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親友(とも)との出逢い

本作品は作者の独自の感性で書かれている為、意見諸々あるかと思いますが、最後まで呼んでくれたら幸いです。

第1話    

      プロローグ

     

 

「好きです。」

一世一代の告白を今言ったばかりだというのに、ふてくされた顔の男子高校生の名前は火野悠磨。

「あ…あの…。」

こっちは今にも心臓が飛び出そうなくらい、真っ赤かな、しかしそれでいて綺麗としか良いようない女子高生の名前は木塚香織。

ここは○県×市にある市立東坂之上高校の屋上。名前のとおりの長い坂が正門前にあるぐらいで他になにかあるわけでもない学校である。

しかし物語は、こういう何気ない場面から訪れる、、、


返事に少しの間があった後、しぼりだすように木塚香織は言った。

「わた、、、。」

そこまで言いかけて、止まった。

「わた?」

思わず心の中で聞き返す火野。

しかし、それ以降返答は返ってこない。

というか何かおかしい。

目の前で起こるそれを火野はなかなか認識できないでいた。

そして、ようやく火野は理解する。

「もしかして、、、時間が、、止まってる?」

そう、文字どうり止まっている。返事をいいかけている木塚香織も、空を飛んでいる鳥も、グラウンドで部活をしている生徒、それを見ている先生も、、、止まっている。

そういうことに・慣・れ・て・い・ると思っていた火野でさえも、余りの事に戸惑っていた。

そんな時だった。

カチャッ

屋上の校舎へ続く扉が開いた音がした。考える間もなく火野はそっちに目をやった。

すると、そこから不適な笑みを浮かべながら現れたのは、クラスメートの水上一輝だった。


第1章        能力


「悠ちゃん遅刻よー。」

時はさかのぼる。

夕刻頃、屋上でそんな事が起きる日、火野悠磨はいつもどうりの朝を迎えた。

「今、行くよ。」

愛想もない返事を返す、彼からは今日告白しようとかいう素振りは全然見受けられなかった。もちろん火野自身もそんなつもりはなかった。その理由は、もう少しあとで説明しよう。

そんな感じで、2階から降りてきた火野悠磨は母親との他愛のない会話の後、半ば急ぎ気味に彼は学校へ出発した。

彼の通う東坂之上高校は、家から10分くらい街中を通った後15分くらいの坂を登った先にある。学校の名前にもなっているこの坂なのだが、ただただ長い。春先には桜並木がとても綺麗で別名「天竜坂」と呼ばれている(桜のピンクが地上から天に向かって昇るような様から)のだが、通っている俺たちにとっては、何の変哲もない坂だ。それに今は、6月…薄ら薄ら緑の葉っぱが生えてきた様はピンク竜というよりかは、傷だらけの竜という感じなのだが。


急ぐ火野が坂の中腹ぐらい差し掛かったところで・そ・れはきた。いや、きたというよりかは彼自信に何かが起きたというべきか。

突然火野が左目を痛そうに押さえた。

「イっ」

彼にとって日常茶飯事のやりとりなのだが、この痛さになれる事はない。

「くそっ、またか。しかし、今は…マズイ。」

火野は焦っていた。今は遅刻ギリギリの身。通学路には誰もいない。

そして、次第に痛みはどんどん増していく。

そのとき、火野の背中で何かが動く気配がした。火野は時間的制約と痛さから、とっさにそれを対象物とした。振り向く火野の目は朱色をしていた。まるで竜のように、綺麗さのなかに猛々しさも持つ目だった。そんな朱色の目がとらえたのは、、、

黒と茶色がブチのネコだった。

「げっ…」

火野はとっさに目を離そうとしたが、遅かった。彼の朱色の左目はネコを捕らえ・記・憶した。

次の瞬間、彼の左目が朱色から元の黒色の目にもどると同時に彼は走り出した。四足歩行で…

坂を物凄い勢いで登っていく。坂の先には学校しかないから、進む先は学校のようであるが、

「一体どこに向かっているんだ。」

火野は四足歩行で走りながら、そんなことを考えていた。どうやら彼自信の意思ではとめられないようだ。坂も終盤に差し掛かったところで、校門がみえてきた。火野とおなじような遅刻ギリギリの生徒がちらほら見えてきたが、彼は止まらない。彼を見て、二度見する男子生徒。クスクス笑いながら、話す女子生徒。呆然とする生徒etz…

