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あとがき

この作品は「30分読破シリーズ」の本編を呼んでくださった方への感謝の気持ちとして執筆したものです。

物語の性質上、この『あとがき』にて作品内の裏話やネタバレを含んだテーマの核心に触れるため、本編の最終話までが未読の方は先に小説本編をお読みいただくことをおすすめします。


ネタバレを含む解説や僕自身の考察は、本文読了後にじっくり味わってもらえたら嬉しいです。

 

 この作品は、僕が書いた【30分読破シリーズ】の中でも現状ダントツで多くのPVをいただいています。読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。


 その理由を考えてみたのですが、正直なところ僕の頭では確信には届きません。ただひとつ思うのは、この物語に登場する風景がどれも「誰にとっても身近なもの」だからではないかなと思いました。


 放課後のアルバイト、夜の街灯、コンビニ、二面性のある顔、そしてブラックコーヒー。特別な舞台や大事件ではなく、日常の中にあるありふれた場面だからこそ、共感や重ね合わせが生まれたのかもしれません。

 

 さて、本作のヒロイン・桜井澪(さくらいみお)は、昼と夜でまったく違う顔を持っています。

 学校では眼鏡をかけた目立たない優等生。けれど夜はスウェット姿でコーヒーを片手に、自由で素直な自分を取り戻す。

 その二面性は嘘ではなく、どちらも本当の彼女です。人は誰でも、立場や場面に応じて違う顔を持っている――その側面に共感してくださった方も多いのではないでしょうか。


 そしてタイトルにもある「ブラックコーヒー」は、澪が“背伸びをして大人になりたい”と願う気持ちの象徴でした。本当は甘党なのに、あえて苦いコーヒーを選ぶ姿に、彼女の小さな葛藤や強がりを込めました。


 主人公・吉野大河(よしのたいが)にとっては、夜の澪の自由な姿が気になって仕方なくなり、澪にとっては大河が夜のコンビニの次に「仮面を外せる居場所」になっていく。そんな二人の関係を描きたかったのです。


 最後に数年後の二人を描いたのは、あの夜のベンチでの時間が“未来へ続いている”ことを示したかったからです。

 大人になって振り返れば「あのときは何であんなことで悩んでいたんだろう」と思う瞬間は誰にでもあります。けれど、その時々の苦悩は確かに自分を形作るものですし、彼らもきっと二人で乗り越えていくでしょう。


 ちなみに余談ですが、二人の名字は桜にちなんでいます。桜井は言うまでもなく「桜」、そして吉野はソメイヨシノから。名前の「大河」と「澪」は水をイメージしてつけました。ラストを春、桜の季節にしたのもこの名前遊びとリンクさせたかったからです。


作中で触れた「前出し」や「先入先出法」は、僕自身が学生時代にスーパーマーケットでアルバイトをしていた経験を思い出して盛り込んだ小ネタです。小売業に携わったことがある方には馴染み深かったと思います。



 皆さんの周りにも、昼と夜で違う顔を持つ人がいるかもしれません。普段見せる顔とは別の姿に、ふと心惹かれることもあるでしょう。そんな出会いが、あなたの物語を豊かにしてくれることを願っています。

他にもさまざまなテーマで30分読破シリーズを更新していますので、ぜひ、あわせて読んでみてください。きっとまた別の顔に出会えるはずです。

また、ブックマークや評価、感想を頂ければ次回作への参考や励みになりますので、良ければよろしくお願いいたします。

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