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V:victory
――勝者は高らかに手を掲げる
マイクの前に進む。もうすでに、俺の歌を聞く前から、グランドは赤く染まっていた。夕焼けだ。明け方から始まった戦いが夕日の中で終わるっていうのは中々悪くない。
隣で皆に手を振り笑顔を振りまくライバル。
俺は、一曲歌った。
一昔前の、恥ずかしすぎるラブソングというやつだ。夕日のおかげで、俺の顔が真っ赤なことが目立たないことは有難かった。
恥ずかしいくらいに、熱唱した。周りの声も聞こえないくらいに。ただ、一人だけ、隣にいる人のことだけ見えていた。
息も絶え絶えに歌いきると、まばらながら拍手が聞こえた。隣からも。
俺はマイクが入っているのも気にせずに言った。アキの無邪気な瞳を真っ直ぐに見て。
「俺はアキのことが好きだ。水溜りもプールも海も風呂も温泉も駄目な俺だが、結婚しよう」
2007.10.15
※字下げと空行の追加を行ったメモ。2026.1.11




