表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/77

63

 魔道具ってすごい。何がすごいってお金がかかる。

 

 それが魔道具について学び始めた私が最初に思った感想だ。

 なんせ魔道具とは魔物の素材を用いて作られるもの。要するに魔物を倒さなければ手に入らないものを使っているのだから、お金がかかるのも当然というものであった。


 もちろん安価で手に入る魔道具もある。何ならポーションだって魔道具に分類されるようなものだが、普通に平民が買えるくらいには安価で流通している。

 なぜ安価かというと、材料になる魔物が養殖されているのだ。その魔物とはスライム。私でも知っているくらい有名な魔物の代名詞ともいえる存在だろう。


 スライムは水色の粘液が丸くなった姿をしていて真ん中に核があるのだが、その核を壊さないと死なないで再生するのだ。なのでまた別の魔道具によって、その再生する成分を抽出し水に注入することでポーションになる。


 ただ平民でも買えるくらい流通しているのはポーションの中でも下級だけだ。上級の方は製造過程が同じでも使うスライムがかなり珍しいようで、養殖はされているが本当に限られたごく一部の地域でしか行われていない。

 さらに上級用のスライムの管理は国が行っているので養殖場所すら知られていない。上級となると下級の何倍もの速さで怪我が治るのだが、それが最も輝くのは戦場だ。


 だから国は上級用のスライムを秘匿している。もし仮に養殖場所がばれて他国に襲われたら、上級が作れなくなって戦争に負ける可能性が出てくる。

 上級があれば戦線を支えるのが容易になるのだ。これがなくなればその影響は大きい。


 本題に戻るが、魔道具作りは金がかかる。設備に道具に素材、そのどれもが高級品だ。


 特に素材が凄まじい。

 例えば私が初めて『決闘』した際、ピーピン伯爵令息が爆発させていた指輪がある。

 あれの本来の機能は手を丸めたときに手のひらに来る場所にある魔石を押し込むことでキラキラ光るというものなのだが、あれに使われている素材がいくつかある。


 一つ目は光る宝石部分。二つ目は魔石と宝石をつなげる回路の役割をする糸。他には魔物の関係ない装飾とリング部分。

 この中で二つ目の糸がとんでもない。


 宝石部分が光るには魔力が無くてはならない。その魔力を魔石から持ってきて宝石とつなげる役割をするのが二つ目の糸なのだが、この素材はその万能性から供給が足りていない。

 魔石から別のものに魔力を運送するという機能を持つものがこの糸しかないのだ。なので需要があり過ぎる。すべての魔道具に使うのだから当然だ。


 なら供給を増やすことはできないのかと言うとこれがまた難しい。なぜならこの糸を出す魔物はとんでもなく大きい蜘蛛。

 体長約3m、体高約1m。動きが速く顎の力も強くフィジカルが高い。しかも糸を吐いてくれないと採取することもできない。

 

 なので冒険者はこの糸に関する依頼を受けると、戦闘中に糸を吐いてもらってそれを採取して狩猟するかあらかじめ張ってある巣をばれないように採取して逃げるかの2択を迫られる。

 そしてその2択なら後者を選ぶのが当然。だってわざわざ戦闘して命を危険にさらすことなどない。


 結果、巣をなくした蜘蛛が別の魔物に狩られ種自体が減少している。そうなるとさらに糸の供給が減り、冒険者は依頼が増え、さらに安全に採取しようと巣を狙うという悪循環に陥っている。


「……するか、養殖」


 このままでは蜘蛛が絶滅して魔道具が作れなくなってしまう。魔物が減るのは大変うれしいことではあるが、魔道具が貴族の生活に根付いているのだから絶滅してしまうのはまずい。

 しかし自然に増えるのを待つことはできないし現状その可能性も低いのだから、もはや私には養殖以外の選択肢が思い浮かばない。


 幸い蜘蛛は成長が速いから、捕獲さえできれば結果が出るのも早いだろう。問題はどのように蜘蛛を捕まえるかという問題だが、それには当てがある。

 蜘蛛自体も生息する森が領地内にあるので、捕まえること自体は可能なはずだ。


 それに養殖方法も考えている。前世日本の知識様様だ。実は蜘蛛には登れない壁があるのだ。この世界でそれがされていないのは発想がないからだろう。

 そもそも魔物とは本来狩るべきもの。養殖するという考えはスライム以外に思いつかないはず。

 スライムは、ほら。ぽよぽよ跳ねるだけで危険はないらしいから。


「お父様に相談しましょうか」


 私も精神年齢で言ったらもういい大人。ここらで一つ事業を手掛けるのも悪くないだろう。

 それにもしこれが成功すれば国中に私の名が広まる。ブルームの名も。病とお母様の名で敵視や蔑視している一部貴族に対して魔道具に必要不可欠な蜘蛛の糸は大きな力となるはずだ。

 彼らとて、魔道具を作る平民を馬鹿にしていても魔道具にお世話になっているものは多いのだから。


「現地にはいけるかしら」


 私の考えた計画なのでできれば私も現地に向かいたいが、さすがにこの身体では厳しいだろうか。私にしかできないことだから行きたいのだが。

 でも1か月に1度の魔力放出日なら護衛もいれば問題ないかもしれない。そこもお父様に相談だ。


「事業名は……『ガラスの棺』とか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