通勤
シンシン。
シンシンと。
シンシンと降り積もる雪。
季節は冬。
ライトに照らされた前面が幻想的だ。
視界一面が銀の世界だ。
この時期の景色は四季の中で一番美しいと思う。
雪が前面から後方へ急速に流れていく。
ヴウウウウウウウ~~。
ヴウウ~~~。
通勤の為に使用してるスクーターのアクセルを回す。
速度が上がる。
転倒しないレベルで。
途端。
雪が前面から後方へ流れる速度が速くなる。
ハア。
息が白く曇り後方に流れる。
前方に信号が有る。
信号の下で歩行者が佇んでいた。
スマホを見ているみたいだ。
信号は赤。
歩行者の信号は蒼だ。
歩行者はスマホに夢中で気が付いてないみたいだ。
ヴウウウウウウウ~~。
ヴウウ~~~。
アクセルを緩める。
シンシンと雪が降る。
シンシンと。
チカ、チカ。
前方の信号が赤から青に変わる。
ヴウウウウウウウ~~。
ヴウウ~~~。
アクセルを元に戻す。
速度が上がる。
歩行者の信号が青から赤に変わる。
歩行者がスマホを見ながら歩きだす。
僕の眼前で。
一歩。
思わずブレーキをかけた。
グッ。
前輪が沈み後輪が滑りながら前方に上昇した。
視界がブレる。
歩行者の驚いた顔が初めて見えた。
激しい衝撃と共に腕と頭部に足に激痛が走った。
意識は暗転した。
意識は完全に無くなる寸前に見たのは水だった。
湯気を立てる水。
赤い。
赤い。
水たまりだった。