「うわー」

彼の内心は心臓が飛び出るような勢いで恥ずかしかったが、止まらない。そして、そのままの姿で、校門を駆け抜けていき学校裏に向かっていく。

「ん?もしかして」

一人の影を見つけ、この辺りでようやく火野にも思い当たる。

「やっぱり」

そこには、用務員のオバチャンと…サバの缶詰…

この用務員のオバチャンは毎日家からサバの缶詰を持ってきて野良猫に与えている通称「猫さん」。この高校に通う人だったら誰でも知ってる人だ。そんな猫さんを横目に四足のままサバの缶詰に火野はかぶりついた…

ようやく半分程食べた所で行動の自由が、火野に戻る。四足歩行から二足歩行へ。すくっと立った火野をみて猫さんが

「そんなにお腹空いてるんだったら明日から、もっと良いものもってくるよ。」「結構です。」

火野は即答で答えて足早に教室の方へ進んだ。


お気づきになっただろうか。これが彼、火野悠磨の能力である。

一日に一、二回訪れる朱色の目の瞬間に、「見た人が翌日に起きる重大な出来事を彼が今すぐ行う」といったものだ。見なければいいのではという疑問が生まれるのだが、実はそれはできない。発動する際に発生する痛みは何者にも変えがたい激痛をともなうからだ。それに、火野自身も痛みの先には失明以上のリスクがある事がうすうす分かっていた。何はともあれ、今回の場合は坂で出会った猫が、明日初めて猫さんを見つけ餌をもらうという重大な出来事だ。猫にとっては…。初めてこの能力が発動したのは入学式の頃からなのだが、何の意味があるのかと思うこの能力に彼は悩まされていた。今の段階は…


第二章    二度目の能力の発動


足早に教室に戻った火野を迎えたのは冷たい目線のクラスメイトだった。先程の四足歩行の疾走がもうすでにクラスに伝わっていた。ひそひそ話しをするものや、話を聞き首を傾げるもの、聞きながらもふーんと無関心なものなど様々だが、火野はそれらを無視するように席についた。突発的に変な行動を起こす彼に友達がいないのは言うまでもない。

始業のベルがなり、まるで何事もなかったかのように先生が授業を始める。もちろん先生も彼の味方ではない。

一時限目の休み時間、そんな彼に一人の眼鏡をかけた女子生徒が近づいてきた。彼女は隣のクラスの日影茜。頭脳明晰で、委員長もしている。そして、お節介やき。いいやつなのだが、だからこそ苦手だ。

「あなた、また何かしでかしたそうね。」

「あ、あぁ。」

そっけない返事で火野が返す。

「まったく、次からつぎへと。」

あきれ混じりに日影が言う。

またというのは、俺はこの能力のせいで入学式の頃から色々問題を起こしている事だ。その時からコイツはよく俺に話かけてくるようになっている。主に注意みたいなものなのだが…

そうこうしてると、周りのクラスメイトからのひそひそ話しが聞こえてくる。

「日影さんまたあの人と話してるわよ。やめとけばいいのに。」

俺もそう思う。こんな突発的に何かしでかすようなやつ、もし俺が日影の立場だったら絶対に話しかけない。友達にもなりたくない。そう考えてると段々落ち込んでくるなぁ…

キーンコーン…

二時限目のチャイムがなった。日影が

「とにかくあまり問題は起こさないようにね。」

そう言い残して隣のクラスに帰っていった。先生が入ってくる。またいつもの日々。


そんな俺も学校に来ているのは好きな人がいるからだ。日影とはまた別のクラスの木塚香織さんだ。容姿端麗で頭もいいという印象の人だ。入学式の日、初めて能力が発動した際、見た人物は今も同じクラスにいる不良のやつだった。どうやら翌日に三年のボス格のやつとケンカしようとしていたらしい。いきなり、胸ぐらをつかんで体育館裏に来いだもんなぁ…まぁ結果は、ぼこぼこ…いきなり能力が発動して訳が分からないうえに、ボロボロ…そんな時に、

「これ使って下さい。」

と、綺麗な花柄のハンカチを渡してくれたのが木塚香織さん。いわゆる一目惚れってやつだ。まぁその後、ハンカチを返す日にクラスのアホどもに能力が発動して女子更衣室を覗くなんて事をして、木塚さんに「最低ですね。」なんて言われたりしてから、何にもないわけだが…


