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第1話 二人の日常とエマナの不安

「ただいま、クリム」

「おかえりなさい、エマ姉!」


帰ってきたエマナは、家で待っていたクリムから勢いよく抱きつかれた。


「エマ姉!今日はどんな仕事をしてたの?」

「今日は街の警備よ。まあ特に何も無かったけどね」


エマナは首都にあるギルドで依頼を受けては報酬を受け取り、生計を立てている。

ギルドとは討伐や護衛、商売、派遣雇用などあらゆる取引・依頼の中枢となる場所のことを言う。

また、ギルドでは加入して1年後にその人が受けた依頼を集計し、向いている系統の仕事を割り当てる。これを『称号』と呼んでいる。

さらに『称号』には階級もあらわしており、最初は《称号なし》から始まり、一定の依頼をこなしていくと《新人》《熟練》《達人》と『称号』が付け加えられる。

ちなみに、エマナの称号は《新人冒険者》である。


「冒険じゃないのか……」


ガックリとあからさまに不満な表情をするクリム。エマナはそんな仕草すら可愛いと思ってしまい、デレデレの表情は変わらない。


「そんなことしたら、クリムを最低でも一週間置いていっちゃうわ」

「僕もう子供じゃないから一人で大丈夫だよ!」

「ごめんね〜、まだ私が心配なのよ〜」

「エマ姉のしんぱいしょー」


エマナはギルドの依頼を遂行し、クリムの待つ家に帰る。

クリムは仕事をしているエマナに代わって家の仕事をしてエマナを待つ。

これが、二人の日常なのである。



二人で食事をしている時だった。

クリムとエマナはお互いに今日あったことを話し、楽しむという習慣があった。今はクリムが村であったことを話している。


「それでね、エマ姉。今日、しゅとからまほう使いの人が来たんだ」

「へぇ、首都から。その人、どこに所属してるんだろう」


この世界での魔法使いは国ではかなり重宝される職業だ。

魔法は精霊を通して自然の力を扱うため、素質があり、精霊に愛されれば魔法を使うことができる。逆に素質がない、或いは素質があっても愛されなければ使うことは出来ない。

また所属というのは、先程言ったように国で重宝されるため王宮に務めているか、その力を使ってギルドで働いているかの二択がほとんどである。


「おーきゅーって言ってた」

「!王宮……」


エマナは考えもしなかった場所からやってきたことに、不審感を抱いた。


「それにね。そのおーきゅーまほー使いの人が、明日もこの村に来るって!」


そんなエマナに気が付かないクリムは嬉々として話を続けた。エマナは複雑な顔をしたが、嬉しそうなクリムの表情を見て、考えすぎかと思い、またいつものデレ顔に戻った。



もう既に、悲劇が近づいているとも知らずに__


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