G:ground
――雨降って土砂崩れ
俺は雨が苦手だ。知っているだろう?
恩着せがましい命の恩人 兼 なんだかんだと人の世話を焼きたがる幼馴染の持つ傘はデカイ。俺らなら二人が並んでもすっぽりと守られる大きさで、突然天気が変わった日は一緒に入れてもらうのが常だった。
目の前のグランドは夏特有の夕立で水没している。
でも俺は今日、彼女の誘いには乗らなかった。少し悲しそうな顔を浮かべて何か呟くと、彼女はゆっくりと雨の中を歩いていった。……傘だけを俺の傍に残して。実のところ、傘があっても、話し相手でもいないと水溜りが怖くて歩けない俺は、何を考えるでもなく着衣水泳でもしているかのようにビショ濡れの彼女の背中を眺めていた。
むしゃくしゃと、何か叫びたい気分だ。びしょ濡れの背中に、俺はいつの間にか叫んでいた。今の俺は何を言ってしまうか分からない。
「透けてるぞーーーっ」
……本当に何を言っているんだ俺?
彼女はピタリと足を止めた。振り返ると、叫び返して走り去った。
「バカバカバカ! もう、二度と謝らないから!」
彼女の頬を濡らしていたのは、どちらなのだろうと、心の片隅で少し気になった。
当然のことだが、雨以上に苦手なんだ俺は。アイツの涙が。
2007.10.15
※字下げと空行の追加を行ったメモ。2026.1.11




