K:key
――鍵はたいてい一番使い慣れたポケットから無くなるんだ
雨は三日間降り続いている。金土日と。
そしてそれはつまり、俺の学校でのサバイバル生活が三日間続いていることを意味している。誰一人として学校に人が来ないというのも予想外だった。
この学校の生徒と教員のやる気に文句を言うのは後回しとして、まともな食い物が無いのは死活問題だ。自由に動き回れるのに、要所要所はキチンと戸締りされている。保健室、職員室、食堂、家庭科室、理科室、放送室。助けを呼ぼうにも携帯は力尽き、電話があるような部屋には鍵が掛かり、公衆電話はあるものの小銭がない。おかげで硬い床で寝て、教室のロッカーから非常食代わりのお菓子を拝借して凌ぐしかない日々。
図書室まで閉まってるから、読む本も無い。
教室でひとり、目を閉じて物思いにふける。なんだ、青春みたいじゃないか。
遠い昔、街の外れ、川の流れ。あの時、手を伸ばしたのは何故だっただろう。女の子の泣き声と途切れる意識。そして吹き込まれた温かい空気と、彼女の頬に流れる涙。
あの時から、大切な何かを無くしたままだ。きっと、何か大切なものだった。
きっと、誰か大切な人との、約束だった。
2007.10.15
※字下げと空行の追加を行ったメモ。2026.1.11




