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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

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 一枚完成したらあとは簡単だ。ついてきた魔法使いの方々に、実際にやってみて学んだ気を付ける点やコツを教えてあげればいい。私は身体強化を解除して再び車椅子に座るだけ。 

 あ、魔法使いって魔法を使う人たちのことね。


 維持していたのは1時間以上、これまでで最も長時間だったが、体が多少は慣れてくれたのか気絶するような気配なはい。

 ただ体は普段の何倍も重い。実際に魔法を唱えている人たちを見ていると、自分だけかかる重力が何倍にもなっているのではないかと錯覚してしまう。


 しかし魔法を使う年季が違うからか、彼らの作業は実に効率的だ。難しいとされる他者との魔法の共鳴も不都合なく行うことができている。


 魔法が思考によって行われる作業である以上、そのほとんどは個人で完結している。そこから属性の違う他者と合わせるというのは非常に難しい作業のはずだ。

 それを失敗無くあわせるということは、それだけ息があっていて魔法の練度が高いという事。同じ魔法を使うものとして何か学びがあるのではと、目を皿にして様子を見守る。


「そう焦らんでも、彼等なら大丈夫じゃろ」

「おじい様。いえ、家族以外の方の魔法を見る機会は珍しいですから、何か学びがないかと思いまして」

「そうかそうか、勤勉じゃのう。周囲は見張っておくから存分に見ておくといい」


 やってきたおじい様が再び離れていった。

 目を魔法使いの方に戻すと、複数人で作業しているからか私よりも早く材料が溶け混ざっている様子が確認できた。

 これから冷やすとなるとさすがに時間はもっとかかるだろうが、私よりずっと早く完成するのは間違いないだろう。


 事実、それから1時間もしないでガラスの壁が三枚完成していた。私の作ったガラスの壁より透明度が高くゆがみも少ない。

 彼らの作品と私のものを比べると恥ずかしくなってしまう位だ。


 もっとも彼らは優しいので、「完成度が高いのはアウリクラ様がコツを教えてくれたから」と言ってくれたのだが。


 だがこれでガラスの壁が四枚完成したのは間違いない。周囲を囲む分のガラスの壁しかなく天井の分を用意していないのは、上から彼らが食べる餌を上から放り投げるためである。


 天井の分を作りそこに餌用の穴をあけることも可能なのだがそれはしなかった。なぜなら魔法を行使する難易度が爆発的に上昇すると予想されたから。

 成形するのに使うのは風魔法なのだが、一面を風で覆うならともかくそこに一部穴をあけるのはあまりにも難易度が高い。


 ここでオプファー・シュピネの養殖が成功したら、ゆくゆくはオプファー・シュピネの居る森の近くすべてで養殖場を作りたいのだ。領地の内外を問わず。その時いちいち練度の高い魔法使いを出していたら魔法使いが過労死してしまう。


 なので作るときはなるべく簡単になるようにしている。規模が大きいのは人数でカバー。そうすればあまり魔法が得意でない魔法使いでもこれを作る事が可能なはずだ。

 私たちが出張しなくても各領地で作れるようになるはず。


 なお糸回収の際は、巣から最も遠いガラスの壁に餌を大量にぶら下げてオプファー・シュピネを誘導し、その間に土属性で地面を掘って回収することを想定している。

 回収する役割はかなり危険が伴うが、これはオプファー・シュピネの生態的に問題ないと考えている。


 というのも、オプファー・シュピネはその巨体を維持するためか常に食料を探しており、餌を見つけたら一直線に確保しに行く生態をしている。

 なので端に餌を置いておけば、もれなくすべてのオプファー・シュピネが寄ってくれるはずだ。

 この生体に関しては、実際に捕獲する際に一度餌を撒いて試してみることも考えている。実際に確認しないと怖いからね。


 そんなこんなで完成したガラスの壁は、箱の形にしたうえで余った材料を使い接触面をガラスで成形する。

 あとは完成した箱を地面に置き、土属性で動かないようしっかり埋め込んだら完成だ。

 あ、外側の壁の一面には餌を巻くとき上に行けるように、土属性で足場を作っている。護衛の騎士がフル装備で三人乗ってもびくともしない頑丈な足場である。


 これにて今日の作業は終わりだ。今日一日十分休んで、いよいよ明日はオプファー・シュピネの捕獲に向かうことになる。

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