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この気持ちを分かってほしいだけなんです。


 

 

 あれから数日後、私にエリック様から手紙が届いた。

 

 いそいそと手紙を出すと、そこにはアル様からヴィッキーとコレットに秘密を明かしてもいいと了承を得たと書かれていた!

 そして場所と日時が書かれていて、そこでアル様と待っていると書かれてた。


 あぁ! ようやく二人に秘密を打ち明けられる!

 ずっと後ろめたかった気持ちを手放せる!


 私は直ぐに二人に待ち合わせの話をしようとしたけど、コレットはまだしもヴィッキーとは軽い冷戦状態だった。

 うー! 勇気を出せ私!


 先ずはコレットにソファーに座るように言った。次にヴィッキーに勇気を出して声をかけた。


「あのさ、話があるからソファーに座って欲しいんだけど」


 ヴィッキーは読んでいた本を開いたまま返事をする。


「大切な話なの。お願い!」


 私が頭を下げるとヴィッキーは上ずった声で慌てた。


「し、仕方ないわね! ソファーに行くから頭を上げなさいよ!」


「うん!」


 そしてヴィッキーとコレットが座るソファーの前に私は立って、静かに要件を言う。


「あのね、ずっと二人に秘密にしてた事があるじゃん? 私」


「えぇ」

「うん」


 二人が頷く。


「それでね、その秘密を二人に話したいんだ」


 私は慌てて付け加える。


「今は駄目なんだけど、今度の土曜日の夜八時に使われてない南に古い塔があるじゃん? そこに来てほしいの」


「なんで今じゃだめなの?」ヴィッキーが当然の質問をする。


「私一人じゃなくて、会ってほしい人がいるから、今じゃだめなの」


 ヴィッキーはふーん、と腕を組んだ。

 コレットはうんうん頷いてくれてる。


「二人とも、いいかな?」


「いいも何も、聞いてからじゃないと判断できないわ」


「私はなんだかワクワクするよぉ」


 私は二人に感謝した。


「ありがとう、二人とも! そう言ってくれると信じてた」


 パンッと私は両手を叩いた。


「コレで終わりです! 明後日まで待っててね!」


 ヴィッキーは渋々といった顔で頷き、コレットは何度も笑顔で頷いてくれた。

 

 あぁ、土曜日が楽しみだー!




「えぇ! 土曜日来れないかもなの!?」


 談話室の隅でアル様は宿題をしながら頷く。


「オヤジの古い友人とやらが来るらしい。オレを紹介するからって、この前からマナーの勉強を復習させられまくってる」


 私は絶望した。アル様がいないと話が成り立たないじゃないか!


「どうしても出てこれないの?」


「その友人のせいでいつもより警備がキツくなるから抜け出すのは容易じゃねー」


 次々とノートに完璧な術式を書きながらアル様がすげなく言った。


「酷いよアル様! 私はこれ以上友達に嘘はつきたくないのに!」


「聞き分けのない子供みたいなこと言うな。オレもお前も前世合わせたら立派な大人だろ? 俺なんかおっさんだぞ」


 自嘲気味にアル様が笑う。


「おっさんのアル様も私好きだよ?」


「そりゃどーも」


 術式の宿題が終わったら魔法史の宿題に取り掛かるアル様。本当に忙しいんだなぁ……。


 それでもアル様が来てくれないと話しにならないのも事実。


「お願いアル様、もう二人に約束しちゃってるの」


 ノートから視線を上げずにアル様が言う。


「だったら日時を変えれば良いだろう?」


 私はプチッときた。


「そういう問題じゃないの! なんで分かってくれないの!?」


「それを言うならお前の方もだろうが。オレがクソ忙しいの分かってんだろ」


 分かってるけど! 私は一度した約束を破りたくないだけなのに!


「もういい! アル様はそうやって忙しいって言い続けてればいいよ!」


 私は席を立ち談話室を足早に出ていく。


「おい! リア!」


 背後からアル様の焦ったような声が聞こえるけど、無視して談話室を出ていった。


 私の大切な二人を蔑ろにされた気分だった。

 胸の中に黒いモヤモヤが広がっていく。

 アル様なんてもう知らない! 好きにすればいいんだ!



 

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