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「誕生日おめでとうアウリクラ!なんじゃさっきのは驚いたぞ!?まさか魔法でドラゴンを演出するとは!しかも儂が昔戦ったドラゴンよりよっぽど大きいではないか!」
「あなた、声が大きいわ。それにしても本当にすごい魔法だったわ、誕生日おめでとうアウリクラ。沢山練習したのね」
「ありがとうございます、おじい様、おばあ様」
パーティーが始まって最初に私の下へやってきたのはおじい様とおばあ様だ。二人ともとても褒めてくれるが、特におじい様の興奮が凄まじい。
二人とも私が転生したことを知っている大切な家族だ。故に褒めてくれるのもうれしいが、今おじい様は一つ気になることを言わなかったか?昔戦ったドラゴンと。
もしかして、我が侯爵家の騎士がおじい様をひどく尊敬していることと関係があるかもしれない。ドラゴンと戦ったというだけで生涯語れる武勇伝になる。歴史を学んでいる中でも、かつてはドラゴンと三日三晩戦い功績を認められ領地を賜り貴族になった人もいるらしいし。
思わぬところでおじい様が強い理由の手がかりを得た。このパーティーが終わったら聞いてみようか。ドラゴンの話は詳しく聞いてみたいのだ。私が見かける機会などないだろうし。
先ほどドラゴンを作ってみて思ったのだ。ドラゴンを魔法で放つことができたら強そうだし格好いいと。人に放てるようなものではなくなるだろうが、魔物専用と考えれば味方を鼓舞するという意味でも言いとおもう。
戦闘において士気は大事らしいから、初手でドラゴンが飛んで行ったら士気は上がるはずだ。
「歴史を学ぶ中で、ドラゴンと戦い領地を賜った方のことを学びまして。その方は女性だったということで、私もそのように強くなれればよいなと思い選びました」
「ああ、初代ドラゴンスレイヤーのことだな。それなら本にもなっているはずだ。もし読んでいなければ儂が持っているから貸すぞ」
「本当ですか?是非お願いしたいです!」
「では次の訓練の時にもってこよう」
そう、その初代さんは女性なのだ。貴族に産まれたが領地が奪われ家の再興を誓って冒険者として生計を立てていたところ、領地を奪った貴族の町の方向にドラゴンが向かっていくのを目撃する。
彼女は助けに向かうか迷ったがその土地の民に罪はないと考え、ドラゴンと戦ったのだ。初めて聞いた時はドラマ性がすごいと思っていたが、本にもなっていたらしい。
「そういえば、彼女の子孫で一番年が近いのはアウリクラの一つ上になるのではなかったかしら?学園で話す機会があるかもしれないわね」
「本当ですか?とても楽しみです」
ドラゴンスレイヤーの血を継いでいる方がいるならぜひ話してみたい。歴史に残っていない戦いの様子なんかが受け継がれているかもしれないし。
また学園に行く楽しみが一つ増えた。
「・・・アウリクラ様。お久しぶりです」
「ローズ様!直に合うのはお久しぶりですね。馬車の旅は大変ではなかったですか?」
「アウリクラ様が広めてくださった馬車のおかげで、なんとか体調も崩さずにここに来られることができました。お誕生日、おめでとうございます」
「ありがとうございますローズ様。無事に来られて何よりです」
次に私の下に来てくれたのはグラン伯爵の娘であるローズちゃん。こうして顔を合わせるのは去年のローズちゃんの誕生日以来だ。
初めてあったころは人見知りでフラン様の陰に隠れていた彼女だが、4年間手紙を通じて理解を深め時々顔を合わせたおかげか、今では普通に話せるようになった。
7歳のローズちゃんは遠くにいても目について離せないほど絶世の美少女になっている。先日貰った手紙では、領地に遊びに来たとある貴族の令息に一目ぼれされ求婚されているらしい。
そんなローズちゃんは私と同じで馬車が苦手らしい。ローズちゃんからもらう手紙には毎回のように馬車がつらいと書かれていた。
なのでローズちゃんのため、私の刀を作ってくれたとある鍛冶師と協力してサスペンション付きの馬車を開発しプレゼントしたのだ。
今ローズちゃんが言ってくれた通りならどうやら問題はないらしい。私が乗ってみた感想としてはまだひどいと思うのだが、これは道の方をどうにかしない限りどうしようもないので仕方がないものだと理解している。
ただこの世界においては私の感覚で足りなくても、この世界の人々からしたら十分みたいでかなりの量のサスペンション付き馬車が売れている。
今日のパーティーにはそのサスペンションを一緒に作った鍛冶師も来ているはずだ。彼は平民なので普通だとパーティーには呼べないが、侯爵家お抱えの鍛冶師という理由とこのパーティーに招待した人がほとんど人権主義ということで何とか呼ぶことに成功した。
あとで私の下へもあいさつに来ることだろう。実際に使用した人の感想があればモチベーションも上がるだろうし、できれば鍛冶師とローズちゃんを合わせたいところだ。
両者とも私が深く信頼している人だしね。特に鍛冶師の人は、私と同じ秘密を共有しているから。
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