最後はやっぱりハッピーエンドじゃないとね。
「アル様!」
私はどこにいても目立つ赤い髪に叫んだ。
「朝からデケー声出すな」
「朝弱いの? アル様」
「夜がメインの仕事やってたんだ、そう簡単には慣れねぇよ」
あくびを噛み殺しながら、アル様が廊下を私と隣合わせで歩いている。
「今日はまた武術の合同授業だね」
「オレが相手になっても泣き言言うんじゃねーぞ」
「手加減してくれないの!?」
「オレは将来の国王だからな。みっともねぇマネなんぞできるか」
「そんなんじゃ女の子にモテないよ」
「お前にだけモテてればいい」
私は思わずその場に蹲った。
「あぁ? 何してんだお前」
私の前に同じように蹲ったアル様が聞いてくる。
「ずるいわー……アル様ってばズルい!」
真っ赤な顔を見られたくなくて、私は顔を膝に埋めた。
「誰がズルいだ」
ペチンッ! と頭を指先で弾かれる。
「痛い」
アル様はさっさと立ち上がって歩き出してる。
「待ってよアル様!」
「早く来いリア」
ブーブー文句を言いながら私はアル様の隣を歩いた。
そうそう、ティナ様のことだけど、あの後大広間に戻ったティナ様(エリック様)は、事態の収拾を図ると共に、婚約破棄は両者合意の元に行われた事を宣言したらしい。
自分にはまだ魔法でやりたいことがあるから、結婚して身を固めるつもりがないとも。大丈夫か? そんなこと言って妹さんが帰ってきたときに揉めないだろうか?
あと密やかな攻防もあった。
黒木さん呼びするかアル様呼びするかで揉めた。私は「黒木さんがいい!」って言ったのに「周りが混乱するし変に目立つと面倒だから却下」とすげなく言われてアル様とリアと呼び合う事で決着した。
ヴィッキーとコレットには後でめちゃくちゃ心配されたけど、自分が本当に好きなのはアル様だと気付いたから、お付き合いすることになったと言ったら唖然とされたけど、本人が納得してるならと、祝福された。
イジメしてた女子生徒たちは、即退学処分になった。親の指示とはいえ、王族に楯突いたのはマズかった。処刑されなかっただけでも御の字である。彼らはお家取り潰し、領地没収、そして娘達は修道院送りで親達は辺境の地へと追いやられた。おぉ、怖い怖い。
さて、なんやかんやあったけだ、結局ハッピーエンドを迎えられた私とアル様。
同年齢で同じ学び舎で共に励めることの幸せを噛み締めてる。
皆はこの終わり方に納得できただろうか?
え? 黒木さんの死因を知りたい?
仕方ないなぁー。それはまた番外編で書くみたいだよ! 良かったね!
それでは! みんな、読んでくれてありがとう! 皆に幸あれ!