運営への質問
運営ボタンを押すと、さらに2つのボタンが出現した。『call』ボタンと、『mail』ボタン。恐らく、このゲームを運営している奴らにつながる、ということだろう。それが人間なのかどうか定かでは無いが。
俺はひとまず『mail』ボタンを押した。
結局はどちらを押したところで変わらないだろうが、『call』ボタンの方が深く繋がってしまいそうで、そちらを押すのは躊躇われた。
ほんの僅かな警戒心がまだ、存在した。
画面に現れたのは、何の変哲もない、メール画面。送信相手はもちろん運営以外は選択できない。
『ここに連れてこられた人間はどういう基準で選ばれたのですか?』
まずは、こう書いて送った。いきなり本題に踏み込んでるが、相手がまともな人間ではないだろうということで、俺も少しイレギュラーな書き方をしてしまった。
3分経たないうちに返答が来た。
3分。何の3分だろう。わざわざ打ち込んでいるのか?とすると相手は人間なのか?
はたまた高度な機械が返答に時間をかけていたり、人間以外の知的生命体が返答していたりするのか?
とりあえず返答を読む。
『健常な日本人を無差別に50人選んで集めました。完全に無作為です。』
なるほど。もっとも予想しやすかった回答だ。
『では、何故日本人を50人集めて脱出ゲームを行う必要があったのでしょう?目的は何なのですか?』
またも3分経つ前に返答が来た。
『それにはお答えできません。』
目的は明かさなかったか。教えてもらえないものもある、ってとこか。
あとは、何を聞こうか。
疑問がふと浮かんだ時は質問しなかったことを悔やむのに、いざ質問する場面になると浮かばない。バイトの面接を受けた時なんかもそんな感じだった気がする。
15分くらい経つと、俺は質問を探すのに疲れ、ベッドに横になった。
なんとなく横になるだけでこうもすぐにアイデアというものは浮かび上がって来るものだろうか。
俺はすぐに運営への質問を用意した。
『最後に残された1人はどうなるんですか?』
『それにはお答えできません』
俺は「チッ」と舌打ちをして、再びベッドに横になった。今度はまぶたを下ろしながら。