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会社を辞めさせて頂きまシリーズ

本日をもちまして会社を辞めさせて頂きます!〜道化は何を考える〜

作者: 鎌瀬 狗

『本日をもちまして会社を辞めさせて頂きます』の田中 悟vr.もしくは完全版とも言うやーつ。


是非お使いくださいませ。

田中 悟(たなかさとる) 亮平の会社の後輩…実は田中 悟は偽名らしい


清水 理恵(しみずりえ) 小料理屋の女将さん


酒田 亮平(さかたりょうへい) 表では会社員、裏では街を守る正義のヒーロー…ではなく、ただの会社を辞めたくても辞められない会社員


武田 信人(たけだのぶひと) 亮平と悟の先輩、ブラック精神を持つ部長

ーーーーーーーーーーーーーーーー


悟N)僕の名前は田中 悟、とあるブラックな会社の社員、という事になっている。

そう、僕は社員では無いし、そもそも田中 悟という名前ですら無い。では何故、僕が社員という事になっているか、それはとある依頼を受けたからだ。


酒田 亮平をその会社から連れ出し、研究チームに迎い入れたいという。


自分から声をかければ良いのでは?と思ったが、どうやら表には出られないとの事


亮平「なぁ田中、辞表届け出したら辞められるかな?」


悟N)ターゲットが話しかけてきた。

1年間一緒に居た甲斐があって、ターゲットと気楽に話せる後輩という間柄にまで発展した。


ここまで色々な事が有ったが、その話は後日、日記を読み直した時にしよう


悟「またですか?酒田先輩

辞表、出してみたら良いじゃないですか」


亮平「だけどなぁ…」


悟「ほら、言うじゃないですか

善は急げって、このまま沼に引きずられたままで良いんですか?」


亮平「うっ…それは…」


悟「僕はいつでも、酒田先輩の味方ですから」


亮平「田中…ありがとな

へへっ…こんな事言ってくれるのが女の子だったらどんなに良かったか」


悟「あ、酒田先輩酷いですよ!

僕だって言っててこれは女の子が言ってこその台詞だなぁって思ってたんですから…それだけ軽口が言えるなら大丈夫ですね」


亮平「あぁ…今日帰って、真剣に考えてみるよ」


悟「はい、明日を楽しみにしてますね」


信人「田中!ちょっとこっち来い!」


悟「はい、直ちに!」


悟N)相変わらず、この武田という人間は人使いが荒い。だが、この人間はターゲットにとってキーマンとなる人間でもある。

…しかし、ターゲットの反応を見るに、然程(さほど)需要な人間でも無さそうだ


信人「なにボーッと突っ立ってるんだ?

分かったのか?と聞いているんだ」


悟「え、あぁ…はい、了解しました」


信人「本当か?俺が言った言葉を復唱してみろ」


悟「21時までにここに置いてある書類を纏めておけ

後、そうだな…コーヒーでも買って来い…ですよね」


信人「ちゃんと聞こえてるじゃねぇか…分かってんならさっさと買いに行け」


悟「行ってきます!

