幼少期編.2
お久しぶりです!!2週間も空いちゃってすみません..。
リアルが忙しかったもので少しづつしか執筆ができませんでした、、、。今回はちょっと短いですがお楽しみいただければと思います!
真っ白な椅子に座る幼子とそれを見守る侍女。
机の上には本が積み上げられており、時折ペラリと本のページをめくる音がする。だが依然として2人の顔は相変わらず険しいままである。
「こんなにも本に載っている情報が少ないなんて...。驚きましたわ。」
眉を顰めてカノンは言った。
カノン・アドヴェラ。ティアマリティスの専属侍女で、マーキュリード家に代々仕えている家系出身。とても優秀で家事やティアマリティスの身の回りの世話果ては裏のお仕事までなんでもこなす。今はティアマリティスと一緒に本を読んでいる。
「まだ、ほんにのせられるようなけんきゅうけっかがでていないのかも。」
本と言っても内容は魔力中毒症について。なかなかめぼしい情報は無い。そも、魔力中毒症は原因の解明が進んでいない状態なのだ。研究者の人達は日夜魔力中毒症の治療法について実験と考察をしているのだろう。
「カノン、どうしよう?」
「そうでございますね...。あっ」
カノンは何か思いついたかのように顔を上げた。
「なにかおもいついたの?」
「はい。この領地にはお嬢様の幼馴染の方々がいらっしゃいますでしょう?」
「うん。しょうりょうしゅのいえのこたちだね。わたしがあたまをうってからはあいにこれてないみたいだけど。げんきかな?」
そう言ってティアマリティスは幼馴染の3人を思い浮かべる。
カノンは考え事に耽っているティアマリティスをチラリと見る。
「(本当に5歳児なのか疑わしくなりますわ...。)」
カノンは思い出す。あの日自分のせいで大切な主人であるティアマリティスが怪我をしてしまったことを。今思い出すだけでも身体が凍りつく。しっかりとティアマリティスを見ていなかった自分にはきっと罰がある、最悪クビになる。クビは免れてもきっとアドヴェラ家からは破門される。そう思っていたのにそれを止めたのはティアマリティス自身だったのだ。
5歳児の前でする話では無いが、カノンの処遇を決める話があっていた時、枕に身体を預け、リディウスとアメリアをしっかりと見据えながらティアマリティスはキッパリと言ったのだ。
「カノンは私の侍女です。カノンが侍女を辞めると言うまで彼女は私の侍女です。」と。
この言葉はカノンの心に大きく刺さった。その日からカノンは今まで以上にティアマリティスを守り支えようと誓ったのだ。
そして今、カノンとティアマリティスは魔力中毒症について調べている。5歳児にはまだまだ難しい内容であると言うのにティアマリティスは理解しているかのように読み進めている。いや実際理解しているのだろう。でなければ、情報が少ないなどと言うわけが無い。
「ねぇカノン。」
カノンはティアマリティスの呼びかけにハッとし意識を引き戻す。
「はい、お嬢様。」
「いまから、ノーウェルンたちにれんらくをとってくれる?」
「かしこまりました。日時はいつに致しましょう?」
「できればあしたにしてほしいの。まりょくちゅうどくしょうにかんしてはじかんがないから。」
「お任せ下さい。今すぐ向こうと日程を調整しますね。」
「おねがい。」
そしてカノンは部屋を出た。
椅子に深く腰かけて、目の前に積み上げられた本を見つめる。
本の内容は全部この国の医学、薬学に関するもの。屋敷の大図書館に常駐している図書館司書から選んでもらった選りすぐりのもの。
頭を使いすぎて疲れたのか私は目を閉じた。
目の裏に浮かんだのは幼なじみたち。
私には幼馴染がいる。生まれた時から一緒にいる大切なお友達。
彼らは、領主であるお父様の代わりに領地運営をしてくれている家の子達で、将来は私の側仕えとして働いてくれるらしい。なんでも小領主の跡継ぎは兄弟がやってくれるから自分たちは私のために何かしたいんだと。全く、かわいいんだから。
閑話休題。
まず、小領主制とはこの国で敷かれている政治体制のために作られた貴族位のことで小領主は王都で忙しく働く主人のために領地の運営をする準貴族のこと。そして小領主を領地に認める対象は侯爵家、公爵家だけ。伯爵家からは普通に伯爵、男爵、子爵と位を戴いた貴族が領地の経営を行う。侯爵家、公爵家は共に王都での公務に加え、様々な役割があるためなかなか領地を運営できないということでこの小領主制が取られている。
研究者見習いのノーウェルン・シュヴァルツ。
騎士見習いのペリゼルト・ブランシェス。
そして侍女見習いのフィオナ・グレイノーツ。
この3人が私の幼馴染。そして我が家の領地の小領主のお家の子どもたち。
見習いとついてはいるが年齢は私と同じ5歳で、本格的なことを学ぶのは10歳前後くらいから。
私も学園に通うのは10歳くらいから。学園が乙女ゲームのスタート。この学園生活で私の今後の人生が変わる。
果たして、ゲームのシナリオ通りに進むのか、進まないのか。二次創作でよくあるヒロインは私と同じ転生者かそうじゃないか。これによって色々と変わってくる。
閑話休題。
この5年間は私の遊び相手という名目の元マーキュリード領内の把握と屋敷のことを理解することである。
ノーウェルンは眼鏡をかけていて性格も大人しいが興味があることには一直線でオタクのように喋る。そして毒舌でもある。
ペリゼルトは単純だが野生の勘というのが働くのか時々鋭いところを着いてくる。性格は元気ハツラツで天真爛漫。
フィオナは落ち着いていて冷静。冷たく見えるがとても優しくてノーウェルンとペリゼルトのストッパー役をしたりしている。後、笑った顔が可愛い。
ノーウェルンとペリゼルトは言い争いをすることが多いからそれを私とフィオナで止めたりするのがテンプレである。
「お嬢様、向こうと連絡が取れましたわ。明日にこちらへ伺うとのことです。」
カノンが入って来た。
「ごくろうさま。きょうはここまでにするわ。またあしたよみすすめていきましょう。」
「かしこまりました。では、本を片付けますね。」
「ありがとう。...ふぁ..。」
本を読んで疲れたのか段々と瞼が降りてくる。
「お嬢様?...ふふ。お疲れ様でした。」
最後にカノンが私に微笑んで毛布をかけてくれる姿が見えた。
明日からまた頑張ろう。なんとしてでも魔力中毒症を治す方法を見つけるのよ。
そうして私は意識を手放した。
ここまで見て頂きありがとうございました!次の投稿は2/17の22:00頃になります。
頑張って連載していきますのでよろしくお願い致します!
それでは次の作品で!