2章
相方が仕事に出て、私は家で作業をしていた。
いつものように、昼ごろコーヒーを淹れる。
ニュースの速報が流れた。
どうやら酷い車の事故があったらしい。
テロップに出た名前を見て、体が凍りついた。
相方の名前だった。
目を疑う。
心臓が激しく鳴っているのに、
世界から音が消えていく。
まさか。
だって朝、いつもと同じように
二人でコーヒーを飲んだ。
きっと別人だ。
そう思い、急いでスマホを掴み相方に電話をかける。
呼び出し音。
出ない。
もう一度かける。
出ない。
機械音声だけが静かに流れる。
寒くないのに体が震えた。
血の気が引いていく。
無事だと信じたかった。
ただ帰ってくるのを待った。
スマホを握ったまま。
そのときだった。
突然、けたたましくスマホが鳴る。
画面も見ずに出た。
聞こえてきたのは、
待ち続けていた相方の声ではなく
事故の説明をする、警察の声だった。
⸻
身元確認のため、遺体を見た。
そこにいたのは、
今朝も一緒にコーヒーを飲んだ相方。
変わり果てた姿だった。
事故の原因は心臓発作。
運転中に意識を失い、車はそのまま壁に衝突したという。
認めたくない。
それでも、時間が過ぎるほど
現実だと分かってしまう。
相方がいない。
気付けば、涙が止まらなかった。
呼吸がうまくできない。
テーブルの上には
コーヒーが1つだけ残っている。
そして、
もう用意される事のない
ミルクと砂糖が
そのまま残っていた。




