サプライズ
シェリーに煽られ、町まで急ぐ事になった。
今いる森からは頑張っても数日かかる距離にある。
途中野営を行い、残り数時間の距離まで近づくことができた。
このまま町に行っても夜遅くなるので、もう一度野営をすることになった。
そういえば、この近くに空き家があるのを思い出した。
この家は、食料補充等で町を行き来していた際に見つけたものだ。
2人に提案すると、
シェリーが面白そうだから、今日はここに泊まろうと乗り気だった。
鍵は空いており、中に入ると、道から少し見えにくい場所にあるせいか、空き屋にっなってからは誰も訪れていないのか、埃まみれの状態だった。
入り口近くのスペースのみ片付け、そこでゆっくりする事にした。
家には多少の家具や食器類も有り利用させて貰った。
食事も終わり、明日に向け早めに休むことになった。
寝床の準備をマークとシェリーがおこなうことになったので、僕は食器類の片付けをこなう事にした。
空き家といっても借りたものはしっかり片付けないとね。
「ガチャ」
っん??
入口の方から音がした。
「マーク、シェリーどうしたの?」
「なにかあった?」
返事が無い。
何かあったのだろうか。
心配になり入口の方に向かった。
入り口付近には、寝床が準備してあった。
ただ、準備してあったのは、一組だけだった。
辺りを見回しても、マークとシェリーの姿が無い。
置いて行かれた。
やっぱり僕が足手まといになり、邪魔だったんだろう。
少しレベルも上がったことだし、これから1人でやっていくしかないよな。
ここまで育ててくれたことのお礼も言えなかった。
「・・・」
色々考えながら辺りを見回し、不安になり扉まで近づくと、そこには新しい鍵がかかっていた。
床には、紙と道具が置いてある。
「町で飲んでるから、鍵開けておいでね。待ってるよ。シェリー」
「・・・」
やられた。
そういえば、10レベル前後になったら鍵開けのスキルも覚えることになっていた。
ここに付いている鍵は新しいので、今回準備したものだろう。
だから、シェリーが乗り気でここに来た理由が分かった気がする。
前回鍵開けを行ったのは、出会ったばかりに実施した一度だけ。
それ以来試した事も無かった。
いきなり1人でやれってことか。
寝床も準備されているし、出来る限りやってみよう。
数か月前に教わったことを思い出しながら試してみる。
数回では開かないとは思いつつも、挫折しそうだ。
前は、マークの応援も有ってやり切れた気がする。
「・・・」
今までマークとシェリーに教わりながら、ここまでレベルも上げることが出来た。
2人に認めてもらう為にも、ここで頑張らないと。
どのくらいやったのだろう。道具を持っている手が上がらなくなってきた。
少し休憩をしようか考えていた時、
「ガチャ」
開いた!!
安堵して、座り込んでしまった。
1人でやり遂げることが出来た。
何回も失敗して、どうすればいいか考え、試すことを学んだ。
スキルにも、鍵開けの基礎が付与されていることを確認することが出来た。
前回マークに教えてもらったことが有効だったのだろう。
このまま、休みたい気もしたが、マークとシェリーに出来たことを早く報告に行きたい。
町にいるって書いてあったので、向かうことにした。
鍵が開いた扉を開けると、星空が輝いていた。
まだ太陽は出てきていないが、町に着くころには朝になりそうだ。
扉を閉め、歩き始めようとしたら、家の前にある休憩スペースに人影がある。
魔法で声が外に漏れないようになっているみたいで、会話は聞くことが出来ない。
近づくと、マークとチェリーだった。
向こうも気づいたみたいで、笑顔で手を振ってくれている。
「お疲れさま。無事に開けられたみたいだね。」
マークが優しく声を掛けてくれた。
「どうだった?私のサプライズ!」
シェリーがグラスを片手に仁王立ちで聞いてくる。
「もう焦りましたよ。それより町に行ったのでは?」
「さすがに置いてはいけないよ。今回の事は、シェリーの提案で前から準備していたものなんだ。」
マークが、椅子に座るよう手招きしながら答えてくれた。
「シェリーも心配だから、何かあってもいいようにすぐ近くにいようと言ってくれてね。ここにある食料とお酒は前に準備して、この家に隠しておいたものなんだ。」
「そんな事どうでもいいよ。るいが無事に出てこられたんだから。スキルはどうだった?覚えられたのか?」
シェリーの質問に僕は頷いた。
「なら、このサプライズは成功でいいよな。飯もあるしここでお祝いだな。」
「スキル獲得おめでとう。これで、今回の転職のノルマはクリアーだね。少し食べて休もうか。明日は町に移動しよう。」
マークの言った通り、次回転職するまでにやろうとしていたことは、学ぶことが出来た。
明日。2回目の転職を行う。
その先どうなるか分からないが、取敢えず酔っぱらっているシェリーと、優しいマークと食事を楽しんで休むことにした。




