表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/76

51

グロ注意です。

グロいのが苦手な方は『最低でも友達くらいには。』の部分から先は控えたほうがいいと思います。

アウリクラが怖いので。

「お待たせしました」


 司教に案内された部屋で待つこと30分ほど。コンコン、というノックの音と共に、神官であろう女性に連れられた少女がやってきた。


 ストロベリーブロンド色の髪に琥珀色の目、そしてこの世界の人類の例にもれず高い顔面偏差値。少々低い身長はこれまで孤児として生きていたからだろう。

 先ほどまで重症患者を治療していた聖女、まさにその人だ。


「失礼します」


 部屋に入る際のお辞儀にすら見入ってしまう。それが先ほど奇跡の一端を見たからかこの世界においても珍しい髪色をしていて驚いているかはわからないが、とりあえず聖女は声すらもきれいだ。

 玉を転がすような声とでもいうのだろうか。聖女が声を発するだけで、超常的な何かを感じてしまうほどに聖女はすべてが美しかった。


「お初にお目にかかります聖女殿。この度は私の願いを聞き入れていただきありがとうございます」

「ペイン・フルム・ブルーム侯爵閣下とお見受けします。私は聖女のエキナセアです。人を癒すのは聖女の役目、それが病に関することならなおのこと。そちらの方が?」

「娘のアウリクラです。アウリクラ、礼を」

「・・・」

「アウリクラ?」

「あ、はい、ごめんなさい」


 彼女の一挙手一投足に目が奪われてしまう。彼女はその所作もすべてが美しいがそれ以上に何か私には理解不能な何かが私を聖女に惹きつけて離さない。

 それこそ声を出すことすら忘れてしまうほどに。


「失礼いたしました。アウリクラ・アリア・ブルームと申します。このような体勢で礼を失すること、お許しください」

「あなたが謝る必要はありません。先ほども申しましたが、私は聖女のエキナセアと申します」


 たがいに頭を下げあう中私は必死に考える。お父様は言っていた。友達になってもいいし、距離をおいてもいいと。お父様は距離を置いてもいいと言っていたが、今後のブルース侯爵家のことを考えたらできる限り仲良くなっておくべきだ。

 最低でも友達くらいには。


 だがちょっと、私には無理だ。自分でも理解不能な衝動が彼女を欲しいと叫んで五月蠅い。

 目に入れたら離せない。

 声を聞けば彼女の声以外雑音にしか聞こえない。

 届く匂いは私を天国へと誘う。


 ああ、ああ。彼女を私のものにしたい。彼女の何かが私の魂をつかんで離さない。

 心が、体が、彼女を今すぐ私のものにしろと囁く。

 そうすれば彼女の生殺与奪すら私のもの。後は目で見て、声を聴いて、匂いを嗅いで、肌で触れて、そして最後に彼女のすべてを味わえば、私はやっと私になる。


 そうだ、そうだった。私は私であるために、彼女をよく知らなければならない。

 まず彼女のすべてを目に入れよう。細くしなやかな指を、握ったら折れてしまいそうな細さの腕を、健康的な色に日焼けした足を、金に赤が入った珍しい色の髪を、見ているだけで柔らかいとわかる耳を、照れて隠れている歯を、見る機会などほとんどないだろう口蓋垂を、丸く整えられた爪を、透明感のある眼球を、ほんのり浮き出ている血管を、生命の神秘である子宮を、彼女を生かしている肺を、心臓を。

 次はたくさん聴くのだ。泣き声はどんな感じかな。子供のように大声で泣くかな、それとも静かに涙だけを流すかな。笑い声はどうだろう。彼女と話したイメージ的にくすくすと笑いそうだけど。歌声はきっと綺麗だろうな。こんなに綺麗な声なんだから、聴くだけで泣いてしまうほど美しいことだろう。怒るときはどんな声かな。静かに威厳を感じさせる声で怒るのかな。驚いた時はどんな叫び声をあげるんだろう。女の子らしい声?それとも声が出ないタイプ?

 そうしたら次に匂いをたくさん嗅ごう。運動後の汗のにおいはとってもフルーティーなはず。髪の匂いはきっとお花のにおいがするし、口の匂いは香水を思わせるような匂いがするはずだ。

 そうしてやっと彼女に触れる。髪はどんな感触だろう。さらさらしているのだろうか、しっとりしているのだろうか。眼球はどうだろう。やっぱり硬いのかな?肌はふにふにしていそうだ。触れたらきっと気持ちいい。血はどうだろう。魔物の血はドロドロしていたけど、やっぱり彼女もドロドロしているのかな?いやそんなわけないか。だって彼女はこんなにも美しい。きっと血までさらさらして美しいことだろう。内臓はどうだ?きっとブニブニしているな。内臓はそうでなくては。

 そして最後に彼女をいただくのだ。彼女は美しいから、きっと味も素晴らしいだろう。家畜なんかと同じように考えるのは申し訳ないが、きっと舌は牛なんかと一緒でコリコリとした肉厚で噛み応えがあって美味しいはずだ。眼球はわからないが、マグロの目玉なんかは濃厚で美味しいらしいしきっと彼女の眼球も煮物にしたら美味しいことだろう。爪はどう食べようか。目玉と一緒に煮てもいいけど、彼女のすべてを知るのだから別の食べ方をするべきだ。出汁を取るのはどうだろう?そうしてとった出汁と血管でラーメンを作る。出汁を取った後の爪なら柔らかくなっていて食べられるはずだ、そのままラーメンのトッピングにしてしまえばいい。それに、肉、肉だ。きっと噛むたびに肉汁が飛び散る極上のお肉だろう。炭火で焼くのが一番おいしいだろうな。味付けはシンプルに塩コショウ。しょうゆやコンソメがないのが悔やまれるな。でも彼女のお肉なら、シンプルな塩コショウでも美味し「アウリクラ様?」。

少しでも面白いと持っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から作品の応援とブックマークの方をお願いします。

正直に感じた評価で構いません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