三時限後の休み時間、机にうつ伏せに寝ている火野の肩を触られたような気がしたが、どうせ何かのショックでぶつかったんだろうと気にも止めなかった。

四、昼休み、五、六時限目といつもどうりの一人時間を過ごし学校の授業が終わる。

カバンを持ち机から立った瞬間…きた。本日二回目の能力の発動だ。

「イっ。」

いつもの痛さがきて事態に気付く。この場所はランダムすぎる。しかし、時間的余裕もない。その時、

「なぁちょっといいか?話があるんだが。」

話しかけてきたのは不良のやつ。何かただならぬ雰囲気だか、今はそれどころじゃない。断りの言葉を…

「今はちょっと…」

あっ!見た。見てしまった。最悪だ。猫に続いて不良。今日は、厄日だ。と、思った瞬間俺は教室をでて走り出した。後ろで「待てよ。」と聞こえるが、止まらない。一瞬またケンカか?と思うのもつかの間、足を止めたのは木塚さんのクラス前。ドアは空いている。皆が何事かと注目する。ん?このクラスに不良なんていたか?と、思ったが、おもむろに俺が発した言葉が

「木塚香織はいるか?」

だった。

「…はい。」

木塚さんを見つける。頭にでっかいハテナマークがでていたが、体は勝手に動く。木塚さんの前まで行き、そして

「ちょっと屋上に一緒にきてくれ。」

と言う、俺。

「はい。」

と言う、木塚さん。

何だ何が起こるんだという、クラスの不安と期待が入り交じるなか火野と木塚も同じ考えでいた。


第三章   親友


教室からでた二人は、ゆっくりだが着実に屋上へ向かって歩いていた。その間、火野は頭の中を巡らし今何が起きているのかを整理しようとフル回転させていた。「告白?いやいやそんなはずはない。普段の様子からはそんな仕草は一つもなかったし、どちらかというと、そういうのは邪魔だと思うタイプに思える。となると、可能性があるのは…ケンカ?とか恐喝とか言った類いなのか?だとしたら…最悪だ。嫌われるどころか刑務所とかに…というか今はそんなことよりも木塚さん早く逃げてくれー。」

頭の中で精一杯の懇願をしてみる火野だが、もちろん伝わるはずもなく、木塚香織は火野の後ろを少し頬を赤らめて下を向きながらついてきていた。そして、火野の願い叶わず、いよいよ二人は屋上に到着した。

屋上には誰もいなかった。放課後になったばかりという事でもちろんいるはずもなかった。もしかしたら誰か止めてくれるのでは、という火野の淡い期待も叶わなかった。

先に歩いていた、火野が金網の前で止まり、振り返る。それを見て、木塚香織も止まる。今二人は2メートルいかないくらいの距離で対峙した。

「頼むから変な事するのだけは辞めてくれ。」

火野は頭の中でそればかりを復唱していた。しかし、次の瞬間、火野が発した言葉は

「好きです。」

だった。

火野は一体何が起こったか分からなかった。目の前でそれだけは無いだろうと思っていたことが起きたからだ。告白の瞬間に朱色の目が黒く戻り体の自由がもとに戻ったが、それさえもどうでもよくなるぐらいに。

「あ、あの、、、」

うつむき加減の木塚沙織がそう答えた。

ここで止めればなかったことにできたかも知れないが、火野はそれを選ばなかった。どうしてもその先、つまり答えが気になったからだ。こんな形とはいえ、もう二度と訪れないかも知れないと。不本意ながらきたチャンスに意を決して火野は木塚香織からくる返事をまっていた。そして、

「わた、、、」

と、言ったところで止まる。

「わた、、、?」

思わず心の中で聞き返す火野。しかし、答えはそれ以上返ってこない。というか、何かがおかしかった。あきらかに次に何かを言いかけた状態で木塚は止まっていたからだ。そして、放課後だというのに、周りの声もしなかった。

「ん?」

木塚の後ろのほうを見て火野は事態を把握した。空を飛んでいる鳥がピタッと羽を広げた状態で止まっているのだ。

「まさか…時間が止まっている?」

変わった能力をもっている火野でさえも、さすがにこればかりは動揺を隠しきれなかった。

その時

「カチャ」

屋上と校舎を結ぶ扉が開いた音がした。即座に火野はそっちに目をやった。そして、そこから不適な笑みを浮かべながらやってきたのはクラスメイトの水上一輝だった。

「やあ。」

止まっている世界を何事も無かったかのように彼はこっちに向かって歩いてくる。


水上一輝。彼と火野はもちろん仲良くはない。火野が起こした数々の珍事に無関心なグループの一人だ。頭も運動もさほど良いイメージはなく、目立たないという意味では火野と対極の位置にも見受けられる。


