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プロローグ

「……ねぇ……お願いがあるの……」


弱々しく、か細い声が暗い部屋の中で響いた。

その声を知っている少女はその声の主のそばへと近寄った。

その声の主は痩せこけた女性だった。

女性は少女が近くに来たことを確認すると、再びか細く響く声で言葉を紡いだ。


「これを……預かっててくれない……?」


持ち上げて見せたのは何かが嵌っていたであろう、丸い窪みのあるペンダントだった。少女はそれを受け取り、小さく、しかし力ずよく頷く。


「……クリムをお願いね……」


そして女性は力なく笑うと、静かに、そして少女以外に知られることなく息を引き取った。

女性の体温が下がっていく中、少女は受け取ったペンダントを強く握り締め、声を押し殺し、涙を流した。


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