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牡丹灯篭(改)AI併用

作者: 李誠AI
掲載日:2026/05/25

原典の中国『牡丹燈記』のように、女が既に白骨化している、

男を無理やりあの世に連れて逝くというストーリーにはしておりません。

挿絵(By みてみん)

 三途の川の対岸。あの世の側の船着場、通称 彼岸渡船場。

いつも薄靄がかかって、1年中彼岸花が咲いている。

 お露はそこに、牡丹燈籠をそっと傍らに置いて、長い間座っていた。

死んでから何十年たったのだろう。時の流れはこちらではゆるやかで、

けれど現世の年月は容赦なく過ぎていく。

 彼女は掟を破らなかった。

「寿命が尽きていない者を、無理やり連れてきてはならない」。

 怨霊や悪霊はそんな規則を嘲笑うというが、お露は違う。

新三郎と、こちら(あの世)でちゃんと結ばれたい。

強引に奪うような真似をすれば、地獄に堕とされるか、

魂ごと消滅させられて二度と会えなくなるかもしれない。

それが怖かった。だから待った。

 新三郎が、ちゃんと天寿を全うする日を。

その頃、現世では、新三郎はもう80を越えていた。

 妻は20年以上前に、息子夫婦もその後に亡くなった。

孫やひ孫は遠い都会に暮らしており、年賀状すら途絶えて久しい。

古い家に1人、静かに暮らしていた。

夜毎、枕元に美しい女の幻が立つようになった頃から、

新三郎は薄々気づいていた。もうすぐ自分の番だと。

若い頃、たった一夏、情を交わしたお露だ。

あの娘は、病で早くに死んだはずだった。

 けれど今、夢の中でお露は変わらぬ笑顔で囁く。

「もうすぐ、ですね」

 その頃、あの世では。

 冥界の奥深い殿舎で、お露は重鎮の家臣に呼び出された。

黒い烏帽子に緋の袍を着た、厳めしい男だった。

「そなたの想い人…新三郎の命は、今宵で尽きる」

 家臣は低い声で続ける。

「あの男は現世への未練が深すぎる。浮遊霊となり、地縛霊となり、

周囲に災いをもたらすやもしれぬ。ゆえに、そなたにお迎えを命ずる」

 お露の胸が、激しく高鳴った。何十年も待ち望んだ言葉だった。

彼女は最後まで聞かず、牡丹燈籠を手に立ち上がった。

「待ってました!」

 家臣が何か言いかけたが、お露はもう走り出していた。

燈籠の火が、嬉しさに震えるように揺れた。


新三郎の家で何が起きたかは作者も知りません(^^;)


 翌朝。隣家の婆さんは、新三郎が起きてこないのを不審に思って、

障子をそっと開けた。布団の中で、新三郎は穏やかな顔で息絶えていた。

最期に苦しんだ様子はなかった。

まるで、待ち人との逢瀬を夢見て、そのまま旅立ったように。

その胸の上に、季節外れの牡丹の花びらが、薄紅色に散っていた。

枕元には、一枚の紙が置かれている。女の、懐かしい筆致だった。

俗名 新三郎

 同 お露

 婆さんはそれを見て、静かに手を合わせた。

古い恋の物語を、ぼんやりと思い出しながら。


現世で新三郎の葬儀が行われていた頃。

 三途の川のこちら側の船着場に、二つの影が並んで立っていた。

一人は白髪の老人だったはずが青年時代まで若返り、

もう一人は変わらぬ若い娘の姿。

 お露が新三郎の手をそっと握ると、彼は照れたように笑った。

「待たせて、すまなかったな」

「いいえ。やっと、来てくれました」

牡丹燈籠の火が、二人の影を柔らかく照らした。

「船頭さん、お願いします」。

「2人合わせて12文、確かに。ほな、逝きましょか」

やがて2人を乗せた船は、ゆっくりと川の向こうへと進み始めた。

もう、誰も待つ必要のない道を。



十万 億土の~ ラブ ストーリー 来世の キミと♪(終)

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