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病気なんかに負けません!  作者: あるにゃとら
0歳~

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「お初にお目にかかります。本日からお嬢様に魔法を教えることになります、レルソン・シュラインと申します。お見知りおきを」

「アウリクラでしゅ。レルソンさん、よろしくおねがいしましゅ」


 誕生日の次の日、お昼ごろになるとお父さんが連れてきたのは一人の女性だった。

 どうやら彼女が私に魔法を教えてくれるらしい。嫌われたくないのでしっかり頭を下げて誠意を見せておく。

 彼女の機嫌がよくなれば、魔法についてさらに詳しく教えてくれるかもしれない。


 眼鏡に切れ目が合わさって、仕事のできる美人秘書な感じがプンプンする。身長も鍛えているお父様より少し低いくらいだし、かなり高いのではないだろうか。170㎝近いかも。


「アウリクラ、今日から週に3日は彼女が屋敷に来て魔法を教えてくれる。魔法というものは非常に危険だから、ちゃんと先生の話を聞いて安全な行動を心掛けるんだ。いいな?」

「はーい!気を付ける!」

「よし、いい子だ。レルソン殿、くれぐれもアウリクラに怪我などはさせない様に。できるな?」

「・・・あっ、はい。了解しました、侯爵様」


 私とお父さんの話を聞いていたレルソンさんだが、何かに気を取られていてお父さんの返事に送れていた。

 何か気になる事でもあったのだろうか。お父様も同じことを思ったらしい。


「何か気になる事でもあったか?」

「あ、申し訳ありません。お嬢様が賢いとはこの仕事を受けたときから聞いていましたが、想像を逸しておりまして、つい返事が遅れてしまいました」

「・・・あぁそうだった。最近家以外のものと話す機会が少なくて感覚がマヒしていたな・・・」

「なんのはなしー?」


 何故か急に二人が以心伝心を始めたのだが、原因が何もわからない。話の流れ的に私のことだとは思うんだけど、私は特別なことは何もしていないはず。


 うん、思い返してみてもさっぱりわからない。そもそも私がしていたことなんて挨拶と返事位だし、変なことなどしようがないのだ。


「いいかアウリクラ。アウリクラは今何歳だ?」

「3歳!」

「そうだ、3歳だ。アウリクラ、3歳の子供はな、あいさつする時に頭を下げてお辞儀はしないし、俺がさっき言った心掛けるなんて言葉の意味も分からないんだ」

「・・・あっ!」


 言われてみれば確かにそうだった。

 私の前世の弟が3歳のころなんてお辞儀どころか挨拶もできない生意気っぷりだったし、語彙力も『うんこ』と『ちんこ』しかなかった。心掛けるなんて、私が死んじゃったときですら意味を理解できていないのではないだろうか。

 子供というのはそういうものであった。記憶の中に先生はいたのだ。弟だが。


「レルソン殿。今起こったことをみて分かってもらえたと思うが、アウリクラは非常に賢い。多少の難しいことでもちゃんと理解できる。なにかわからないと聞かれたときはなぁなぁで済まさず、きちんと説明してやってくれ」

「もちろんです、侯爵様。それが教師としての役目です」

「感謝する。アウリクラ。レルソン殿は学園自体から俺の友人であるグランの紹介でここに来た。あいつはお調子者だが人を見る目は確かだ。良く学びなさい」

「はい!」


 私は衝撃を受けていた。なぜならお父さんから友達という言葉を聞いたのは初めてだったからである。正直友達がいないのかと思っていたが、どうやらちゃんといたらしい。

 

「それとアウリクラ。少し早いが、貴族家に生まれた人間としてやってはいけないことを一つ教える。本当は礼儀作法で学ぶことだが、アウリクラの場合少しでも早いほうがいいと判断した」

「なんのことでしゅか?」

「下の人間に敬称をつけることだ。先ほど、アウリクラはレルソン殿のことをレルソンさんと呼んだね?それ以外にも、メイドにも敬称をつけて話している」


「だめなんでしゅか?」

「駄目とは言わない。自分たちしかいない場ならそれでもかまわないが、普段から癖をつけておかないと公の場でもそれが出てきてしまう。それがよくない」

「おおやけのばではダメなんでしゅか?」

「ほかの貴族家がうちを攻撃する理由になってしまうんだ。だからこれからは、敬称はつけないように気を付けてくれ」


 ようするに公の場でなければ構わないという事か。でも私は、状況によって使い分けられるほど器用じゃないと思う。

 かといって礼儀作法を重んじる日本人の心を持つ私は年上の人に敬称をつけられないことにひどく嫌悪感を抱くが、そんなわがままでこの家の人たちを傷つけていいわけでもない。


「わかりました」

「いい子だ。これからはレルソン殿のことは先生と呼びなさい。レルソン殿、お願いします」

「しぇんしぇい、おねがいしましゅ」

「わかりました。それではまず、魔法についての基礎から説明していきます」

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