ダンジョンからの帰還
魔族ゼロを退ける事が出来た僕達は、疲労困憊の状態だった。このままダンジョンを戻ることも考えたが、一度休息をとることにした。
僕は、結界魔法をゼロが座っていた辺りと、空間に消えた辺りを含め展開した。この部屋全てだと余りにも大きな結界になるため最小限に留めることにした。
結界の中に入り、僕達はゆっくりすることが出来た。飲み物を取り出し一息つくとユイがお菓子を出し始めた。流石にさっきまでゼロが居た空間でくつろぎ過ぎだとは思う。
そして、そのゼロの話しになった。魔族と言っていたが、マークも今までに出会った事も無く、本当に居たんだ位の認識しか無かった。昔に見た本に書いてある想像的な存在だと思っていた。
そのゼロは、相当強かった。今思えば、ロイ達に先に戻ってもらって良かったと思う。今回の戦闘に一緒に居たらどうなっていたかわからなかった。
ましてや、ロイ達も戦闘上級者になるが、彼らだけで出会ってしまったら太刀打ち出来ないだろう。実際僕達もユイの機転が無かったら、ここで終わりだったと思う。
僕達の話し合いの結論としては、
「もう会いたくない。」
が本音だった。ただ、今マーク達が住んでいる街では、マークとシェリーしかまともに戦う事ができないだろう。それも、戦えるだけで勝てる見込みは全く無いが結論になってしまった。
僕達は、現実を理解して落ち込んだ。
暗くなってしまったので、僕はユイに戦闘で使った魔法について聞いてみた。
僕にかけてくれた、炎を纏う魔法はモンスターに対して実験はしていたらしい。今までモンスターが、燃えるのはファイヤ関係の攻撃魔法を使っているからだと思っていた。まさか実験相手にされているとは、思わなかった。ただ、成功した事は無く、今回は何故か出来ると自信があり僕にかけてくれたらしい。
失敗したら、ゼロより先に僕が燃えていたと思うと身震いした。更に、ユイが笑顔で
「成功したんだから、良かったじゃん。」
で、終わってしまった。
更に、ファイヤ系とフリーズ系を同時に使えたのは、新しいスキルのお陰かも知れないと言っていた。
新しく、融合のスキルをこのダンジョンで覚えたみたいだ。
「もっと、複雑に攻撃したい。どうしようって、今まで出来なかった事をイメージしたら再現出来た。」
と、ユイはあっけらかんと、話していた。今までも新しい魔法を作り、空を飛べる様になったが、正反対の魔法を同時に出す事なんて出来なかった。凄すぎる。
僕達は、ある程度落ち着いたので、ダンジョンから出る準備を始めた。その時、結界が激しく揺れた。
「!!!」
敵が来たのかと、身構えたがその後は何も起こらなかった。もしかしたら、ゼロがここに来ようとしたのかも知れない。結界を、張っていたお陰で阻止する事が出来たのか?
僕は、ダンジョンから出る時に、結界を解こうと思っていたが考え直す事にした。これで、ゼロ達が来れないなら街を守る為にも、このままにしておいた方がいいと思った。
そこで、複数結界が張れるか離れた場所で試してみた。すると、別の場所にも結界が展開された。更に、結界を解除しても前のは残っていた。幾つ展開出来るかは、また試してみようと思う。
僕達は、結界を残したままダンジョンを出ることにした。途中モンスターが数体居たが、ゼロとの戦闘の後だったので手応えも無いまま倒してしまった。
ダンジョンから街までは、歩くしか無く、時間がかかったが何事も無く辿り着く事ができた。
街に着いた僕達は、まずはシェリーの元に帰った。出発してから1ヶ月以上過ぎてしまった。
「ただいまー。」
マークが家に入ると、シェリーとハルが飛びついて来た。
「おかえり。心配してたんだよ。ハルと迎えに行こうかと考えたんだからね。」
ハルは、マークに顔を埋めグリグリしている。シェリーもハルも凄い心配してたみたいだ。
一度家に寄ってから、カイ王に報告に行こうと思っていたが、今日はやめておこう。今日は、僕達もハルと一緒に遊びたいしね。明日でもいいでしょ。




