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田舎者弓使い、聖弓を狙う ――村一番の弓使いの英雄譚――  作者: ふぁいぶ


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第39話 銀等級昇格試験 其の二

超久々の更新です!


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 リュートは受付嬢に案内され、実技試験の会場に辿り着く。

 会場は冒険者ギルド隣に併設されている訓練場なのだが、このように実技試験にも使われている。

 広さは十分にあり、狭さは感じず自由に動き回れる。

 だが、観客席も設けられており、普段は訓練後の休憩場所として使われていたりする。

 しかし今回みたいな注目株の実技試験の場合、観戦が無料で出来たりする。

 これはギルド側の配慮で、試験を見て少しでも研鑽して欲しいという意図がある。


「うおっ!?」


 リュートが会場に辿り着くと、一番に目に飛び込んできたのは満員の観客席であった。

 リュートは今や話題性ナンバーワンで、誰もが注目をしている。

 それに彼の弓の技術は超越し過ぎているのもあり、少しでもリュートに近づきたいという弓使い、リュートを仮想敵とした場合の対処法の研究等、様々な目的を持った冒険者達が観戦をしに来ていた。

 半数以上は女性で、皆リュートの凛々しい姿目的に来ているのが大半なのだが……。


「ふふ、注目されていますね、リュートさん」


「……別にオラの試験を見ても、何も面白くねぇと思うんだけんど」


「そんな事はありませんよ(何言ってるのこの人! 貴方以上の弓使い、私見た事無いんだけど!!)」


 危うく心の中で思っている事と口に出したい事が入れ替わりそうになったが、流石はプロの受付嬢、何とか堪えた。


「では今回の実技試験の内容を説明致します」


 受付嬢は一度咳払いをして仕事モードにスイッチを切り替える。


「今回の実技は、現役銀等級冒険者と試合をして頂きます。その冒険者に勝利する事が条件ではありませんが、一定水準の戦闘が出来ていると認められた場合、昇格となります」


「勝つ事が条件じゃない? その水準っちゅうやつはどういうもんだ?」


「申し訳御座いません、規則により水準をお話する事は出来ません」


「ふぅん」


 評価される水準は、当然ながら教える事は出来ない。

 以前までは教えていたのだが、皆昇格したいあまりに水準以上の動きをしなくなった為だ。

 実際、銀等級に実力が相応しくない冒険者が量産され、死亡率がぐんと上がってしまった事例があるので、今は秘匿されていた。

 リュートとしても、知れるなら知りたいという程度だったので、教えてもらわなくてもいつも通りにやるだけだと気持ちを切り替えた。


「武器は今所持しているものをご使用ください。リュートさんの場合は致命傷になる箇所を射るのは避けてください。可能であれば射るとしても四肢程度にして頂けると助かります」


「ん? 鏃がない矢でよくねぇか?」


「……私もそう思うのですが、今回の試験官の強い希望です」


「……変な試験官だぎゃな」


「では試験官をご紹介致します。試験官、どうぞお入りください」


 受付嬢の声に、試験官がリュートがいる反対の入り口から入場してくる。

 最初は入口奥が暗すぎて足元しかわからなかったが、リュートへ近づくにつれてその正体は明らかになる。


竜槍穿(りゅうそうせん)》のリーダー、ハリーだった。


「ハリー? おめえが試験官か?」


「ああ、そうだ。しかし、あっという間にここまで来たんだな。驚きを隠せないよ」


「ハリーこそ、来週辺りにゃ金等級昇格試験を受けるって聞いただよ。流石ハリーだ」


「ありがとう。俺もお前達若手に負けていられないからな」


 ハリーがにやりと笑ってみせる。

 その眼光は、狙った獲物が眼前にいるかのようだった。

 敵意や殺意ではない、だが明らかに不思議な威圧をハリーはリュートに向けて放っていた。

 威圧を受けたリュートは、不思議と嫌な気分にはならなかった。

 むしろ、ハリーと戦いたい衝動に駆られる。

 こんな気分は初めてであった。


(なんでだべか、胸がぞわぞわして全身ぞくぞくする)


 だが、何となく理解した。

 ハリーに勝ちたいのだと。

 この戦いを望んでいるのだと。

 リュートは、生まれて初めて闘争を求め、受け入れたのだった。


「とりあえず、リュート。俺も刃がある武器を使うが安心しろ。絶対に殺さないし致命傷も与えない。腕一本吹き飛んだとしても、ギルドお抱えの魔法使いが腕を繋いでくれるさ」


 まるで自分が勝つかのような発言だった。

 リュートは、内心かちんと来た。

 そして、自然と口から言葉を発した。


「ハリーも安心するといいだよ。オラはその調度ええぶっとい腕と脚しか狙わねぇ。それでも痛いだろうから、泣くでねぇぞ?」


「……ほぅ、言ってくれるじゃないか」


 両者の間に、視線がぶつかり合って見えない火花が散っているように錯覚した。

 受付嬢もそのように錯覚したようで、これはすぐに始めた方がいいと判断したようだ。


「ではお二人共、準備はよろしいようですので、会場中央にある白線に立ってください」


 リュートとハリーは、受付嬢の指示に従い、白線まで歩いてそして止まる。

 片や人間離れをした弓の腕だけでここまでのし上がって来た異端児。

 片や金等級に迫り《ステイタス》を施してもらい、更に勢いが増したベテラン銀等級。

 観戦している冒険者達は、ハリーが勝つに決まっていると思っていた。

 何故なら、《ステイタス》を持っていない者が《ステイタス》持ちに勝てる筈がないのだから。

 それ程までに《ステイタス》は人間を人外へと押し上げる恩恵を授けてくれるのだ。

 故にこの二人の対戦の場合、ハリーが勝つのは当然の事だった。

 

 だが、試験会場にいる全員は知らない。

 既にリュートは、その当然の事を王都へ来る前に覆している事を。

 人外の領域にいる《ステイタス》持ちを、魔物と同じ感覚で射殺している事を。

 そして理解する事になる。

 リュートは『ただ弓の腕前が人間離れしている人間』程度の認識で収まる存在ではない、という事を。



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