。
いやいや、ここは一新して、更にイカしたナウい名前を付けてやろう。
思い切って「雄二」にしてみようか。
自分にとって愛してやまないゲーム制作者の「堀井雄二」氏と同じ名前だが、親曰く名前の由来は、長男の「雄一」の次に生まれたから「雄二」にしたんだと、明快で快速的な返答を受けたことがある。
そんな気持ちがあることから、いつまで経っても親を毛嫌いしてしまうことを、心のどこかで気づいてはいた。
クソッ! とまた無駄にイラつく。
明を見ると諦めた様子で、再び「チャンプ」を開いていた。
その時、雄二の暗い心の奥底から光が宿り、たちまち心全体が輝きに満ち溢れた。
「おい、明! チャンプをよこせ、早く!」
「へ、何で?」
「いいから早く‼」
もはやコイツ、いや、この方しかいない!
そう確信した瞬間だった。
※
瞼の裏まで陽光が届いているのがわかり、朝が来たことを確信した。
その直後に母親が僕を起こしに来たのだが、ここは寝たふりをして、わざとそれで起きたと演技ぶってみた。もちろん母親の苦労を無駄にしたくなかったからだ。
「私の可愛い息子。起きなさい。さあ、起きなさい。表に村長様と神父様が来てるわよ」
母の言葉にハッとし、布団から上半身を起こした。
窓から陽光が差し込み、外で小鳥たちがチチチッと戯れているのが見える。
この村の朝は本当に素晴らしいと思った。まあそれ以外の場所は、ろくに行ったことはないんだけど——。
「表に村長さんたちが来てるの?」
「そうよ。今日は旅立ちの日でしょ。さあ、さっさと支度して。ご挨拶なさい!」
母はそう言うと、大柄の体を揺すり階下へと降りていった。
僕は覚えている。
この経験は二度目だ。僕は旅立つんだ! これから魔王退治に行くんだ! ていうか行かなきゃ行けないんだ!
でも、そんなことはなくなるんじゃなかったっけ?
だから昔、逃げようとしたんだよ。確か何とかって宝玉を見つけて、それから、ええっと、それから——。
「ほら、何やってんの! 村長さんを待たせるんじゃありません! 早く来なさいって!」
「痛え、イテテテテテッ‼︎」
母は僕の耳を掴み、階段を降り出した。
何と村長と神父はもう居間にまで入っていて、耳を引っ張られる情けない僕の姿を目の当たりにした。
知ってる——。僕は、この人たちを知ってる!
「ほっほっほ、まだ年端もいかないわんぱくな少年じゃが、いよいよ旅立ちじゃの!」
白い髭を豊かに生やした村長は、僕を笑って迎えた。
「若き勇者、シムラケン。魔王討伐の成功を祈ろうぞ!」
法衣を纏った眼鏡の老神父も笑っている。
ん⁉︎
「ちょっと待ってください。今、僕のことを何て⁉︎」
神父は、キョトンとした。
「若き勇者と言ったんじゃが」
「そっちじゃなくて!」
「シムラケン?」
「いや、その呼び名は何すか⁉︎」
「あんたの名前じゃないの!」
母親が横から割って出る。
そうか、シムラの——ケン。僕の名前は、シムラケンなんだ!
とにかく凄い響きだ! やっぱりちょっと考え直したい‼︎
「また始まっちゃったね」
ドアから入って来たのは、魔法使いの格好をした幼馴染の少女。
「あ、き、きみは、キ、キュナ!」
キュナと呼ばれた少女は、小さく、そして悲しそうにかぶりを振った。
「何言ってんのよ。いとしの幼馴染の名前を忘れたの! エリーでしょ! 一緒に旅立つ仲間じゃないの、まったく!」
「そんな——」
「ほんと、しっかりしてよ、ケンシムラ!」
なんか名前反対にされてるし!
更に後ろからは、自称世界最強の戦士である「サザン」。
そして一癖ありそうな年季の入った僧侶「オルスタ」が顔を覗かせた。
それぞれ自己紹介が終わると、彼らが同じ旅の仲間だと(改めて)確認した。
いやだ。いやだいやだいやだ! もういやだ!
もう毒を浴びるのも、斬られるのも、死んじゃうのも耐えられない。
逃げ出そう! ここから今すぐ!
二階の階段へと足の向きを変えようとしたその時、筋肉質の腕が僕の華奢な肩に回り込んできた。戦士の剛腕だ。
「シムラケン! これから宜しくな! どこまでもお前についていくぜ‼︎」
そして、僕は悟った。
もうこの腕からも、運命からも逃れられないということを——。
レベル1から、さあスタート!
そして旅立ちへ。
了
今回で終了となります。
読んで頂いた方、ありがとうございました。
次作も近日投稿予定です。よければお読みください。




