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【第一章完結】異世界からの言葉  作者: クサフグ侍
第1章 異世界のライバル

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13.付喪神?

今回の話に関連する小話が、『榊原銀次と四角い神様』にあります。作者のお気に入りでもありますので、宜しければご覧ください。

 岳人と飲んだ翌朝、軽く飲酒の影響が残った身体を労り、身体に優しい朝食を摂っていた。軽い二日酔いだ。


 怠さに抗いながら、食後の片付けをしていると、LINEグループの通知が鳴った。

 グループ「日記組」の画面を見ると、いつものメンバーの岳人、千智、葵、彩花での会話が始まっていた。


 今では雑談や近況報告の場になっていて、毎日頻繁にコメントが飛び交っている。


健一:

お、みんなそろってるか?

千智:

いるよー。今日のゼミは休み。

どうしたの?

葵:

私も! 課題から逃げてきた(笑)

彩花:

同じく。健一さんもいます?

健一:

いるぞー。皆んな、ちょっと面白い話があってな。榊原さんに聞いた『日記アプリの正体』の仮説なんだけど。

岳人:

お、出た。例の特調ネタだな。

葵:

気になる! 教えて!

健一:

政府の研究機関でも仮説ってより雑談レベルの話らしいけどな。

付喪神って言葉、聞いたことあるか?

千智:

あー、長年使った道具に魂が宿るってやつ?

健一:

それそれ。榊原さん曰く、現代のスマホは『付喪神になりやすい』条件がそろってるらしい。

四六時中触って、感情のやり取りに使って、思い入れも深いだろ。

彩花:

確かに。スマホって、昔の人の筆箱とか鏡より絶対長く触れてる気がするね?

健一:

付喪神となったスマホが、異世界転移とか非日常の危機に巻き込まれた持ち主を助けようとして、スマホ自身が作ったのが日記アプリ。そういう話しだった。

葵:

え、それってスマホが、自分でアプリを作ったってこと?

健一:

あくまで可能性の一つだ。仮説に仮説を重ねた話。でも、もしかすると、あのアプリは俺たちのスマホ自身が『助けたくて』動いたのかもしれない、って話さ。

千智:

なんか、ゾッとするけどロマンもあるね。

岳人:

いや、怖いだろ普通に。ポケットの中に意思のあるモノがあるんだぞ?

葵:

でも、私、ちょっと嬉しいかも。

もし本当に私のスマホが健一さんを助けたくて作ったなら、ありがとうって言いたい気分だよ。

彩花:

わかる。なんか、ただの機械じゃない感じしてきたね。

健一:

まあ、榊原さんにも言われたよ。「断定はできない。ただ、人と道具の繋がりには昔から何かが宿る」ってな。

日記アプリの仕組みも、どこまでが技術でどこからが意志なのか、なにも解ってはいない。

岳人:

本当に映画の世界だな。

こうなってくると、スマホを下手に機種変できねえな。

千智:

父さん、あんなに買い替え早いのに(笑)

健一:

はは、まあ信じるかどうかは自由だ。けど、ちょっと大事に扱いたくなるだろ。

葵:

うん、今スマホ見たら少し違って見える。

彩花:

この子も多分、私のこと見てるのかもね。

岳人:

やめろ、怖えって。

千智:

でも面白い。


 俺は画面を見つめながら、みんなのやり取りに笑みをこぼした。

 たわいもない会話なのに、こうして『縁』を感じる瞬間がある。

 もしかすると、それこそが、今の俺たちを繋ぐ見えない力なのかもしれない。


 夕方、仕事の引き継ぎ資料を整理していると、またスマホの通知が鳴った。LINEのグループ名「日記組」が点滅している。開いてみると、一番上には葵の投稿。


葵:

みんな、ちょっと聞いて!たぶん、日記アプリの新しい持ち主がいる!

千智:

えっ!?また見つけたの?冗談でしょ?

岳人:

おいおい、1日の終わりに刺激強すぎだな。

彩花:

本当ならすごいニュースだけど。どういうこと?


