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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

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43 ペイン視点

「アウリクラが倒れた?君の様子を見るにただの気絶ではないだろうが、何があった」

「それが、原因がわからないのですっ。今は前当主がつきそって医者殿がいろいろ調べておりますが・・・」


 いつものように執務室での業務中、慌てた様子でメイドのカリーナが執務室に泣きそうになりながら入ってきた。

 ノックもなく事前の声掛けもない。おまけにかなり乱暴に扉を開けるからいくらアウリクラのお気に入りといえども処分を考えなければと思い顔を見たら、そんな気がうせてしまうほどに彼女の顔色は真っ青だった。


 いったい何があった方と聞いてみれば、アウリクラが倒れたと。実はアウリクラが倒れるのはこれが初めてではない。父さんとの戦闘訓練はかなり過激なので、これまでも限界を超えて動き続け気絶したことはあった。だが彼女の様子からはそれ以上の何かがあったのだとわかる。


「ハイン。悪いが俺とエリシアは抜ける」

「もちろんです。アウリクラお嬢様のご無事を祈っております」

「ああ。エリシア、行こう」

「え、えぇ」


 アウリクラに何があったのかと、エリシアの顔はカリーナに負けず劣らず青い。とはいえ俺も似たような顔色をしているだろう。

 可愛い娘に何かがあったのだ。これが何でもないただの疲労ならいいのだ。最悪笑い話にでもなる。だがそうではないという予感があった。


 貴族にあるまじき行為だが、身体強化を使って屋敷の中を移動する。こんなことは子供のころ身体強化を覚えたとき以来で父さんに叱られてからは二度としていなかったが、今はそんな場合ではない。


「父さん!何があったのですか!?」

「ペイン。静かにしなさい、アウリクラが寝ている」

 

 アウリクラの下へ駆けつけてみれば、お抱えの医者が3人と父さん、それにメイドがアウリクラをかこっていた。

 いろいろと魔道具を持ち出して検査する医者をメイドたちが手伝っている。


 どう見てもただ事ではなかった。見たこともない大きな魔道具まで持ち出して検査をしているのだ。医者たちの額には汗が浮かんでいる。


「すみません。ですが、いったい何があったのですか?」

「アウリクラ・・・」

「わからん。訓練が終わると同時に、アウリクラが叫びだしたんじゃ。『足が』と言っておったからそこに何かがあるのは間違いないんじゃろうが。」

「足ですか?」

「ああ。朝から足の調子が悪かったそうで、訓練中も動きに精彩を欠いておった。二人は何も聞いとらんか?」

「いえ、俺もエリシアも何も」

「そうか・・・」


 知らなかった。朝からアウリクラは足の調子がおかしかったのか。

 いや、思い返してみれば、歩く際に少し足をかばいながら歩いていたような気がする。朝だからまだ眠いのだろうかと考え指摘するのはやめていたが、もしあの時ちゃんと指摘していたら今アウリクラはこうはなっていなかったかもしれない。


「とりあえず、ここに家族全員いれば医者のじゃまになろう。後からロゼも来る。恐らく手につかんだろうが、今のうちに今日の仕事は終わらせておけ」

「・・・わかりました。エリシア、君はどうする?」

「今のままでは仕事手伝うことも難しいと思います・・・邪魔にならないよう、部屋の端で待機しておきます」

「わかった。アウリクラが目覚めたら呼んでくれ」


 悔しいが、俺がここにいても何の力になることもできないのは事実だ。それならなるべく今日の仕事を早く終わらせ、夜に時間を空けておいた方がいい。


 そう考え仕事を再開しに向かうが、まったくと言っていいほど進まない。話をしていても頭に思い浮かんでくるのはアウリクラの顔ばかりだ。


「・・・さま。旦那様!」

「む・・・悪いハイン。もう一度言ってくれ」


 少しでも時間ができれば、現実味がなく意識をどこかに飛ばしてしまう。3時間たってもアウリクラが目覚めたという報告は来ない。


「カルバン様からお荷物が届いております。厳重に保管されておりますので貴重品かもしれません。なるべく早く開封したほうがよろしいかと。こちらは一緒に送られてきたお手紙です」

「ああ」


 カルバン。学園時代の友人で、男爵家の三男だ。当時の学園では珍しい魔道具を研究していた男で、魔道具に関しては少々見境がない。おかげで何度迷惑をかけられたことか。


 そんな男からの贈り物。正直嫌な予感しかしないが、今のままでは仕事もままならない。気分転換にはちょうどいいだろう。


 荷物を改めてみると、送られてきたのは1mほどある水晶玉だった。これを何に使うのか。一緒に来た手紙を読まなければわからないだろう。


「ふむ・・・」


 あいつの話は回りくどい。なので手紙も相応に分厚いが、必要な箇所だけ読むこととする。

 この水晶玉はある鉱石を使用して作られた玉で、できることとしては・・・。


「・・・なんというものを送ってくれたんだ。国が動くぞこれは・・・」


 その日の夜、医者の一人が俺の下へやってきた。

「お嬢様が倒れた理由がわかりました。お嬢様は魔核から魔力が異常発生しておりまして、あまりの量に肉体にまで影響を及ぼしています。このままですと、1か月持つかどうか・・・」

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