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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
闘病記

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「聖女ですか?」

「ああ。ヒムン伯爵領で見つかったらしく、教会で保護されたそうだ。なんでも孤児だったらしくてな。ヒムン伯爵はうちと同じ人権主義だ。だからこそ見つけることができたんだろうが、もしヒムン伯爵が実力至上主義で平民に適性検査をしないような人だったらと思うと背筋が凍るよ」


 パーティーが終わって2週間、朝食の終わりに呼び出されたので何かあるのかと思えば、なんと聖女が見つかったという報告が昨日あったそうだ。

 お父様の様子的にとても喜ばしいことなのはなんとなく予想がつくが一つ待ってほしい。聖女って何?


「あのお父様、聖女とは?」

「ん?アウリクラも知っているだろう。『勇者と聖女』に出てくる聖女だ」

「それは知っていますが・・・」

「その聖女だ。傷と病気を治す魔法が使える、300年に一人しか現れない聖女」


 傷を治す魔法とは何だ?私は魔法には4属性しかないと教わったから、その本に出てくる聖女もなにか別のものを聖女と表現しているのかと思っていたのだけど、もしかしてそれは違う?


「聖女って実在するのですね・・・あの本にしか出てこないので、おとぎ話の類かと思っていました」

「基本外に出してやれなかったから、一部常識が欠けているな・・・すまない、父の責任だ」

「いえ、私も調べようと思えば調べられたことですし・・・それで、その聖女とはどのような存在なのですか?」


 私が常識を身につけられていないことをお父様は悲し気に自責するけど、常識がないのはほとんど私のせいだからあまり気にしないでほしい。前世以上に体が動くことが楽しく、暇になれば町にも出ず体ばかり動かしている私が悪いのだ。


「聖女は傷と病を治す魔法が使える。歴代の聖女に治せなかった傷も病もなかったそうだから、聖女が発見されたらその先50年近くは国は安泰といえるだろう」

「病はともかく、怪我に関してはポーションで代用できるのでは?」


 ポーションとは、簡単に言えば飲めば自然回復能力が上がる薬品だ。とある魔物から抽出した成分を液体と混ぜるとできる薬品で、上級と下級の2種類がある。


 主な用途は下級が軽傷に使えて、上級が重症に使える。下級でも青あざ程度なら5時間程度で治るし、上級なら骨折でも1日経てば問題なく動けるようになる。前世では考えられない魔法より魔法しているのではないかと疑うような品物だ。


「治る速さがまるで違うらしい。聖女の魔法なら骨折だろうと一瞬だし、致命傷でも5分も経てば個体満足で動けるようになるそうだ。ただ、今のこの国の情勢で発見されたのは不運と言えるかもしれん」


 致命傷でも5分で治るとは、それが本当なら確かにポーションとは格が違う。300年に一人という希少性は伊達ではないという事か。

 しかし、今の国の情勢だと不運とはいったいどういう事か。


「不運というのは?」

「この国は30年近く前にふざけた理由で戦争を起こしただろう?おかげで他国からは恨まれているし、国内も人権主義と実力至上主義で空気が悪い。その状態でたった一人いれば国を動かせるような魔法を使える人間が現れたのだ。彼女一人を巡って争いが起きかねん。アウリクラ、一人いれば万人の怪我が治せる、そんな人物が輝く場面は何だと思う?」

「・・・魔物との戦闘でしょうか?」


 魔物との戦闘は命懸けだ。放置すれば人里にも襲い掛かってくるから間引かないわけにはいかないが、戦えば命を落とす危険性がある。それはポーションがあろうがどうにかなる問題ではない。

 その状態で怪我を直せる聖女がいれば、魔物を間引ける速度が飛躍的に上昇する。


「それも正しいが、もっと輝く場面があるんだ。戦争だよ。彼女一人いれば、不死の軍団が出来上がる」

「な・・・」


 つまり、聖女を戦地につれていき怪我をするたびに直してまた送り込めば、事実上その軍団は負けることが無いということだ。


「今後、彼女を巡って表でも裏でも様々な争いが起きることになるだろうな・・・。それに、魔法が使えるということは12歳になれば王都の学園に入学することになるだろう。アウリクラ、まだ早いとは思うが、今のうちに聖女とどのような関係を持つか考えておきなさい。友人になってもいいし、距離をおいてもいい。それは次期当主のアウリクラが判断するべきだ」

「よろしいのですか?当主のお父様が判断しなくても」

「ああ。私も考えはするが、次期当主はアウリクラだ。アウリクラの判断をもとに考えることもあるだろう。・・・まぁそんな深く考えなくてもいい。まだ5年もあるからな。聖女がきちんと魔法を身に着けるまで、教会も表にはあまり出さないだろうしな」

「わかりました。考えておきます」


 聖女、たった一人で国を動かせるような存在。そんな存在と私はどうかかわるべきだろうか。


 ・・・まぁ、今の状態ならそこまで具体的なことは考えなくてもいいだろう。会う機会など学園まで訪れないだろうし。

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