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Special Forces Knights ~騎士団特殊部隊~  作者: カラテ家
第一章 え?入隊?
2/3

1-1 叶。




 俺は還咲かえりざき中学の二年生。

部活動は蹴球サッカー。このごろ特に面白いことはない。


何をしても心が満たされない。

今まで好き放題遊んできた代価だろうか。

今まで通り遊んでも、今まで通り美味いもん食っても、体はいつも通りと認識してしまう。


 最後に楽しかったと認識できたのは去年の夏。

その頃には既に心は「楽しみ」という感情を注がれても満たされないほど肥大化していた。


だが、それを超える感情が彼を包んだ。


彼は普段、ネットにゲーム、漫画といった近代的な遊びをする少年だった。

それ故、あの時シンや、新宮にのみやかなえと一寸した冒険へ出かけたのは新鮮だった。


チャリで休日の二日をかけて西へ東へ。


時には危ないこともあったし、道に迷って大変だったこともあった。

泊まりは奇跡的についたシンの親戚の家だった。

だが、それが楽しかった。



 あれから一年。あれのすぐ後、叶は転校してしまった。

あの冒険は思い出作りだったのだろう。シンとは毎日会って談笑しているが、あれ以来、叶とは会っていない。


――――また、会いたいな。


彼もシンもそう、切に願っていた。だが、彼ら(+叶)の運命を決める分岐路は刻刻と近づいていたのだった。




 ―☆―★―☆―


それは二時間目の休み時間(10分)、シンの机での会話だった。


「シン、叶がどこにいるか知んない?」

小首をかしげてみせたシンを「やっぱりか」という目で見ながら。

「うーん、また叶に会いに行こうか誘おうと思ったんだけど」

ボヤく。

だが、勢い余って

「いいね!いつにする?」

とか。気が早いなぁ・・・・・・彼女の所在地も知らないのに、いつなど決められるハズがない。


「まだ、決まってねぇ。まず、叶の住んでる場所が分かんねぇとなぁ」

うーん・・・・・・と、休み時間を全部使い切って意見を出し合ったが二人とも意見がまとまらずチャイムと共に散りじりになった。



チッ。場所が分からないんじゃあ、会いようがねぇ・・・・・・

せめて、転校した場所さえ分かれば・・・・・・


だが――そんなことを考えたって埒があかない。

なら、知っている人が居ないか聞いてみるだけだ。


なんて惚けていると・・・・・・



「ユウちゃん。おーい?先生睨んでるけど・・・・・・?」

え?マジでか・・・・・・

とか言っても今更・・・・・・じゃない!今からだ!

「佐華?お前どうした?いきなり叫んで・・・・・・」

えーと。なんか皆オレを見てるぞ?後半から無意識に叫んでたかな・・・・・・

なんかスンマセン。とか言ってる場合じゃない。

温度が急激に下がっていく(無論比喩)

コソコソと色んな所から呟きが聞こえる。「おい、佐華あいつ大丈夫かよ」とか「え?悠一クンなにあれ・・・・・・」とか。

若干酷いのもあったが、なんかあれだ。

うん、聞き違いだ。


「先生、えーと、今から・・・・・・今から真剣に授業受けます」

「当たり前だ」

即答。キツいなぁ。

うぅ。と、ここで横槍が刺さる(・・・)

「おい、鮭ェ。何考えてたんだ?」

ニヤニヤ。って言葉がよく似合うよ。コイツ。

コイツは馬鹿。

・・・・・・じゃなくて。(ひいらぎ) 竜也(たつや)。端的に言うと馬鹿。

アホが不良気取ってるけど実際悪くなり切れてない奴。

酷い言われようだが、俺は善意で言ってるつもりなんだ。根はいい奴だ、って。

つまり、単純。


「はいはい。もういいです。授業を続けるので・・・・・・」

オォ、流石先生ェ。間の切り方がプロだ。




とまぁ、全く関係の無い話に食い込んじまったが、ここからが本題。

俺らが聞き込みにも失敗し下校する頃。

なんか、叶は女友達が少なかったみたいで(勿論、男もだが)、勇気を出して聞いてみても成果はゼロ。



下校時には思わぬ者から予想だにしない情報が入ることになる。


「ん?あぁ。昼間の考え事の奴じゃないか。」

え!?なんで馬鹿(コイツ)がここに?

しかもコイツなんか変な想像してねぇか?しつこい。


俺はシンと別れたあと、無意識に叶の家跡地に向かっていた。

そこで、竜也と出会った。コイツはあまり気にしたことがなかったが、家はこの辺なのか?


「お前、叶知らないか?」

なぜか・・・・・・コイツなら知っている気がした。故に口が勝手に動いていたのを黙認できた。

だが、コイツの答えは予想外、だった。


「くくく・・・・・・叶かぁ?アイツは今日帰郷して来るってェよ。懐かしいなァ」

コイツ叶と予想以上に親密?

って、そうじゃなく。帰ってくる!?

叶が?こんなチャンスは、ない。


なかなか運命を感じたが偶然だろう。

「何時頃帰ってくるんだ?」

これが重要。

「シラネ。まだカモだし、もう着いてるかもしれねぇ。つーか、今日の考え事ってそれかよ。お前叶に気があるんだろ?」

わかり易すぎたか。って、なんで肯定?俺分かりやすいなぁ。


「オーケー。明日休みだし今日は帰っとくわ。あと、気はない。」


センキュ&グッバイ。


俺は軽い足取りで家へ小走りで向かった。

知る人ぞ知る。この光景を分かる人が見たらモロバレだろうな。



 ―☆―★―☆―



「ユウちゃんにシンちゃん。どこにいるのかなぁ。家にも戻ってないし。はぁ。明日にするかぁ。」


彼女はポツンと、足取り重く家へ向かった。


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