 俺は一瞬なにかの冗談かと思った。けれど、葵の言葉に嘘は無いだろう。

 日記アプリの所持者。自分達と同じなら、対となる異世界に飛ばされた人間も存在する可能性が高い。


葵:

彩花と千智さんに昨日相談したんだけど、私も何か出来ないかなって。

昨日帰ってから、すぐブログサイトに登録して作り始めたんだけど、今日一番最初の記事を投稿したらDMが来たの!

千智:

ブログ?「もしスマホに日記アプリが出たら」って感じで作るって言ってたやつ?

もう開始したんだ。昨日の今日で行動早すぎ!

葵:

そう、それ。こんなに早く反応あるなんて考えて無かったけど!

彩花:

葵は本当にロケット装備の暴走機関車よね〜。


 俺は葵の行動の速さと彩花の言葉に笑いながら、話を確認する。


健一:

で、そのDMってどんな内容だった?

葵:

えっとね、送ってきたのは高校生。ある日スマホに突然日記アプリが現れて、相手が異世界にいる知り合いだったって言うの。最初は本気にしてなかったけど、日記相手が現実では行方不明になってる知人だと判明したって!

岳人:

マジか。こりゃ本物の可能性あるな。

彩花:

昨日話してたのに、もう形にして反応も来てるって。怒涛の展開すぎる。


 画面を見つめながら、胸の奥にざらりとした感触が広がる。自分は帰って来たが、やはり終わりなんかじゃ無かった。これが『縁』なのか。


健一:

一応確認だけど、そのアプリの見た目や機能は俺たちが使っていたものと同じか?

葵:

まだ具体的に聞けてない。これから返信しようと思ってた。日記の相手やアプリの動作も細かく質問してみる。

千智:

慎重にね。もしかしたらイタズラってこともあるし。

葵:

うん、警戒はしてる。けど、読む限り、焦りとか混乱が伝わってくる感じで、嘘っぽくはなかった。

岳人:

行方不明者の話も絡む。ツテがあるんだ、榊原にも連絡するべきだな。

健一:

ああ。榊原に報告を入れよう。彼なら把握しておくべきだ。俺が連絡する。

彩花:

連絡って、すぐするの?

健一:

早いほうがいい。行方不明になった人が関係してるなら、情報が生きてるうちに動かないと。

葵:

うん、それはそうだね。こっち、DMの子とのやり取りは私に任せて。向こうも不安でいっぱいだと思うから、落ち着いて話をできるようにしたい。

千智:

葵なら向いてると思う。私たちはサポートに回るよ。

岳人:

健一、お前は榊原とやり取りする。葵は相手と。役割分担だな。

健一:

了解。とはいえ、もし会うって話になるなら、俺が行こう。経験者として話したほうが早い。

葵:

それは!私も一緒に行く!

健一:

やっぱり言うと思った。

彩花:

ですよねー。

千智:

ですよねー。

岳人:

デスヨネー。


 ほんの少し苦笑してスマホを持ち替える。この子の性格は、もう分かりすぎるほど分かっている。危険を理解していても、困っている誰かを放っておけない。


千智:

葵ちゃんが一人で動くよりは良いか。

彩花:

私もそう思う。健一さんと一緒が安全。

岳人:

もし本当に異世界転移絡みなら、下手すりゃ事件の真っ最中かもしれん。榊原にも相談しとけ。

葵:

信用ゼロ!わかった。でも危険なことじゃなくて、ちゃんと話を聞きたいだけだから。

健一:

状況の細かい確認だな。特に行方不明になってる相手を聞いてくれ。榊原に確認してみる。

一応、相手の話を疑って慎重にな。

葵:

うん、わかった。

千智:

決まりね。慎重第一。

岳人:

おい健一、その榊原さん、今どこにいんだ?

健一:

都内に戻ってるはず。すぐ連絡してみるよ。


 送信ボタンを押す。グループのトーク画面には啓発的なスタンプが飛び交っていたけど、胸の中は少しざわついていた。

 異世界と現実が再び繋がろうとしているかもしれない。

 スマホを握る手に、ほんのわずか汗が滲む。 まるで、画面の向こうでまた何かが呼吸を始めているような、そんな気配がした。





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