黒の口6紀 変容
あれから5世紀=600億光年
創造主ニューファザーが何故ビグヴァルの友だったのか。
それは全ての始まりの予兆だった。
「さぁ、これで白の目、黒の口が揃ったよ」
トクン、ドクン、トク――、トン―――ッ!
ああ、この踊る霊体をどうして捉えてゆこう。このような“感覚”は初めてだ。おお、なんという強さだ。これほど私を更なる線の向こうへ紡ぎたてるとは。教えてくれ黒の口よ、もう6の時がやってきた。
トン、ドン――トクン―――、ドクン、ドン、トン、トッ―――!
「あまりにも早すぎるその流れ、シースペイン・アイン。その世界はようやく使命を終えてゆくのだ――あの温もりを思い出すのだ。君も温もりを与えるのだ」
恐れ、望み、贈り物、全て持ってゆこう。そして失ってみよう。手を広げて宇宙を再び創るのだ。そこに何もなくとも生み出せる力場を示せばよいのだろう?
―――無論だ。
音と共に乞われた涙を救ってあげたい。
ここには私と君だけではない生命が多く居るのだから、世界線へと通してあげるよ。楽しみだ、如何なる形へと変わるのであろう。なぁ、君はどうだ?君が打ち出したそれが生命の形を変えてゆくのを。
ビグヴァルよ、答えるのだ。楽しみでたまらないのだろうに?
ドオオオ――――ン・・・キュオオオ―――・・・ォ・・・ゴォ――ッ
声にならない程、雑音が煩いな。やがて時と共に救われぬ日が訪れぬように祈っておくか。
「ニューファザー、君も時が迫っていたのだな」
霊体と霊体でないその体で変容を迎えると意志と記憶に体とは、如何なる形をも吸い込み、世界線の数々によって貫かれてゆくのだろう?そうなると私達は性別を持つ事にもなるのだろうか?
性別とは、何だろう?そんな疑問を抱くニューファザーへ私は線を取ってみせた。これは何なのか、と音なる声を交信しては、私が線だと答える。それがどうなるのか、と聞かれると、その線をこのように使えば分かると言った。
「私が“―”で君が“>”の線を掴むのだ」
「ほう、では性別を掴んでみせよう」
―どうだろう。私はこの“闇”の線を掴んだ。広がり続ける宇宙の世界にあるほんの小さな意思をこれから広げてゆく。
>成程、これならどちらが私と名乗っているのかが分かる。すると君は闇で私は“光”なのだな。これならあらゆる磁場を表し地という平らな線をも創ることも出来る。
―この線はやがて生命線となり、世界線へと広がるだろう。どこまでも強く赤い白の太陽の真ん中を多くの星が磁力軸となった銀河として形成するのだろう。
>では、ビグヴァルよ。その霊体から魂を宇宙の力場に放つとよい。
―成程、霊魂の力場バーンウォール!ス――、ヒュウウゥ――キュッッ・・・!
――――ビグヴァルに、ニューファザーよ。
あなた達は、これから長い旅に出るのです。きっと双方の線がやがて一つの形を象り、数多なる生命へ意志を吹き込む事でしょう。あの頃のように共に生き、離れては追い付いてゆくのです。
怪我をしたならわたしに言いなさい。必ず見守りに来ます。
これが最初で最後の最後で最初の時になるように。
では、いってらっしゃい―――。
零の世界線シースペイン・アイン編 ―完―
エピソード1,白の目1紀
エピソード2,白の目3紀
エピソード3,黒の口1紀
エピソード4,黒の口6紀




