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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
0歳~

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 長く苦しい戦いは終わった。私たちはアンコート伯爵領に無事到着した。


 道中何もなくてよかったね。魔物自体は現れたけど、それらは護衛の騎士だけで何とかなったので時々お父様に報告に来ていた。


 もっとも、何かあったとして私は何もできなかったと思うけどね。なんせ馬車酔いがひどいから。やっと慣れたといえるようになったのはアンコート伯爵領につく一週間くらい前だった。


 そうそう、道中で魔物のお肉を食べることができた。シュターク・ウォルフという狼の魔物のお肉だ。ゴールデンレトリバーの4倍くらいの大きさをした狼で、身体強化を使って群れで襲ってくる。


 しっかり連携もしてくるので並みの騎士だと負けちゃうけど、うちの騎士は優秀なので誰一人怪我することなく完封していた。


 なおお肉は話に聞いていた通りとてもおいしかった。塩を振って焼いただけなのに柔らかくてうまみがあふれて思わず動けなくなるまで爆食いしてしまった。


 その際、近くにいた騎士に「いただきますとはなんですか?」と聞かれたときはやらかしたとおもったね。馬車になれてきたころというのとこれからおいしいものが食べられるという期待が合わさって、つい出てきてしまったみたいだ。

 お父様もあちゃあという顔をしていた。前世のことを伝えてからは家族でご飯を食べるときもいただきますを言っていたので、前世由来の言葉だと知っているのだ。


 ただ冷静に考えれば説明しても何の問題もなかったので、「私の血肉となる命に感謝を伝えている」と言った。いただきますを知られて反応するのは転生者だけだ。転生者がいないならいくら言ったところで問題にならない。


 騎士さんは私の命に感謝を伝えるという行為に衝撃を受けたようで、次の日から仲間にもいただきますを進めるようになった。

 結果、3日ほどで騎士全員がいただきますを言うようになってしまった。特に問題があるわけではないけど、手を合わせるときの彼らの表情が神妙すぎて変な宗教みたいだからやめてほしい。


 そんなことがあり、私たちはアンコート伯爵領に到着した。お母様と共にお父様のエスコートで馬車を下りる。

 歩くときはしゃなりしゃなりという感じでなければならない。初めて家以外で礼儀作法を実践することになるので、普段以上に歩き方には気を使っている。


 そのまま歩いて屋敷へ向かうと、アンコート伯爵家の方々は扉の前で待ってくれていた。

 その場にいるのはグラン伯爵様と白髪赤目の女性と、その後ろから顔だけ出してこちらを見ている灰色の髪をした赤目の女の子。恐らく白髪赤目の女性が伯爵夫人のフラン様だろう。


「よく来てくれたねペイン」

「約束だからな。フラン様も、こうしてまともに話すのは3年ぶりか」

「お互い子供が生まれたから仕方ないわ。エリシアも久しぶりね」

「はい。フラン様に会えるのを心待ちにしておりました」

「ふふ、うれしいことを言ってくれるのね。今夜は一緒に旦那の愚痴で盛り上がりましょうか」

「おい」


 お父様たちが話している間、私は後ろでカーテシーをしてまつ。侯爵家令嬢と伯爵家当主だと伯爵家当主のほうが立場が上なので気軽にグランお兄様とか声はかけられないのだ。

 確かそうだった気がする。あってるよね??あとでお母様に聞こう。


「アウリクラちゃんも久しぶり。元気だった?馬車の旅はつらくなかったかい?」

「おひしゃしぶりでしゅ、あんこーとはくしゃくしゃま。ばしゃのたびはなにぶんはじめてなもにょで、ふたんもおおくありましたが、おとうしゃまとおかあしゃまのおかげでたのしむことができました」

「・・・」


 こわい。挨拶を返しただけでアンコート伯爵家の人たちが無言で私のことを凝視し始めた。その中には先ほどローズと呼ばれていた女の子もいる。理解不能な何かを見てしまった目をしていて勘弁してほしい。


「なにかしょしょうをいたしましたか?」

「しょしょう・・・あ、粗相か。いや違う違う。逆だよ、完成度が高いから驚いたんだ。前みたいにグランお兄様とは呼んでくれないのかい?」

「しょれは・・・」


 え、この場合はどうすればいいんだ?呼び方をお願いされるケースなんか学んでない。いや、シンプルに上位者からのお願いと考えれば従うべきか?でも身分的にはまだ子供とはいえ侯爵家の私の意見が優先される?

 わからんわからん。助けてお父様。


「アウリクラ。公的な場でなければ前と同じで大丈夫だ」

「わかりましゅた。あらためて、おひさしぶりでしゅ、ぐらんおにいさま」

「うん、久しぶり。紹介するね。僕の奥さんのフランだよ」

「初めまして、アウリクラちゃん」

「はじめまして、ふらんしゃま」


 フラン様は白髪赤目の美人さんだ。印象的なのは背がとても小さいこと。中学2年生くらいの身長しかないと思う。そしてとても美人さん。この世界、顔面偏差値が高いのか私があった人はみんな顔がいい。


「それと、私たちの子のローズよ。ローズ、挨拶をして」

「・・・こんにちわ」


 ローズちゃんは気弱な子らしい。フラン様の後ろから出てこない。さてどうやって仲良くなろうか。


「とりあえず屋敷に入ろうか」

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