あ、コーヒーは勿論、ブラックですよね?」


信人「分かってるじゃねぇか」


悟N)当たり前だ、ターゲット及び関係者の情報は殆ど把握している。


ペテン師としての仕事上、必要だからだ。嘘をつくのにも情報を知らなければすぐにバレてしまうからね


〜自販機前にて〜


悟「…(溜息)武田部長の相手も大変だなぁ」


亮平「だよなぁ(溜息)」


悟「さ、酒田先輩⁉︎」


亮平「俺もコーヒー買いに来たんだよ」


悟「お疲れ様です」


亮平「あぁっ、お疲れ様

それ、武田部長のだろ?早く持っていかないと怒鳴られるぞ」


悟「分かってますよ…さて、地獄に行って来ます」


亮平「死ぬなよ」


悟「死にませんよ……まぁ、死ぬ覚悟ではありますけどね」


〜仕事が終わって〜


悟「はぁ〜…疲れたぁ」


亮平「お疲れさん、今日はもう上がりか?」


悟「はい、酒田先輩は今日も…」


亮平「まぁな」


悟「すみません、今日は用事があって手伝えないんです」


亮平「毎日の様に手伝わなくてもいいんだ、これは俺の仕事なんだから」


悟「すいません…では、お先に失礼します」


悟「今日も残業、ありがとうございます(皮肉を込めて」


亮平「今日も残業、お疲れさん」


〜帰宅道中にて〜


悟「さてと、ターゲットも辞める方向に行動を移したことだし…こっちもそろそろ動きますか…っと」


〜悟、電話をかける〜


悟「もしもし、ピザは22時頃お届けすればよろしいでしょうか?」


理恵「頼んでねぇわ!切るぞ!?」


悟「あっちゃー!お寿司の方でしたね、失礼しました」


理恵「本当に切るぞ?なんならついでにあんたの腕も斬るぞ!」


悟「あ、いや、ごめんなさい」


理恵「で?要件を言いな

ただのイタ電だったらぶっ殺す」


悟「じょ、冗談キツイなー

『百面道化師』って知ってますか?」


理恵「あぁん…?『百面道化師』…いや、しらね…ん?その名前…どっかで聞いた気が…あっ!」


悟「知ってますか?」


理恵「あれだろ?ロシアマフィアの内乱事件

あれに『百面道化師』が関与してるっていう」


悟「あぁー、そんな事もしましたね」


理恵「あんた…そんな事をあたしに聞くって事はまさかっ!」


悟「はい」


理恵「……『百面道化師』のファンか!」


悟「どうしてそうなるんですか⁉︎

仮に『百面道化師』のファンだったとして、『龍滅会』の若き女ボス、清水 理恵に電話なんてしませんよ⁉︎」


理恵「はぁ?じゃあ何なんだよ」


悟「僕ですよ、ぼ・く」


理恵「あぁ〜…なるほどねぇ….」


悟「分かってくれましたか?」


理恵「あぁ…でも、何でわざわざあんたがあたしに電話なんかかけてくんだよ」


悟「ちょっと、貴女に依頼をしたくてですね」


理恵「依頼…?あんたが…あたしに?」


悟「ちょっと厄介な依頼がこっちに来ましてね

それで僕が知ってる人で頼りになる人って言ったら清水さんしか思い浮かばなくて」


理恵「必要としてんのはあたしだけかい?」


悟「んー、出来れば組員さんにも」


理恵「かなり高くつくよ?」


悟「前金はそれなりに貰ってますからね」


理恵「具体的にはどうするんだい?」


悟「そうですねー…(ふと、人気の無いひっそりとした家を見つける。)

良い事考えました」


理恵「何か見つけたのかい?」


悟「まぁ、清水さんって着物着れますか?」


理恵「普段着だよ、知ってるだろ」


悟「そうでしたね

では今から送る住所で、明日着物で来て下さい

後、ちょっとした芝居もうってもらうのでその設定も送りますね」


理恵「任せておきな」


〜電話を切る〜


悟「さて、後は清水さんの演技力次第ですかね」


〜次の日〜

亮平「本日を持ちまして会社を辞めさせて頂きます!」


悟N)おっ、どうやらやっとターゲットは辞表を出したな…。

さて、どうなる事やら…なぁんて、まぁ、答えは分かりきってるんだけどさ


信人「何も考えずに辞めるなどと言ったのか!…はぁ全く、忙しい時に無駄な時間を取らせやがって…良いか?お前は与えられた仕事をこなしてれば良いんだ!」(辞表を破り捨てる)


