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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

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  1週間後、お医者様は約束通り医学に関する書物を大量に屋敷に持ち込んでくれた。

 同時にお父様も、集めてほしいと伝えていた魔力と医療に関しての書物を私に与えてくれた。


 それらの本は、私の要望で屋敷の一室を研究室のように改造して用意してもらいその部屋に安置されている。

 本というのは大切なものなので、万が一にも紛失しないように一か所にまとめておくべきだという判断だ。特にお医者様から借りた書物については借り物なので、紛失するのも破損させてしまうのも言語道断。


 この部屋に入っていいのは私が家族と認めている人とお医者様だけ。お父様と相談し信用できる人だけにした。

 準備は整った。後は私の頑張りだけだ。


 まず情報を得るべきは魔力についてだ。『渡河病』は病気だが、その本質は魔力が異常発生することにある。

 私の中で医学というのは細菌や人体の仕組みについてという印象が強いのでそちらを優先した。


 なお本を読むという行為が私一人ではできないので、毎度のごとくカリーナにお世話してもらうこととなっている。

 このままだとカリーナは普段のメイド業務にプラスしてずっと私の世話をすることになるので、メイド業務はいったん控えることになった。それだけでは申し訳ないので、お父様に頼んでカリーナの給与には色を付けることを頼んでいる。

 アベナは基本お母様付きなので、信用出来るメイドがカリーナしかいないのだ。本格的にカリーナは私専属のメイドとなった。


 しかしこうやってカリーナに本を読ませてもらうと、私は魔力について何も知らないのだということがわかる。


 例えば魔力というのは無条件に発生するものではない。使えば使うだけ魔核から魔力自体は生成されるが、対価がないわけではないのだ。


 その対価とは何かというと栄養らしい。魔力は魔核から生成される際、食事によって蓄えられた栄養を使って魔力を生成しているのだ。

 よって私の身体は常に栄養失調のようなものである。なぜなら無尽蔵に魔力が生成されるということはすなわち、無尽蔵に栄養も失われていくのだ。


 ヒムン伯爵領で初日に食べた夕食を思い出す。あの時頂いた魚料理はそれはそれはほっぺたが落ちるほどの絶品だったが、もしかしたら私が軽い栄養失調状態だった可能性もある。

 馬車の旅でまともに食事はとれていなかったし、足りない栄養を体が求めていたからあそこまで料理がおいしく感じたのだと考えれば辻褄も合う。

 もちろんヒムン伯爵領でいただいた魚料理が絶品だったという前提はあるが。だがそれ以上に美味しく感じたのも事実だ。


 それと、本の中に興味深い記述があった。曰く魔力は魔法にならない限り、物理的な現象を伴わないというものだ。

 だが私はこれが誤りだと知っている。なぜならエキナセア様の前で身体強化を無理やり使ったとき、体の外に追い出し続けた魔力が物理現象を伴って私を中心にブースターのように放出されていたからだ。

 髪は不自然に激しく揺れていたし、服もバタバタ音を立てて揺れていた。


 なぜ魔力は物理現象をもたらせることができないのかと考えられているのか。

 これは単純に、そこまで過剰に魔力を放出する人も機会もなかったからだろう。私も魔法を使っていたからわかるが、魔法はイメージが鮮明になるほど消費する魔力が減っていく。そして魔法は魔力を用いて発動するものであり、外に出た時点で魔力は魔法になっているのだ。だから魔力は物理現象を伴わない。

 

 身体強化の場合は魔力を体に流して発動しているので物理現象を伴うといえるかもしれないが、この場合物理現象を伴なっているのは魔力ではなく魔力を流した体だ。そして魔力は全身に均等に流さないと身体強化を器用に使いこなせないため、実質的に使う魔力はそこまで多くない。

 だから魔力は物理現象を伴わないと考えられている。


 私が先日したのはただの力技だ。魔力を細胞を通して外に放出し続けるだけ。これを行うメリットなど常人にはまるでない。万に一つもない。

 魔力を使うだけ栄養は持っていかれるし、体から周囲に風を出したいなら風魔法を一つ唱えればいい。

 そもそも魔力だけを体から放出するという発想自体この国の人にはないのではないだろうか。常識として魔力は魔法にするもの、もしくは身体強化に使うものという前提があるのだから。


 私があれをしたのも魔力を無駄にすることだけを考えたものだし、そんなことする必要はないのだ。なぜなら常人はそんなことをするほど魔力が潤沢ではないのだから。

 もっとも私の状況的に、魔力が潤沢であることイコール良いことというわけではないのだが。


 やはり、私は知らないことが多すぎる。今日少し本を読んだだけで知らないことがこれ以外にも大量に見つかったのだ。治療法を見つける以前にまず知識を深めなければ。

 治した後に実は『渡河病』は別の病気と関係があって~とか魔法と関係があって~とか判明したら目も当てられない。治した意味がなくなってしまう。


 知識を得ると同時に視点も増やせ。物事を多角的に見て判断しろ。一つの面から見たところで別の知らない面があったら味方だって変わるのだ。


 今私がすることは知識を得ること。そして視点を増やすことだ。

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