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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
0歳~

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「身体強化を行う上で大切なのは、魔力を均等に巡らせることです。これが上手くいかないと、身体の一部だけが強化され全身で均衡がとれず動けなくなったり、激しい痛みに襲われる可能性があります」

「はい」

「いい返事です。それではやってみましょうか。先日行った魔核を取り出す方法は覚えていますか?」

「おぼえてましゅ」


 私にとって魔力を取り出すのは、居合のように刀を取り出すのと一緒だ。適性検査をしてから魔力を取り出したことはないが、変わらずできるだろうという確信がある。


「こういうのは経験が大切です。一度やってみましょうか。魔核から魔力を取り出し、全身に均等にいきわたらせてください。成功したらこのように体が淡い光を纏います」


 そう先生が言うと、先生の身体が赤色の淡い光に覆われる。

 

「これが身体強化ができている目安の一つです。光を纏っている間は身体強化中という証明になります。それではやってみてください」

「はい」


 1週間ぶりの魔力取り出しだがやってみる。刀を抜くように、刹那の時間で魔力を取り出す。

 先日は感じられなかった体を温かい何かが流れているのがわかる。これが魔力か。


 あとはこれを全身にいきわたらせる。ところで、全身とはどのようにいきわたらせればよいのだろうか。

 取り出すのが一瞬過ぎて魔力のいく先を指定できない。


 このやり方ではダメだ。もっとゆっくり、刀を抜くのは一瞬でもそれは私のイメージだけ。私のイメージのように魔力を取り出せるなら、魔力を動かすのもイメージさえできればできるようになるはずだ。


 まずは魔力を取り出す時から変える。刹那で抜き取るのは変えず、変えるのは私のイメージだけ。

 思いつくのはイメージをコマ送りにすること。

 私も華のJKだったので、動画投稿サイトに短い動画を友人と撮って投稿することがあった。


 その時、顔を隠したり身バレにつながる何かがないかと注視する中で、撮った動画をコマ送りにして確認することがあった。

 イメージするのはそれだ。抜き取るのは一瞬で、だけど魔力の移動はコマ送りのようにゆっくり。


 指の先から頭のてっぺんまで魔力を移動させる。温かい魔力が動くのがわかる。動く魔力は一本の線だった。血管を血が巡るように、魔力は全身を一本の線となってめぐっている。


 魔力とは血管を通るように巡るものだと理解したことで、私のイメージも固まった。つまり魔力とは血だ。

 身体中を巡り、臓器、爪、眼球それらすべての身体中の細胞にいきわたるもの。


「あ」


 できた。と思ったら一瞬で光が消えてしまった。全属性であることを象徴するかのような四色の混ざった虹色の光だった。もしかしたら身体強化で待とう光は、使用者の適性に左右されるのかもしれない。

 だとしたら先生の持つ適性は火属性だろうか。纏う光の色は赤だ。


 しかしなんでだろうか、今のイメージのまま身体強化を行ってもしっかりした身体強化とは言えない気がした。現に私よりも前に発動した先生の淡い光は消えていない。


「きえちゃいましゅた」

「最初はそれでいいのですよ。一度成功したのでやり方はわかりましたね?」

「はい」

「ならあとはそれを持続させるだけです。大丈夫です。何度か身体強化を成功させればやり方はわかりますよ。もう一度やってみてください」


 その後も30分くらいかけて私は身体強化を使い続けた。が、魔力を巡らせる速度が多少早くなったくらいで持続が全くしない。いつも淡い光が見えて一瞬で消えてしまう。


 先生は何度もやっていればできるようになるといってくれるが、本当にそうだろうか。このまま続けていても上手くいく未来が見えない。

 ここはもう一度考え直してみることにする。


 今までは魔力を全身にいきわたらせていた。血と同じように。しかしいきわたらせるだけでは駄目なのだ。


 何故か?それは浸透していないからではないか。

 血というものは液体だ。液体は物に浸透し残る。水が土に染み大地を潤すように。そしてそれは血も同じはず。しかし同じイメージでいきわたらせた魔力は違った。私が魔力を血と同じようにいきわたるものだとイメージしていても、浸透するものだと考えていないからだ。


 だからこれからは、いきわたるだけでなく浸透するものだと考える。身体の隅々まで、細胞の一つ一つまで。

 刹那で且つコマ送りの中魔力を魔核から取り出し、細胞膜を超えミトコンドリアに触れ、最終的に核にたどり着く。身体中の何億という細胞に魔力を沁み込ませる。

 

 慣れてない今は難しいので、目をつぶって初めて魔力を取り出したときと同じように過集中のような状態を意図的に作り上げる。

 身体中に魔力をいきわたらせるには一度取り出しただけじゃ足りないので、魔核からもう一度魔力を取り出す。そしてまた細胞に魔力を沁み込ませる。

 2度3度とそれを続けて、ようやく私は全身に魔力を浸透させることができた。


「これで・・・」


 目を開けて手のひらを見ると淡く虹色に光り輝いているのが見えた。これまでと違うのは、何度瞬きをしても淡い光は消えないこと。

 試しに手を握ってみても消えることはない。


 成功だ。

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