わたしの人生に結婚はなかった……はずなのに

貧しい農家の出身であるエレノアは病弱な父と幼い弟を養うため、王宮の女官になることを決意する。
寝る間も惜しんで勉強を重ね、難関を突破した彼女は、「金」と「権力」を得るため、仕事にすべてを捧げてきた。
その完璧な仕事ぶりは周りの女官たちから嫉妬され、女官長からは理不尽なパワハラを受ける日々。

――――彼女の人生に恋愛や結婚という選択肢は存在しなかった。

そんなある日の深夜、残業をしていた彼女は、財務部門で働く冴えない官吏・リヒトと出会う。仕事は遅いが、真面目で誠実なリヒトのどこか抜けている部分を放っておけないエレノア。彼のミスを修正し、効率的な仕事のやり方を教えるうちに2人の距離は次第に縮まっていく。