亮平「申し訳ございませんでした

今一度考えを改めて出直します」


悟N「ほら、やっぱりこうなった」


悟「酒田先輩、酒田先輩」


亮平「ん?」


悟「ついに武田部長に言っちゃったんですね

会社辞めたいって」


亮平「あぁ、だけどやっぱり取り繕ってくれなかったよ」


悟「まぁ、そうですよね

そう簡単に辞めさせてはくれないですよ

なんせうちは所謂ブラックな会社ですからね」


亮平「ほんと、何でこんな会社に就職しちゃったかなぁ…『明るく、楽しく、個性を活かした会社』っていう社訓に惹かれて入社したんだけどなぁ」


悟「全くの逆ですもんね」


亮平「もう…死にたいなぁ、死ねばこんな仕事から解放されるのに」


悟「でも、うちの会社、天国まで追ってきそうですけどね…なぁんて」


亮平「あぁ…もう駄目だ

生きるも地獄、死ぬも地獄な人生だなんて、あぁ…もう…やる気が…」


亮平「こうして俺は、会社から抜け出す事が出来ず、定年まで馬車馬の様に働かされて生涯を終えるのでした…


今日も会社を辞めることができませんでした…」


悟「いや、あの、酒田先輩、勝手に人生の幕を降ろさないで下さいよ」


亮平「だって…なぁ…?」


悟「先輩、今日仕事終わったら飲みに行きませんか?最近、良いお店を見つけたんですよ」


亮平「良いお店?もしかして…あっち系のお店か?」


悟「いやいや、小料理屋ですよ」


亮平「小料理屋?」


悟「そうなんですよ

その店主がほんとに綺麗な人で…あぁっ今から楽しみだなぁ」


悟N)なぁんて言ってみたものの、確かに清水さんは外見は良いけど中身は…


亮平「良いねぇ…」


悟N「喰いついてきた!」


信人「おい、酒田!お前、さっき俺の時間を奪ったよなぁ」


亮平「武田部長!…いやまぁ…その、自分の意思を声に出したと言いますか…」


信人「理由はどうだって良いんだよ!

とにかく、その罰だ

23時まで働いていけ仕事は沢山あるからなぁ、あぁ勿論残業手当は出さんぞ

タイムカードは先に切っておけよ」


亮平「えっ、あっ、いや、それは…(武田の顔を見て)分かりました…」


悟「うわぁ…武田部長かなり怒ってますね…ほら、頭にツノ生えてるじゃないですか」


亮平「あー…確かにツノが見えるな。あれは悪魔のツノだな」


信人「おい、酒田…何が見えるって…?」


亮平「何も言ってません!」


信人「ふんっ、どうだかな…それと田中」


悟「はい」


信人「お前も酒田と残れ」


悟「了解しました!…もしかして?もしかしてですか?」


信人「あぁ、お前の想像通りだ

酒田の監視役として残れ

絶対に時間まで帰らすなよ?」


悟「把握しました!」


〜武田捌ける〜


悟「いや〜不幸中の幸いですね

これで僕も先輩と一緒に残れるので待っている間、退屈しないですよ」


亮平「でも、悪かったな…俺のせいで」


悟「大丈夫ですよ」


亮平「でも…」


悟「先輩、後輩に謝ってたら示しがつかないですよ

ほら、胸張って下さい!」


亮平「分かったよ…よし、終わったらじゃんじゃん呑むぞー!」


悟「先輩その意気です!」


〜仕事が終わって〜


亮平「23時…はぁ…やっと終わったぁ!」


悟「お疲れ様です先輩」


亮平「悪いな、手伝ってもらっちゃって」


悟「先輩と呑みに行くって言ったじゃないですか

だったらスッキリ終わらせちゃった方が気持ち良く呑めますよ」


亮平「そうだな、早速呑みに行くか!」


悟・亮平「「本日も残業、ありがとうございました(皮肉を込めて)」」


〜お店に着いて〜


理恵「おかえりなさいませ、ご主人様」


悟「おわっ!今回はそう来ましたか…ただいま!」


悟N)あれっ?意外と様になってる?


