if戦記 〜大和特攻〜
太平洋戦争末期 1945年3月。
沖縄戦の援護のため立案された大和特攻作戦。
本作戦の責任者である連合艦隊司令長官 豊田副武大将は、実行に先立ち先日再結成されたばかりの総力戦研究所を訪ねた。
「率直なところ、本作戦は成功するだろうか?
...いや、大和はどこまで沖縄に近づくことが出来るだろうか?」
対する研究所員は、大将相手にも臆することなく淡々と応える。
「まあ散々でしょうね。
多分ですけど、坊ノ岬沖辺りで捕捉されて、左舷にばかり魚雷だの爆弾だの16発くらい食らって、2時間くらいで沈没するのがオチだと思います。」
「やけに具体的だな。」
「総力戦研究所ですので。」
「凄いな総力戦研究所。」
そう、総力戦研究所は凄いのだ。開戦前に、今日に至るまで皇国の経過をピタリと言い当てた。
その総力戦研究所がいうのだ。多分当たるのだろう。
しかし、豊田とてハイそうですかと帰るわけには行かない。失敗の未来が分かるなら、対策も立てられよう。豊田が訪れた本当の狙いはそれだ。
「では、どうすれば良い? どうすれば大和を彼の地へ送ることができる? 教えてくれ。何か無いか? 蜘蛛の糸一本程の可能性でも良い。」
蜘蛛の糸とはまた図々しい。研究所員は思ったがそれは口に出さず、一つの可能性を告げた。
「まあ、無くはないです。別の理由でたどり着けなくなるかもしれませんが。」
「あるのかっ!!? 是非、是非教えてくれ。」
そして研究所員から秘策を教えられた豊田は、足早に軍令部へと戻った。
• • •
4月7日
沖縄へ向かう途中、豊後水道で大和は米軍航空部隊の激しい攻撃を受けていた。
しかし、
「Shit!! 何故だ? 何故水柱が上がらん!?」
「魚雷を何本撃っても、奴ら平気で居やがるぜ。」
「どうなってんだ? 魚雷が船の前で音も無く消えていく?」
大和を目がけ放たれる無数の魚雷。しかしそれらは尽く大和を目の前に沈黙する。
米軍は混乱した。一体何の魔法だ?
大和は予想される魚雷攻撃に備え、防御陣を構築した。
魚雷は強い。装甲をどんなに強力にしても、当たれば破壊される。
しかし、ならば簡単、当たらないようにすればよい。
そして編み出されたのが
『大量のワカメで周りを固めよう作戦(昆布もあるよ)』
である。
大和の船底にワカメを植え付け育て、周囲半径50m程をワカメで囲ったのである。
魚雷に絡みつくワカメ。
スクリューをからめ取られた無数の魚雷が、大和に辿り着くこと無く動きをとめる。
当たらない。全然当たらない。
「やったぞ! これなら怖いものなしだ!」
困惑する米軍を嘲笑うように、南へ南へとゆっくり進む大和。
ゆっくり...ゆっくり...
ゆっくり...
ゆっくり...?
「遅っっっっそ!! 足遅っっっっそ!!」
ワカメを引き連れた大和は凄まじい水の抵抗を受けていた。
全然速度が出ない。
しかも。
「艦長! 燃料がもうありません!!」
あまりの抵抗に、早々に燃料が底をついた。
大和、坊ノ岬沖の遥か手前でリタイヤである。
そうして海に捨て置かれた大和。
戦後、大和は海上釣り堀として大いに賑わうこととなる。
おしまい
天皇「玉音放送、行っちゃう?」




