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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

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「あぁ、そりゃずいぶん昔に流行った装備だな。70年くらい前だ」

「今は使われていないのですか?」


 依頼を受けてくれた冒険者パーティーのリーダーに聞いてみたら、少しの時間考えたうえでそう答えてくれた。


 すでに日は落ち現在は宿で夕餉の時間だ。この部屋にいるのはカリーナと冒険者パーティーの5人。

 今答えてくれたのがリーダーのシスさん。お父様と同年代で、パーティーでは槍を使い前衛に位置している。

 10歳のころに親を失ってしまい、生活のため冒険者になったそうだ。なかなか波乱な人生を送っている。


「使われてないなぁ。確かに森の中じゃ魔物に見つかりにくくて有利だけど、いかんせん見た目が悪い」

「確かに、全身真っ黒で顔しか見えませんしね」

「それもあるが、あんだけ体に密着していると体のラインがわかってな。斥候は女の方が多いから、パーティーでそういう方面の問題になる機会が多かったんだ。だから女は誰も使わなくなって廃れた。男なら今でもたまにいるがな」

「斥候は女性の方が多いのですか。初めて知りました。ただそういわれてみると、シスさんのパーティーの斥候も女性ですね」

「レイな。おーいレイ!こっち来てお嬢様に教えてやってくれ!」

「なに?」

 

 そう言いながらこちらにやってきたのは、長身で表情のあまり動かない黒髪の女性だ。短剣を両腰に2本ずつ携えていて、表情があまり動かないこともあり非常に物々しい印象を与えるが、話してみると優しいのが伝わってくる。


「お嬢様に斥候のことを教えてやってくれ」

「わかった」

「お願いしますレイさん。早速ですけど、斥候は女性が多いと聞いたんですが本当なんですか?あまり想像がつかなくて」

「事実。私たちは男に比べて小柄で体も柔軟。森の木々の間をすばやく移動するなら私たちの方が断然有利」

「確かに、偵察ならなるべく速いほうがいいですね」

「そう。でも代わりに男と比べて持久力がない。辺境の方にあるような広い森だと、普通の人なら偵察範囲が広すぎて半日も経たないで疲れてしまう」

「では広い森に行く場合はどうするんですか?」

「ほかの組と協力して森に行くか、男の斥候を臨時で雇うしかない。でも人が増えると統率がとりにくいから、あまりとりたい手段ではない」

「レイさんのパーティーはどちらの方法をとっているんですか?」

「それがレイがすげぇおかげで何とかなってるんだ。なーレイ」


 とここで話に復帰してきたのはシスさんだ。

 発言の内容的に何かレイさんがかかわっているのだろうが、何か広い森でできる裏技的なものでもあるのだろうか。


「それほどじゃない」

「それほどだっての。お嬢様、レイは身体能力が異常に発達してるんで、疲れることがねぇんだ」

「異常に発達ですか?」

「ああ。医者もわからねぇって匙を投げるくらいレイの体の筋肉は発達してるんだ。目で見て触ってみてもわかんねぇ位な。おかげでどんだけ広い森でも余裕で動き回れるし戦闘に参加できる。うちの組が5人しかいねぇのはそれが理由だ。他の組ならもう2人くらい斥候がいるが、うちはレイ一人でなんとでもなっちまう」

「それはすごいですね……レイさん、この依頼が終わったら追加で依頼を受けていただけませんか?体のことを調べたいのですが」

「ちゃんと依頼料を払ってもらえるなら構わない。お嬢様は人の体について詳しいの?」

「まだ自信満々でそう言えるほどではありませんが、私にしかわからないこともあると思いますよ」


 私がそう言えるのは、言うまでもなく前世の知識があるからだ。前世と今世では技術レベルが離れているが、そのうちの一つが医学だろう。

 私もただの高校生ではあったが、授業で学んだりネットで色々調べられたから多少は詳しいと言えるだろう。


 それに私自身が最近医療に興味を持ち始めている。私を治したいと初めた学びだったが、本を読んでいったりお医者様から患者さんの話を聞いていくなかでもっと知りたい、助けたい思うこともあるのだ。


 また余計なおせっかいではあるかもしれないが、治せる病や怪我が減ればエキナセア様が楽になるかもしれない。最近流れてきた噂の一つに『聖女様は連日の疲労で体調を崩した』というものがあった。

 私より一つ下の少女が重圧の中がんばっているのだ。私もエキナセア様に迷惑をかけてしまったのだから、何か一つくらい恩返しがしたい。


「それならお願いしたい」

「わかりました。詳しい話は戻ってからさせていただきますね」

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