あっけにとられている火野に

「聞きたい事はたくさんあるだろうけど、少し待ってね。」

と、水上は言うと木塚の目の前まで行った。すると次の瞬間、水上の左手が青白く光だした。

「なんだ?」

火野には、まったく理解できなかった。

水上は青白く光った手で木塚の肩に触れると光は収まっていった…

再び不適な笑みで火野の方に顔を向けると、おもむろに

「よし。OKだ。もういいぞ。」

と言った。その言葉が自分にむけられたものでは無いことが火野はすぐに理解した。が、一体誰にっと振り返った瞬間そこにいたのは、まったく知らない人物。同じ制服を着ている事から同じ学校だという事は理解できたが、見たことも話した事もない男性だった。水上にそう言われた男性は

「わかったでー。ほないくで。」

と変わった喋りで答えると、次の瞬間右手を黄色に輝かせ、指をパチンと鳴らせた。すると、止まっていた時が動きだした。気になる事は色々あったが、火野は即座に木塚香織のほうに振り返った。さっきの事が中断していたからだ。しかし、そこで火野が見たのはキョトンとして、何が起こったかわからないと言った顔の木塚だった。

「…火野くん?」

木塚が分かる人物が火野だけの為聞いてみるが、当の本人ももちろん理解していない。そんな二人を見かねてか

「あれま、木塚さんついてきたらあかんでぇ。これから男3人で話があるんやさかい。ケンカとちゃうから心配しんとき。あっ、ちなみにワイは二年の金山裕輔ゆうもんですわ。以後お見知りおきを。」

ことの端末を金山という男は滝のように喋って説明した。

「どうも…はじめまして。」

そう冷静に答えたかと思うと

「あっ、スイマセン。私邪魔ですよね。ごめんなさい。」

そういうと、真っ赤な顔をして木塚香織は扉に走り出した。

「綺麗な子とは、またお話したいさかいほなねー。」

そう言って、金山という男は手を振って木塚さんを見送っていた。

「金山。」

水上がそういうと

「あぁ、えらいすんませんなぁ。綺麗な子には目がなくて。」

申し訳なさそうに金山は答えた。

一瞬横目で水上が金山を睨んだかと思うと、顔を火野に向け

「さて、誰もいなくなった事だし、本題に入ろうか。」

再び不適な笑みを浮かべながら言った。

これから何が起こるか分からない火野だったが、同じ境遇の人に出会ったような気がして、不安よりも期待でいっぱいの気持ちだった。




エピローグ


暗い建物の中、薄い明かりが灯る螺旋階段。そこを上から下へ降りる3人の影が話し合っていた。

「これでいいのか。」

無口そうな大柄な男が開口一番に言った。

「ああ。上出来だ。これで彼の信頼は得たも同然。」

不適な笑みを浮かべる少年が答えた。

「しかし、今のタイミングじゃなくても…」

大柄な男が不機嫌そうにきいた。

「すべては、水上様が考えた事だ。我らはそれに従えばいい。」

反論するように3人目の少女が答えた。

「…そうだったな。」

大柄な男も納得したように答えた。

「ふっ。各人聞きたい事はあるだろうが、すべては目的と遂行のためだ。僕を信じてくれ。」

水上様と呼ばれた少年が2人をなだめるようにいった。

「はっ。」

「了解した。」

即座に残りの二人も答える。

そうこう話してるうちに3人は螺旋階段を降りきり広いスペースに着いた。

そには、あらゆる武器、弾薬、そして真ん中あたりにはもう1人の影が3人を待つように立っていた。

広いスペースの真ん中あたりに来たところで4人そろうと

「すべては目的と遂行のためにね。」

と、上を見上げながら水上様と呼ばれた少年は再び同じセリフを吐いた。

その視線の先には絵に描かれた、今にも天に昇りそうな龍がいた。


  

初めましてmai☆keiです。これが生涯初の小説の作品となりました。ゆっくり着実に書こうとしたら1ヶ月もかかってしまいました。次回はもう少し早くかければと…。

皆さんの意見を聞きながら、もっと成長していきたいと思いますので、どしどしコメントお願いします。

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