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W:world
――世界は祝福する
一生懸命で、情熱的で、いい歌だった。
私はハル君の歌を隣で聴きながら思った。こんなに一生懸命にラブソングを歌われる人は、幸せだろうな。
ちょっとだけ、ううん、それはとっても、羨ましいな。
歌が終わる。もう少し、聴いていたかったけど。
肩で息をしながら、ハル君が真剣な目で私を見て……、
プロポーズされた。
グランドが静まり返る。野次も冷やかしも凍りついた中、動けるのは物語の主役であろう私と彼だけだ。
ずっと、待っていた言葉なのかもしれない。心の中に広がる感情が、涙になって零れていく。嬉しい。嬉しすぎて心が壊れないように、涙が止まらないのかもしれなかった。
「ねぇ、私のこと、恨んでないの?」
「へ? なんで?」
本当に訳がわからないという風に、彼は首を傾げる。
「じゃあ、私の唇を奪った責任、とってくれるんだ?」
「人工呼吸は、普通ノーカウントだからな」
2007.10.15
※字下げと空行の追加を行ったメモ。2026.1.11