理恵「えぇ、実は最近メイド喫茶に行って参りまして」


悟「でも、やるなら和服じゃなくてメイド服の方が良いと思うんですよ」


理恵「そしたら小料理屋っぽくないじゃないですか」


悟「確かに!…って、先輩ぼーっとしてないで中入って来て下さいよ」


亮平「いや、悪い、ちょっとこの状況についていけてなくてな」


理恵「そういえばお客さん、見ない顔ですね」


亮平「えぇと、後輩に良いお店があると言われて」


悟「僕が連れて来ちゃいました!」


理恵「ふふっありがとうございます」


悟「こちら店主の理恵さん」


理恵「ゆっくりして行って下さいね」


亮平「はい」


悟「とりあえず芋焼酎と適当におつまみになるものお願い!」


理恵「はい、直ぐにご用意しますね

お客さんは?」


亮平「えっ、あっ、じゃあ…同じのを」


理恵「はい、かしこまりました」


〜焼酎とおつまみが出される

そして理恵は自分の分も用意する〜


亮平「えっ、理恵さんも呑まれるんですか?」


理恵「だめですか?」


亮平「だめではないですけど…」


理恵「私はお客さんと腹を割ってお話がしたいんですよ」


悟「こう見えて理恵さん、お酒めちゃくちゃ強いんですよ」


悟N)何せ、酒豪達の間では超有名な酒飲みで、確か『神酒殺し』なんて異名が付けられてましたっけ」


理恵「えぇ、ですから私の事はお気になさらずじゃんじゃん飲んで食べて下さい」


亮平「そう言うのなら…」


悟「では…良いですか?」


理恵「準備OKです」


亮平「ん?ん?」


悟「先輩、乾杯ですよ乾杯」


亮平「あぁ!」


悟「では…本日の残業もお疲れ様でした!乾杯!」


亮平・悟・理恵「「「乾杯!」」」


悟「で、話は戻るんですがメイド喫茶どうでした?」


理恵「えぇ!あれはとても素晴らしいものでしたよ

癖になりますね、あの…」


悟・理恵「「萌え萌えキュン!」」


亮平「息ぴったり!」


理恵「今度、メイド服着てみようかな…なぁんて」


悟「理恵さんのメイド服なら絶対に似合いますよ!ね、先輩」


悟N)絶対に尽くすキャラでも無いと思いますけどね」


亮平「確かに、理恵さんなら似合いそう」


理恵「そんな、悟さんもお客さんもそんなに煽てないで下さい…本気で着ちゃいますよ?」


悟「ウェルカムです!」


亮平「ちょっ、田中!」


理恵「うふふっ…あっ!」


亮平「どうされましたか?」


理恵「そういえば先輩さんのお名前をお聞きしてませんでしたね」


亮平「あぁ、自分は亮平です」


理恵「亮平さんですね、お酒注ぎましょうか?」


亮平「あっ、じゃあお願いします」


理恵「かしこまりました」



亮平「…(深呼吸)あの、実は俺、会社を辞めたいんです」


悟N)ターゲットは語った。どうして辞めたいのか。熾烈な環境で地獄の様な毎日に耐えられなくなった、と。


そして、もうそんな環境にもう居たくないと


悟「先輩、自分も微力ながらお伴しますよ!」


亮平「田中…!」


悟「僕も職場が嫌ですからね!」


亮平「今日はありがとうございました

料理もお酒もそしてお話もどれも最高でした!」


理恵「ありがとうございます

決心…したんですね」


亮平「はい!」


理恵「私はこのお店で、亮平さんのご来店をお待ちしていますね」


亮平「待っていてください」


理恵「そうだ、今日のご勘定は結構です」


亮平「えっ!?」


理恵「その代わり、絶対報告に来て下さい」


亮平「分かりました!美味しかったです!」


〜亮平お店を出る〜


悟「先輩、絶対酔いが覚めてますよ」


理恵「まぁ、良いじゃないですか」


悟「…理恵さん、後は宜しくお願いしますね」


理恵「分かってますよ

悟さ…いや、あんたもお金の方、ちゃんと持って来くるんだよ」


悟「当たり前じゃないですか

僕は依頼人なんですから」


理恵「あんたが依頼するなんて珍しいと思ったら…まさか…ねぇ」


悟「僕だって、ペテン師である以前に1人の人間ですから」


理恵「そんなペテンもあたしの前では無意味だって、知ってるだろ?」


悟「あははっ、これもまた、依頼ですから」


理恵「高島小学校5年2組、酒田 亮平、作品名、タ○コプター…ねぇ」(タ○コプターを取り出す)


悟「小学校の自由研究の作品にしてはよくできてますよね」(タ○コプターを見ながら)


理恵「よくできてる…というより本物にかなり近いよな、これ」


悟「本物は現実にはないですよ」


理恵「だからあんたの依頼人は彼を欲してるんだろ?」


悟「そうなんですよねー、あっ勘定は僕も無しって事で良いですか?」


理恵「ダメに決まってんだろ?」


悟「えー、でもー」


理恵「ダメ」


悟「じゃあ、後日で良いで…」


理恵「(遮るように)ダメだって言ってんだろ!あぁ”!?」


悟「あ、はい、ごめんなさい、払います」


理恵「ふんっ、それで良いんだよ」


〜悟、お金を渡す〜


理恵「毎度あり」


悟「それにしてもあんな優しい事が言えたんですね、驚きですよ」


理恵「何だろうね、彼を見ていると自然とあんな言葉が出てきちゃうんだよ」


悟「情が移ったんですか?」


理恵「それはあんただろ?」


悟「まさか、それは無いですよ」


理恵「何度も言わせんなよ、あたしの前ではペテンは通じない」


悟「まぁ、どう思おうが関係ないですけどね」


理恵「一杯付き合えよ」


悟「嫌ですよ

清水さん、一杯とか言って、一瓶で一杯だろ?って真顔で言うじゃないですか」


理恵「違うのか?」


悟「違いますよ、これだから自覚の無い酒豪は嫌なんですよ」


理恵「それより、電話しなくて良いのか?」


悟「はいはい、しますよしますよ

…もしもし、藤山さんですか?僕です、山本です

良い記事のネタを拾ってきたんでテレビ局に情報売ってドカンとやりませんか?

