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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
0歳~

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「されアウリクラ。始めようか。身体強化はできるな」

「できましゅ、おじいさま」


 午前中は武器の扱い方から学ぶ。そのため扱う武器を選ばなければならない。

 一般的な騎士や貴族がこのんで使うのは剣や槍らしいのだが、私はそのどちらでもないものを選んだ。


 日本刀である。


 先日戦闘訓練に入る事、その際扱う武器を考えておいてほしいとおじい様に聞かれた際、私は非常に悩んだ。

 当然だ。だって私は武器の扱い方など知らないし、そもそも武器だって本当は使いたくない。

 

 しかし使うことが絶対なら、せめて自分でモチベーションを維持できるものにしようと考えた。そうして思いついたのが日本刀だったのだ。


 これを選んだ決め手は二つ、一つ目は魔力を取り出す際にイメージとして出てきたので、私の中で抵抗感の薄い身近な武器になっていたこと。

 二つ目は日本固有の武器であることだ。


 日本刀を見れば私は日本のことを思い出せる。日本にしかない武器なのだから当然だ。

 これから貴族として生きていく中で変わってしまうであろう死生観や薄れていく思い出、それらを私は日本刀に託すことにした。


 だが先ほども言った通り日本刀は日本固有の武器。もちろんこの世界にある訳もない。

 お父様に作ってほしいと言っても「どこでそんな知識を得た」と聞かれたら私は答えられない。ここに日本刀計画は頓挫した、かのように思えたがそこでお母様が助けてくれた。


「何か言いたいことがあるのではない?大丈夫よ。私たちはアウリクラの味方だからね」

「おかあさま・・・」


 私は泣いた。それはもう大泣きし、屋敷中に鳴き声を響かせた。

 慣れない身体強化の訓練、外出したいからと詰め込んでもらった講義、武器を持つことに対する私自身もわかっていなかったストレス。一つは自分のせいだが、私は結構限界だったらしい。


 聞けば、もともとカリーナとアベナがお父様に話をしていたらしい。「お嬢様が夜中うなされている」「何か悩んでいるかもしれないから聞いてみてはどうか」と。


 それを聞いて私はまたもや泣いた。

 メイドが屋敷の主人に意見するなど下手をすれば斬首だ。お父様はそんな人ではないとわかってわいただろうけど、それでも貴族家の当主。実際に話をした時の心情は恐ろしいものだっただろう。


 自分で言うのもなんだが、私は傍から見れば気味の悪い子供だ。子供とは言えないほど頭がよく、子供とは思えない行動をする。

 それでも変わらず過ごしていたのは、私を大切にしてくれる家族が私のことを肯定してくれたからだ。私はこのままでいいと行動で伝えてくれたから。

 そしてその日、私の中で二人も家族になった。


 結果、私は隠しておこうと思っていた転生のことを暴露してしまった。

 話したのは私の中で家族であるお父様、お母様、おじい様、おばあ様、それにカリーナとアベナ。


 こことは違う世界で生まれたこと、日本という国で住んでいて18歳まで生きていたが病気で死んだこと、そのほか日本という国がどんな場所だったか、歩んだ歴史、科学という魔法とは違う発展した技術、他にもいろいろ覚えている限りのことを話した。


 話した当初は荒唐無稽すぎて信じてもらえそうになかったが、私の様子があまりにも鬼気迫っていたことでまじめに考えてくれたらしい。

 家族は私の説明に納得してくれた。


 とはいえ私の屋敷での扱いは今までと変わらない。世界が違えば常識も違うのだ。講義を受け戦闘訓練をする、その部分は変わらない。

 違うのは私が知識を色々話せるようになったこと。日本刀もその一つ。


 日本刀の作り方自体は実は知っていた。学校の職場体験で博物館に行って実物を見ていたし、グループワークの一環で作り方を調べたりもした。

 あとはそれを伝えて侯爵家お抱えの鍛冶師に試行錯誤してもらうだけである。私の曖昧な知識で頑張ることになるのは気の毒だが頑張ってほしい。

 私は日本刀に妥協したくないので。


 ただ日本刀はまだできなくていいのだ。これからしばらくは訓練で木刀しか握らない。2年以内にはほしいところであるが。


 ちなみに日本刀のことをおじい様に伝えると興味深そうによく聞いてくれた。おじい様曰く切り方が違うらしい。日本刀の特徴から考えるなら打ち合いをせず一刀の元引き切るように使うのが一番で、剣の場合は打ち合いができて引き切るのではなく叩き切るのだそう。


 そういう部分は知らなかったので勉強になった。これから使うことになる武器なのだから、理解はいくら深めても問題ない。


 お父様が作ってくれた木刀を手に握る。特殊な魔物の素材を使っているそうで、私が全開の身体強化で握ってもミシミシ音がなるだけで済む。


 これから私は、この木刀をもって殺す気でおじい様に戦いを挑むのだ。

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