はい、はい、えぇ、勿論です

その方向で、はい。はい!

ありがとうございます

手筈の方、宜しくお願いしますね」


理恵「上手くいったみたいだね?」


悟「これで会社の評判もガタ落ちです」


理恵「後は明日、うちのもんに労働局の真似させれば良いんだろ?」


悟「お願いしますね」


〜翌日〜


信人「はい、もしもし…えっ!マスコミが来てる!?いや、しかし…はい、はい、なっ…!でも社長、労働局には金を握らせてるって…えっ!?そうですか…はい…はい、分かりました」


悟N)恐らく清水さんが社長に電話したのだろう

そして、どうやらこの会社の社長は本物の労働局だと信じた


なら、もう僕がする事は何も無い

そっとトイレにでも行って確認を取るか


〜トイレにて〜


悟「もしもし、無事騙せたんですね」


理恵「いや、まぁ、あぁ、そうだな」


悟「どうしたんですか?歯切れが悪いですよ?」


理恵「……いや、出たんだよ」


悟「出た?」


理恵「あぁ」


悟「何が出たんですか?」


理恵「あんた、まだ会社内に居るんだろ?見てないのか?本物だよ、本物」


悟「本物…?あぁ、なるほど

幽霊ですね」


理恵「ばかっ!本物の労働局の連中だよ!」


悟「はははっ、分かってますよ

冗談ですよ、冗談」


理恵「殺すぞ?」


悟「釣れないなぁ

で、だからどうしたんですか?本物が現れようと、この会社がもうお仕舞いだっていうのには変わりないじゃないですか

この会社にも勇気のある人間が居た

…それだけじゃないですか。」


理恵「まぁ、そうなんだけどな

もしかして、分かってたのか?」


悟「まっさか〜分かってたら頼みませんよ…まぁ、念には念を入れるのはペテン師の常套手段ですよね」


理恵「策士の間違いだろ?」


悟「あははっ、あ、今日はまた、宜しくお願いしますね」


理恵「分かってるよ」


悟「では、ターゲットを迎えに行ってきます」


〜電話を切る、そして外にて〜



悟「いやぁ〜先輩、無事に辞める事ができて良かったですね」


亮平「労働局の人達が動いてくれたなら、正直俺が辞めるなんて言わなくても良かったんだけどな」


悟「でも先輩、今の顔めちゃくちゃ清々しいですよ」


亮平「ははっ、そうだな!言いたい事が言えたからかな」


悟「あ、そうだ、今日はまだお昼ですけど、お酒飲みに行きませんか?」


亮平「奇遇だな、俺もそう思ってた所だ」


悟「実は近くに料理もお酒も美味しくて美人な店主が居るお店があるんですよ」


亮平「しかもそこは隠れ家風の小料理屋なんだよな」


悟「そうそう、それがここだとか」


亮平「じゃあ今日はとことん飲むか!」


悟「はい!」


亮平「(扉を開けて)今、やってますかー!」


理恵「いらっしゃいませ、お待ちしておりましたよ」


亮平「本日をもちまして無事、会社を辞める事ができました!」


悟N)本日、無事に依頼を遂行できました…ってね


〜???〜


悟「もしもし、結果は報道の通りですよ

後はターゲットを指定の場所に連れて行くだけですね?

…分かってますよ

紹介する時は化学工場って事にして話しておきますから

それと、武田 信人は刑務所で悔い改めるそうですよ

彼も欲しかったんでしょう?

残念ですね


…あぁ、そうだ

忘れているようなのでもう1度だけ確認の為に言っておきますが…

僕は僕の正義の為に働いているという事を忘れないでください


もしあなた方が彼女に何かしたら、僕の持ちうる手段全てを使って、あなた方を皆殺しにするので…その時は覚悟しておいて下さいね」



ご利用、ありがとうございましたぁぁ!

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